消費
体にたまった魔力を消費するにはどうすればよいのか。
これが、まったく分からない。
一番簡単に思い浮かぶ魔力の消費法といえば、やはり魔法を使うことだろう。
例えば、火の玉を出す。
光の玉を浮かべる。
風を起こす。
そういったことができれば、魔力を消費したといえるはずだ。
だが、そもそも今の俺は魔法を使えない。
というか、魔法を使うには魔力が必要だと思って、俺はそれを得ようとしていたのだ。
体に魔力らしきものを感じ取れている今ならば魔法が使えるものなのだろうか?
まあ、ものは試しだ。
やってみてもいいだろう。
「バブゥ(照明!)」
というわけで、とりあえず一番わかりやすそうで害がなさそうな、明かりをつける魔法が使えないか試してみた。
だが、何も起きない。
……呪文が悪いのかな?
その後も、「光よ、つけ」だとか、「ライト」とか、「点灯」などと思いつく限りの言葉を口にしてみる。
が、どれも魔法には繋がらず、俺のバブバブ言葉が空に散っていくだけだった。
もしかすると、この世界の言葉できちんと唱えないと魔法は使えないのだろうか?
だけど、食事前の祝詞の件がある。
「我、この命を糧とし、力を得ん」という家族の言葉を聞いて俺も真似しているが、あれだってきちんとした発音は幼児の俺ではまだ無理なので、赤ちゃん言葉で言っているだけだ。
それなのに、食事で魔力を得ている感じはしっかりある。
言葉がきちんと発せられなくても、なにかしらできそうなものだと思ってしまう。
イメージの問題なんだろうか?
むしろ、無詠唱で頭の中に明確なイメージを描いたほうが発動する可能性もあるかもしれない。
そう考えて、光をイメージする。
一番思い浮かべやすいのは、前世の照明だ。
蛍光灯ではなくLEDライトの光をイメージしてみる。
……むむむ。
だが、なにも発動しない。
自分ではかなり鮮明にイメージできているはずで、前世で住んでいた部屋の光が頭に浮かんでいるというのに、相変わらず魔法は発動しない。
……やっぱり無理なのか?
このまま魔力が溜まり続けたらどうなる?
破裂? 暴走?
――そのとき、わずかな違和感に気づいた。
「バブ(あれ?)」
腹の奥にたまっている魔力が、少し減っていないか?
まだ、魔力が溜まっているのは間違いないのだけれど、わずかだが、量が減ったような気がする。
いや、正確にはわからないんだけどさ。
あくまでも俺の体の中の感覚というだけで、数値で把握しているわけではないから、気のせいって可能性もある。
が、その後しばらく同じように魔法を使おうと頭をひねっていると、さらにはっきりと魔力の沈殿が減少していることに気が付いた。
魔力を消費できた……ということだろうか?
もしこれが本当に消費だとしたら――
俺は、ようやく自分の命綱を握れたことになる。
いまいちはっきりとわからないが、とりあえず新たに変化が現れたことを喜んでおこうか。
相変わらず魔法は発動しないが、俺はその後もお乳から魔力を得つつ、その魔力が体にたまらないようになるべく消費するように毎日努めたのだった。
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