伐採後
体内に流れる気の通り道である経絡を、気の塊で内部が空洞の管を作り、高速で流れるように改良する。
このことにより、それまでよりも内気功を行った際の気の移動速度の向上がみられた。
が、だからといって、ノクジルアックスでの丸太切りが劇的に早く上手になったのかといわれると、そうではない。
まだ、経絡の高速化は途上だし、ノクジルアックスはそれまでどおりに繊細だ。
なので、結局は切るべき場所をしっかり見極めながら、斧を振り下ろしていく。
だが、斧だけで木を輪切りにするには至らず、最後はノコギリも使って丸太にしていくことにした。
木こりたちが伐るカミマキをノクジルアックスを使って枝打ちしていく。
そして、斧で丸太切りに挑戦しつつ、最終的にはノコギリでギコギコやって輪切りにする。
適当な長さの丸太が森の中にいくつも作り上げられていった。
ある程度作業が進んだら、その丸太となったカミマキを森から村へと運ぶ仕事も待っている。
これも当然木こりたちが自分で行う必要がある。
四メートル超の丸太はかなり重いが、木こりたちは協力して運ぶことができるようだ。
俺はというと、さすがに八歳児だ。
大人たちとは身長差がありすぎて二人三脚で丸太を運ぶこともできず、ひとり切り落とした枝を運ぶ係となった。
これも重要な仕事ではある。
枝もそれなりの太さや長さがあり、乾燥させれば十分な燃料となる。
俺は枝打ちしたカミマキの枝を籠に入れて背負ったり、蔓でひとまとめにして手に持ったりして運びやすくして、何度も往復して村へと持っていった。
「ギルマス、これで枝は全部運んだよ」
「おう、お疲れさん。どうだ、木こりの仕事は? ちゃんと続けられそうか?」
「もちろん。明日も森に入るからね」
「そうか。途中、斧を持ったまま目をつぶってたりしたもんだから、しんどいのかと心配してたが、なんにもないならよかったぜ。じゃあ、今日はもう帰ってもいいが、なんか質問とかあるなら聞いてやるぞ?」
村へと戻り、材木ギルドの倉庫に丸太や枝を運び込む。
まだ水分量の多い枝をすぐに薪にすることはできないので、しばらくはこの倉庫で保管しておいて乾燥させることになる。
指定された場所へ並べ終えたところで、その日の仕事は終了となった。
ギルマスへの報告を行ったところ、やはり仕事は終わりで帰ってもいいけれど聞きたいことがあればどうぞと言われた。
なにか、聞いておくべきことがあるだろうか?
「そういえば、このカミマキって本に使う紙になるんだよね? すぐに紙にできるの?」
「ん? こいつは、乾燥させた丸太を削って紙を作るからな。しばらくは枝とかと同じようにこの倉庫で放置だ。半年もすれば紙に加工できる」
「へえ。結構時間かかるんだね」
「まあな。それだけ、伐ったばっかの木ってのはまだまだ生きているってことだ。紙にするのは専用の器具を使って丸太の外周からぐるぐると削るってか剥いていくかんじだな。そうやって紙を作るんだよ」
「うちのギルドでその作業はやるの?」
「ああ。なんだ、興味あるのか? 紙を作る仕事を見てみるか?」
「いいの? うん、それじゃあ、お願いしようかな」
今日伐ったカミマキが紙になるのは、まだ半年ほど先らしい。
だが、カミマキは今日伐った分だけではない。
定期的に伐採しており、半年前に伐った丸太もこの倉庫の別の場所で保管されているのだとか。
今度それを加工するときには見せてもらえることになった。
木こりの仕事に直接関係するわけではないだろうが、面白そうなのでぜひ見学させてもらえるように俺はギルマスにお願いして、その日は帰宅することにしたのだった。
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