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異世界に転生したけど、木こりをやってます ~斧と闘気で生きる辺境開拓ファンタジー~  作者: カンチェラーラ


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武器の成長

「ふうむ。ロンドのやつは、ライ坊用に子ども用の斧を作れと言ってきておったが、ライ坊自身の考えは違うというわけか」


「うん。俺としては、今の体でも使えることはもちろんそうなんだけど、成長してもその斧を使い続けたいんだよね。だから、子ども用に小さい斧を作るってのはちょっと、ね」


 鍛冶師のノクジル爺さんと製作予定の俺の斧についての話をする。

 もともと、先に材木ギルドのギルマスであるロンドさんがノクジル爺さんに話を通していた。

 子どもの斧を作ってやってくれ、金は足りない分をギルドも立て替えるから、と。

 だが、俺はその提案を否定する。

 子ども用の斧では嫌だと感じたのだ。


 それはただ、お金の問題だけではない。

 今は良くてもいずれは使いにくくなる子ども用の斧だと、成長したら買い替えが必要でお金がかかるが、それ自体はいい。

 が、自分用の斧を作ってそのうち買い替えることになると、問題となるのは祝詞の力で斧を育てても振り出しに戻ってしまうことになるという点だ。

 俺が作った祝詞では、自分の闘気を闘気法・外纏を用いて強化することができ、それを対象物の成長にもつなげることができる。

 事実、俺が今持っている鉈は昔よりも切れ味と耐久力が向上していた。

 なので、これから作る斧も育てていくつもりで、それならば大きくなっても使い続けられるもののほうがいいと考えたのだ。


「自分の道具に愛着を持つというのは悪くない。そうじゃなきゃ一流の職人にはなれんし、木こりだってそうだろう。むしろ、ライ坊に研ぎを任せて自分たちで研がない今の木こり連中には爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだ。だがな、ライ坊。子どものお前の力だと、大人用の斧はちと重すぎるんじゃないかのう?」


「そのへんをなんかこううまい具合に調整できないかな? ほら、俺が普段使っている鉈も、自分で手入れし続けているからこれ以外だと馴染まなくなってきているし、斧もそうなりそうなんだよね」


「ううむ。……ちょっとその鉈を見せてくれんか?」


「ん。いいよ、はいどうぞ」


 俺の意見にノクジル爺さんは頭を悩ませているようだ。

 まあ、普通に考えたら、将来的に買い替えたほうがいいんだろう。

 それに、斧は複数あってもいいんだし。

 だが、子どもの意見だと切り捨てて一般論を言うことなく、真剣に一緒に悩んでくれるのがノクジル爺さんだ。

 その優しい鍛冶師に俺が普段使いしている鉈を見せる。


「……ほう。これは確かに、不思議じゃな。ライ坊はもしかしてこの鉈で魔物を切ったりしておらんじゃろうな?」


「え? 魔物を? いや、そんなことはしてないよ。魔物を見たこともないし」


「そうか。では、なぜじゃろうな。この鉈はたしかに成長しておるようじゃ。まるで魔物を相手にいくつもその身を切り裂いた剣みたいにな」


「どういうこと? 剣で魔物を倒したら、その剣が成長するの?」


「そういうこともある。正確にいうと、魔物から採れる魔石を砕くことで武器が成長することがな。まあ、たいていの場合は耐久力や錆びにくさが向上して長持ちするくらいじゃが、この鉈は切れ味も少しだけ上がっとるようじゃな」


 ……マジか。

 魔物の体には魔石があって、それが売れるなんてことも聞いたことがある。

 が、魔石を砕くとその武器が成長するのか。

 俺が祝詞を使って自分の闘気で成長させるのとはまた少し意味合いが違うのかもしれないけれど、武器が成長するというのはこの世界では一般的な話なのか?


「なるほどのう。もしかすると、ライ坊が普段から丁寧に鉈を扱っておるのが天に認められてこういうことがあるのかもしれんのう。であれば、同じように斧も成長するかもしれん、か。わかった。それならば、わしもとっておきのものを使ってライ坊に斧を作ってやろうかの」


 鉈を使って魔物を倒したわけではないが、鍛冶師のノクジル爺さんの目から見ても、俺の鉈は成長している。

 それがなぜなのか。

 疑問に思いそうなところだが、ノクジル爺さんは深く追及することもなく、「そういうこともあるか」と受け入れてくれた。

 そして、なにやら納得顔で斧の製作のためにとっておきを出してくれるようだ。

 うれしい。

 それに楽しみだ。

 ノクジル爺さんがどんな斧を作ってくれるのか、ワクワクしながら、鍛冶場の奥へと向かうノクジル爺さんの背中を見送ったのだった。

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