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異世界に転生したけど、木こりをやってます ~斧と闘気で生きる辺境開拓ファンタジー~  作者: カンチェラーラ


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枝落とし

「我、この経験を糧とし、力を得ん。また、汝、闘気を糧とし、力を得ん」


 竹林などでもずっと唱えてきた祝詞を唱えてノクジルアックスを振りかぶる。

 今から切るのはすでに伐り倒されたカミマキについている枝だ。

 丸太を作るにあたって、まずは邪魔になる枝を落としていく必要がある。

 それを俺が担当することとなった。


 全身に気を巡らせる。

 内気功・輪転を駆使して体内の気の流れを整え、充足させ、そして改めて外気功・外纏を使用する。

 ここに至るまで、ノクジルアックスにはずっと外気功を使っていた。

 が、通常時には斧全体を強化できるように柄も含めてすべてに対して闘気を纏わせていたのに対して、今は枝を落とすために刃先や斧の表面に対して重点的に気を配分する。


 そして、改めて内気功で体内の気を目を通る経絡に流し込む。

 これも、竹林での経験からだ。

 同じ木でも場所によって切りやすい場所があれば、そうではない場所もある。

 隕鉄製のノクジルアックスを大切に使うためにも、ただ枝を切るというだけでも手を抜くことはできない。

 闘気で強化した目を使い、どこを切るかを選択する。


 ……ここだ。

 倒れたカミマキの中ほどにある枝の付け根。

 木の上部へ流れる気の流れが弱くなっているのが見えた。

 薪割り用の木と違って、今伐り倒されたばかりだからか、木が持つ気の流れがしっかりと確認できるのが助かる。

 その弱い部分をしっかりと狙うために立ち位置を決め、ノクジルアックスを振り下ろす。


 スコン、と小気味よい音がして枝が落ちた。

 いい手ごたえだったと思う。

 斧の表面を見ても、傷らしい傷はついていない。

 とりあえず、枝を落とすだけなら何の問題もないと言えるだろう。

 この枝は細すぎて紙にはできないらしいが、それでも柴として使うこともできるために指定された場所にある籠に入れられるように、その籠の近くへと放り投げる。


 初めての森の中での木こり仕事。

 木を伐るというよりは枝を落としただけだが、なんとなくやりきった感がある。

 だが、一つ作業を終えただけで課題も見えてきた。


 それは速度だ。

 今の俺は、枝を一本切るだけにそれなりに時間をかけてしまっていた。

 どの枝を切るのが良いかを選定したり、体内や斧への闘気法を使用する時間がそうだ。

 だが、ほかの木こりたちは違う。

 彼らはもう新しいカミマキを伐るために動いており、実際に受け口も作り、あとは倒すための安全確認に動いているほどだ。


 竹林の時と同じだ。

 ここでは時間給など発生しない。

 すべては実際に行って得た稼ぎだけが収入となる。

 同じ時間でいかに効率よく仕事をしていくかが大事なのだ。

 もちろん、そこで慌てて怪我をしようものなら目も当てられないが、それでも枝を一つ切るだけに時間をかけてよいわけではないだろう。

 木こり初挑戦の俺に対して、急げとプレッシャーをかける者はいないだろう。


 が、急ごう。

 せめて、ほかの木こりたちの邪魔にならないように。

 そう考えて、俺は次の枝を落とすために再び祝詞を唱えてノクジルアックスを持ち上げた。

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― 新着の感想 ―
ちゃんと段階踏んでるのが読んでて安心できるわ いきなり大人と同じ仕事をさせるのでなく、目の届く仕事だったり 負担の少ない仕事からさせるのが大人たちが大人してて好きだわ
超絶面白い!!
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