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異世界に転生したけど、木こりをやってます ~斧と闘気で生きる辺境開拓ファンタジー~  作者: カンチェラーラ


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試し切り

 材木ギルドのギルマスと鍛冶師ノクジルの交渉はその後も続いた。

 どのくらい金額を下げてもらえるのかや、週に何日を鍛冶屋で働くのか、など細かな条件を詰めなければならなかったからだ。

 そして話し合いの結果、俺は一週間のうち二日ほどを鍛冶屋で下働きすることになった。


 この条件はぶっちゃけ、材木ギルドにとってはほとんど損にはならないんだろうな。

 ギルドとは組合員が参加して作り上げた組合であり、決して俺の行動を管理する会社組織ではない。

 木こりが一人ひとり自営業を営んでいて、それをサポートするのが基本的な存在意義である。

 で、木こりはなにも一年中毎日森に入って木を伐っているわけではない。

 つまり、普通の木こりが休みにしている日を鍛冶屋の手伝いに回すようなものなのだ。

 ようするに、森への出勤日数がほかの人よりもわずかに減る、程度のものなんだろう。


 ちなみに、俺は雨が降る日は学校に行っていたりもする。

 雨の中、森に入ってずぶ濡れになるのを嫌がっているのと、勉強を続けるためだ。

 この村では読み書きができるほうではあるけれど、よその町にでも行けばもっと賢い人はいくらでもいるだろうし、知識量も少ない。

 知識は自分の財産になるとも言うし、ある程度勉強しておいたほうがいいだろうと考えている。


 だが、今はそれよりもノクジルアックスのほうが気になる。

 新しく手に入れたこいつを早く使ってみたい。

 ギルマスとノクジル爺さんの話し合いを見守っていたこともあり、結構時間が過ぎていてこれから森に行くようなことはできないだろう。

 なので、家に帰り、薪割りをすることにした。


 これから切ろうと考えている木を台にセットする。

 そして、その直立させた木を割るためにノクジルアックスを上へと振りかぶった。

 まずはいつものとおりにやろうか。

 内気功を発動し、体内の気の流れを整え、活性化させる。

 十分に自身の体に気が行き届いたと感じたら、今度はその気を斧に流す。

 外気功・外纏だ。

 両手で持ったノクジルアックスに抵抗なく気が流し込まれ、それが維持される。


「我、この経験を糧とし、力を得ん。また、汝、闘気を糧とし、力を得ん」


 祝詞を唱えて、振り下ろす。

 カンッという気持ちの良い音とともに、斧が木を真っ二つに割った。

 狙い通りの場所に振り下ろすことができた。

 だが、駄目だ。

 隕鉄という初期ステータスが低い鉱石で作ったからなのか、木を両断する際に、わずかながら嫌な感触があった。

 木を割るときに抵抗を感じたのだ。


 新品の斧の刃の部分を観察する。

 欠けているわけではない。

 が、わずかながらその刃の部分にダメージが残っているような気がする。

 外気功・外纏でノクジルアックスを保護したにもかかわらずだ。

 気を纏うことで耐久性も向上しているはずなのにこれか。

 なるほど、これでは他の木こりが隕鉄で斧を作りたがらないわけだ。


 これじゃあ、地面に生えているしっかりとした木を伐り倒すどころじゃないな。

 まずは、家にある薪を割るくらいで、刃が傷むことなく切れるように練習したほうがよいのかもしれない。

 先ほど半分に分かれた薪を拾い上げ、再び台の上にセットする。

 今度はもう少し外纏に工夫を加えてみようか。

 さっきは、ノクジルアックス全体の強度を上げるように闘気を纏わせていた。

 だが、実際に木に触れるのは刃先の部分や斧の表面だけだ。

 であれば、そこに闘気を集中させるほうが耐久力が上がるかもしれない。


 再び薪割りのフォームを取り、深呼吸を行う。

 そして、内気功・輪転を行い気力を充実させてから外気功・外纏へと移行する。

 先ほどと同じようにノクジルアックスへと流れていく気を、持ち手の柄には気を通すだけに留め、纏わせる闘気は刃先へ重点的に集中させる。

 その状態を維持したまま、斧を振り下ろした。


 スコン。

 先ほどよりも軽い音。

 薪を割るときに感じる抵抗は少ない。

 いい感じだ。

 だが、まだ改良できるかもしれない。

 俺は新しく手に入れた斧の性能を最大限に引き出すため、一振りごとに修正を重ねながら薪を割り続けた。

 もっと鋭く。

 もっと強く。

 ノクジルアックスを育てるように、何度も何度も斧を振った。

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