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異世界に転生したけど、木こりをやってます ~斧と闘気で生きる辺境開拓ファンタジー~  作者: カンチェラーラ


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最高の一振り

 内気功・輪転。

 食事を通して体内に取り入れた気を全身へと巡らせるという俺が赤ん坊の時に開発した技法。

 体内を流れる気の通り道を経絡とし、全身にその経絡が流れる感覚をこれまでの内気功の修練で掴んできているが、その経絡の中でも、目を通る経路へ重点的に気を循環させる。

 気とは働きを高める効果があるのか、肉体内で行う内気功をすると身体機能を向上させることができる。

 そのため、目の経絡に比重を重くして気の巡りを意識することで、俺の視界に変化が現れた。


「竹にもある。竹の中の気とその流れる経絡、それにツボがちゃんとある」


 地面から生え、真っすぐ空へ向かって伸びる竹。

 今から俺が伐り倒そうとしているその竹を、変化の現れた俺の視界で観察すると確かに見えた。

 竹が地面へと根を張り、そこから吸い上げているのか、竹の上部へと向かうように存在する気の流れ。

 竹にもきちんと経絡があるのが見える。


 緑色の生き生きとした竹の表面に薄っすらと見える青い線。

 どうやらこれが竹の経絡らしい。

 俺が感じている人間の体を流れる経絡とは違い、下から上へ、あるいは上から下へと流れるくらいしかないようだ。

 だが、それは竹の表面にいくつもある流れであり、そのすべてが同じような流れ方をしているわけではなかった。


 上下に走る経絡の中にも強弱があるようだ。

 地面から水分や栄養を吸い上げる影響なのか。

 それとも、竹の葉で光合成をして栄養を作り出す影響なのか。

 日光の当たり方や地形や他の植物の影響があるからなのか、竹の周りをぐるりと一周して観察すると気の流れが強い経絡もあれば、弱そうな経絡もある。

 そして、その中にひときわ流れの淀んだ箇所を見つけた。


 俺の体は気の流れをよくすると身体機能が上がる。

 これがもし、竹でも同じようなことになるとしたら、気の流れが良い場所は成長速度が速かったり、あるいは竹の強さや硬さ、しなやかさに優れている可能性がある。

 であれば、逆説的に気の流れが悪い場所はその竹にとって弱い場所である可能性が高いと言えるのではないだろうか。


 狙うべきはここだ。

 この気の流れが悪くなっている部分。

 ここに俺の鉈を当てる。

 これまで何度も繰り返して竹を伐るために動きを最適化し、威力を高めるように努めてきた一撃。

 それをこの部分に当てれば、竹を鉈の一振りで伐り倒すことができるのではないか。


「我、この経験を糧とし、力を得ん。また、汝、闘気を糧とし、力を得ん」


 祝詞を唱える。

 この一撃を絶対に成功させ、自分のものにすると強く思う。

 さらに、手に持った鉈にも今まで以上に気を送り込み、その威力と耐久性を高めるように意識する。

 そうしてから、目に集中させていた体内の気を内気功を用いて再分配していく。

 まずは下半身。

 足から上部へと上がっていき、太ももから腰への回転を生み出し、その回転を体幹で支えて腕へと伝達し、鉈を振るう威力へと変換する。

 筋肉をどう使うかと、その筋肉の動きに合わせた体内の気の動き。

 両者を噛み合わせ、一切の無駄なく今の自分の力を刃へ集約する。


 そして、振り抜いた。

 鉈を右から左へと振る瞬間、成功したと確信した。

 竹のウィークポイントを狙い、その狙いを違えることなく、最高の角度と威力、タイミングで鉈を当て、そして振り切る。

 それまでは竹へと食い込んでいた鉈が、右から左へと通過した。


 こうして、俺は一振りで竹を伐ることに成功したのだった。

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