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異世界に転生したけど、木こりをやってます ~斧と闘気で生きる辺境開拓ファンタジー~  作者: カンチェラーラ


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利用価値の変化

 手に入れた魔石を強化するための祝詞。

 その効果が本物かどうかを確かめるため、俺たちは何度も魔物を狩って検証を繰り返した。

 結果は良好だ。

 毎回、魔石は元よりもサイズアップし濃い色となり、残された遺骸は大きく消耗する。

 具体的にどれくらいの強化が施されたのかははっきりとはしないけれど、これはもう成功したと言っていいだろう、と判断した。


「でも、これって使い方は気を付ける必要がありそうだな。魔物の肉や皮は利用価値があるからもったいないって場合もあるし」


 遠い異国のダンジョンのように、魔物の遺骸を魔石化することはできず、今の俺の目の前にはボロボロになった素材が残されている。

 それを見て、もったいないという思いがないわけでもない。

 もともと、持ち帰れない魔物素材がもったいないと思ったから始めたことだ。

 それでも、こうして傷んだ素材を見ると、少し複雑な気持ちになる。

 それに、魔物の肉などは俺の体を強く成長させるためにも必要なものだ。

 そういう部分はきちんと選り分けておいて、本当に不要だと感じた部分だけを魔石強化の糧とすべきか。


「でも、そうすると魔石を強化できる比率は減りそうだね」


 俺が欲しい部分を取り除いて、残りの遺骸で魔石強化を行う。

 当然、魔物一体分すべてを使った場合より、強化の度合いは落ちるだろう。

 また、魔石を強化するのに使う以外は基本的には魔石を得たばかりの遺骸のほうがよさそうだという感じもしている。


 つまり、火狐から得た魔石で突撃猪の遺骸を使って魔石強化をしようと祝詞を唱えても、あまり強化された感じがしなかったのだ。

 その逆もしかりだ。

 また、同じ魔物であっても同一個体の魔石と遺骸のほうが強化できそうな気もする。

 この辺はまだ感覚的な話ではあるが、多分間違ってはいないと思う。


「これはすごい発見。アンデッドを相手にするときに役に立つ」


「アンデッド? ああ、そうか。ゾンビとかはその肉体に利用価値ってほとんどなさそうだもんね。魔石の糧にできるかどうかで、アンデッドを倒したときに得られる利益が変わるかもしれないか」


 ひとしきりの検証を終えて、俺がまとめたことを紙にメモしていたときだ。

 レイラが素直にこの発見を褒めてくれた。

 それも、俺が全然考えもしなかったアンデッドを倒したときのことについてだ。


 この魔境の森にはアンデッドがいる。

 といっても、俺はまだ自分では戦ったことが無い。

 トレントがいるエリアをさらに抜けて奥に行けば、きっと遭遇率はあがり、俺がアンデッドと戦うこともあるだろう。

 だが、これまでそこに行かなかったのはメリットが少ないという面もある。


 十分な警戒と準備を行えば、一撃目に関しては完全に奇襲が成功するトレント。

 そんなトレントと違い、明らかにこの魔境の奥にいる魔王種であるリッチの影響下にあるであろうアンデッドは俺にとってリスクが大きかった。

 死を恐れぬゾンビ犬が複数体で襲ってきた場合、俺はかなり危険な状況に追い込まれることになる。

 なのに、アンデッドを倒しても得られるものが少ないのだ。


 というのも、アンデッドから得られる魔石はトレントの魔石よりもマジックバッグなどのアイテムを成長させるには弱いのだ。

 ブレナンパーティーがアンデッドを倒して魔石を得ているときに見ていたが、どれもトレントの魔石よりも小ぶりだった。

 しかも、トレントは木材自体にも価値があるのに、アンデッドには素材としての利用価値がほとんどない。


 ゆえに、俺はアンデッドの出てこない範囲での活動に終始していたし、きっとほかの探索者も同じだろう。

 俺がトレントと戦うようになって魔境の奥まで来るようになった探索者たちも、アンデッドを積極的に倒しているという話は聞いたことが無かった。


 だが、この祝詞が使えれば話が変わってくる。

 その肉体には一切の価値がないと思っていたアンデッドの遺骸が、魔石の強化に使えるのだとしたらどうだろうか。

 どの程度の強化ができるかにもよるだろうが、試してみてもいいかもしれない。

 どのみち、魔王種がその影響範囲を広げれば、いずれアンデッドとも戦う機会があるだろう。

 ここらで一つ、実戦経験を積んでみるのもありかもしれない。


 そう考えた俺はレイラと話をした結果、一度アンデッドと戦ってみることに決めたのだった。

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― 新着の感想 ―
狩っても美味しくなかった獲物に価値が生まれたなら狩るしかないなぁ! すっかり木こりというか狩人になっとる!
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