表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したけど、木こりをやってます ~斧と闘気で生きる辺境開拓ファンタジー~  作者: カンチェラーラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/89

伐りすぎ問題

「ライゼル、お前は天才だ。この村始まって以来の木こりの才能の持ち主に違いない。俺はそう確信している」


「あざっす、ギルマス。……それで、なんの用ですか?」


「う、うむ。ま、なんだ。今日からお前は竹を伐るの禁止な」


 俺がケイオス村の竹林へと行こうとしていたところ、道で材木ギルドのギルドマスターと出会った。

 偶然出会ったわけではないようだ。

 むこうは俺のことを待っていた様子で、挨拶をして通り過ぎようとしたところで、待ったがかかった。

 そして、先ほどの発言へと繋がる。


「え、なんで? 俺なんかしちゃいましたか?」


「ああ。俺は、いや、俺だけじゃなくてお前の親父もギルドのメンバーも皆がお前のことを甘く見ていた。まさか、たった一月で村中の竹を伐りつくすとは考えもしなかったんだ。今、この村にこれ以上お前に伐らせる竹はねえ」


「ええー。そんなこと言ったって、俺はギルマスが伐ったらダメって目印を付けた以外を伐っただけなのにそんなこと言われても困るよ」


「あー、だから俺が悪かったって。このとーりだ、すまん」


 片手を頭に当ててポリポリとかきながら、頭を下げて謝ってくるギルマス。

 その後も話を聞いたが、どうやら本当にこれ以上伐ってもよいといえるような竹がないみたいだ。

 この村に生えるケイオス竹は成長速度が早いため、いくらでも伐ってもいい。

 そんな話だった。

 その言葉を信じて、俺はギルマスが印をつけた竹以外を一心不乱に伐りつくしていった。

 その結果、最初に任された竹林は地面から一メートルほどの高さで伐り尽くされ、それまでよりも見晴らしがよくなってしまったほどだ。


 そもそも論として、目印にリボンを使ったギルマスも悪いと思う。

 手で持ってこられるリボンの数なんてたかがしれているので、かなりの広さの竹林に対して数十本程度しか、伐ってはいけない竹を指定しなかったのだから。

 とまあ、そんなわけで俺は最初に任された竹林を早々に伐りつくし、村にあるそのほかの竹林へと案内された。

 その次からはリボンではなく墨で印を付けるようになったので、そこまで伐りつくすことはなかったはずだ。


 だが、それでも、村にある竹という竹をこの一月で大量に伐ったのは間違いがない。

 なにせ今の俺は、鉈を一振りするだけで竹を伐れるようになっているのだから。

 むしろ、伐るよりも伐った竹を移動させるほうに時間がかかったくらいだ。


 だが、これはむしろ都合がよかったのかもしれない。

 この一月の間、ずっと竹を伐っていて俺はこの仕事に少しだけ不満があったのだ。

 竹を伐ること、それ自体にではない。

 仕事で得られる稼ぎについての不満だ。


 竹を伐る。

 それはその仕事をした時間給ではなく、実際に伐った本数が俺の稼ぎになる。

 そのために、俺は村中の竹という竹を伐ったわけだが、実はそれでもたいした収入にはなっていない。

 というのも、俺が伐った竹が売れた値段などは関係なく、本当に伐採した本数のみがカウントされてギルドからお金を支払われていたからだ。


 これは、この竹がギルドの管理する森ではなく、村の中にある竹林だからだ。

 村の中にあるということは、村の土地にある竹林であるということで、当然ながらその土地には誰かしらの所有者がいる。

 つまり、俺は人の土地に生えている竹を伐る仕事を依頼されてしていたにすぎないというわけだ。

 竹が売れて儲かるのはその地主のほうということになる。

 たとえて言うのであれば、オーナーではなく、雇われた個人事業主といったところか。

 あるいは、木こりではなく庭師のようなものかもしれない。


「じゃあ、俺も森に入って木を伐りたい。最近、お腹が空いてしかたないんだ。もっとたくさん食べたいから、がっつり稼ぎたいんだけど」


「わかった、わかった。いいだろう。もうこの村でお前のことをただの子どもだと思うやつもいないからな。明日からはライゼルにも森で木こりの仕事をしてもらおう。それでいいか?」


「おっけー。そうこなくっちゃ。でも、俺は今日からでも別にいいんだけど?」


 竹を伐る仕事自体は楽しかったし、得るものも多かった。

 だが、毎日、常に最高の一撃を出すために全力で鉈を振っていたことで、俺の体はそれまで以上にカロリーを欲していた。

 もっと食べたい。

 もっともっと食べたい。

 家で出る豆の入ったスープだけじゃなく、カロリーとなるパンも血と筋肉になる肉料理も食べたい。

 そう思って、ギルマスに森での仕事をしたいことを告げた。

 そして、それは思ったよりもあっさりと認められた。

 こうして俺は、ようやく本格的な木こりの仕事――森での伐採に従事することになったのだった。

お読みいただきありがとうございます。

ぜひブックマークや評価などをお願いします。

評価は下方にある評価欄の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけけますと執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ