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異世界に転生したけど、木こりをやってます ~斧と闘気で生きる辺境開拓ファンタジー~  作者: カンチェラーラ


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給食

 どうやら、この学校では生徒に本の丸写しをさせて写本を作っているらしい。

 そして、その写本を町で売る。

 学校を運営するうえで、この写本の販売による利益が意外と重要らしい。


 というのも、大量に本を刷る活版印刷のような技術というのはないみたいだからだ。

 本は手書きが一般的で、どんなものでも一冊書くのに相当な手間がかかる。

 だから、高い。

 生徒に丸写しさせた写本でも、学校を運営していくだけの資金の足しになるくらいなのだそうだ。


「え、ここって昼ごはんが出るの?」


「ああ。なんだお前、知らなかったのか? 俺はここに飯を食うために来てんだよ」


 俺に渡された辞書を見ながら、間違いが無いようにしっかりと確認しながら書き写す。

 そんなことをしながらも、俺が話しているのはクラスメイトの男子だ。

 といっても、俺よりはだいぶ年齢が高い。

 多分、十二歳とかそれくらいだと思う。


 彼は俺より後に登校してきて、同じ部屋で写本作業を開始した人物だ。

 田舎の学校だからか、子どもが喜ぶ要素ゼロの作業のせいかは知らないが、ここに通い続ける生徒というのは非常に少ない。

 が、完全にいないというわけではないらしい。

 彼はそんな奇特な生徒の一人であり、ほかにも数人だけだが同じ部屋で写経のような作業をしている生徒がいる。

 全員俺よりは年齢が上だが、皆バラバラで、けれど同じ教室にいる。

 学年ごとに部屋を分けるような仕組みは存在しないみたいだ。


 そんな同級生に話を聞けば、この学校では給食があるらしい。

 俺の家では一日二食だったし、多分ほかの家も同じだと思う。

 なのに、ここでは昼ご飯が出ると言うではないか。

 まるで登校させるための餌のようだが、実際に男子生徒が一人、その給食を目的に登校してきて写本作業をしているのだから、効果はあるのかもしれない。


 なるほど。

 もしかすると、父が学校に行けと言ったのは、この給食制度が学校にはあるからなのかもしれないな。

 食い意地が張っている俺という子どもにこれ以上飯を食わせる余裕はないと考えた俺の親は、自分で稼ぐ手段があるとして材木ギルドに紹介してやろうと話を提案した。

 しかし、母がそれに異を唱えた。

 材木ギルドで納品して金を得るようなものは、森にでも行かないと手に入らない。

 が、いくら何でもまだ小さな我が子を危険があるであろう森に行かせる許可を出すのは反対だった。


 そんな母すらも納得させるために、ギルドへの紹介は学校で好成績を収めることだという条件だ。

 正直、この学校の仕組みではテストなんてものもないんじゃないだろうか。

 一番良い成績が何を意味するかは父親の判断次第なのかもしれない。

 しかし、別にうちの親からすればそんな条件が満たされる必要すらもない。

 なぜなら、俺が好成績を取ろうがそうでなかろうが、この学校に通い続けてくれさえすれば、俺が昼に食事をして帰ってくることになるのだから。

 そうすれば、夜に食べる食事量も多少は減る効果が期待できるのではないだろうか。


 だが、しかしだ。

 俺の食欲を甘く見てもらっては困る。

 なんせ、俺は食べた食事から体内に気を取り込み、それをエネルギー源として体を動かしまくっているのだ。

 腹はいつでも空いているし、多分、まだまだ食べられる。

 学校で出る給食がどれくらいの量があるのかは知らないけれど、無制限に食べられるビュッフェ形式なんてことはないだろう。


 やはり、自分で稼ぐ手段も確保しておきたい。

 まだ五歳の身ではあるが、自活する意志が俺には多少あるのだ。

 それはきっと転生したからだろうな。


 というわけで、自分自身が明確に自信をもって「俺が一番勉強できる」と親に言えるように、ひとまずこの辞書の単語について覚えていこう。

 まずはこの辞書を覚える。

 ――話はそれからだ。

 今日初めて得た級友との会話もほどほどにして、写本作業に意識を集中させていくことにしたのだった。

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