ガウェイン先生のアドバイス
「魔物の遺骸の魔石化、か。確かに聞いたことがあるな。よく知っていたな」
ケイオス村に帰還した後、そのまま学校に顔を出しガウェイン先生に会うことができた。
レイラが言っていた、持ち帰れない魔物素材を魔石へ変える方法について聞いてみる。
すると、ガウェイン先生もその話を聞いたことがあるみたいだ。
さすが村一番の知識人だけあって、いろいろなことを知っている。
「どうやるんですか? やり方を教えてください、ガウェイン先生」
「知らん」
「え? 聞いたことがあるんでしょ?」
「ああ。だが、ここからは遠く離れた異国の風習にそういったものがあると小耳にはさんだことがあるという程度だ。具体的なやり方などはわからんさ」
「まじかー。ガウェイン先生なら知っているかもって期待したのになぁ」
「すまんな。期待を裏切ってしまって。だが、確か特別な道具は必要なかったというようなことを聞いた気がするのは少し覚えているぞ。また、その国のダンジョンでは探索者の初心者でも魔石化は使うはずだ。熟練の技が必要なものではないはずだ」
ほほう。
道具もいらなければ、新人探索者でもできること、か。
それがダンジョンに限定される方法だったり、その土地や国でしかできないことかもしれないけれど、そうじゃなければ今の俺でもできるんじゃないだろうか。
「うーん。話を聞いていると、なんとなく素材を分解して結晶化するみたいな感じだし、イメージ的には魔法とか魔術っぽいかな? でも、魔術の場合は素養が関係するから、新人含めて誰でも簡単にできる、ってことにはならなさそう。……もしかして、祝詞を使うとか?」
「なるほど。祝詞か。そう言われると確かにその可能性はあるかもしれない。が、それはそれで難しいぞ。どんな祝詞を唱えれば魔石化できるかがわからんだろう」
「そうだけど、今のところパッと思いつくのは祝詞を使った方法だけだしね。試すだけなら損はしないし、いろいろつぶやいて試してみますよ」
「そうか。……一つ忠告しておこう。もし、その祝詞が判明したら、それはお前の胸に秘めておけ」
「え? なんで? 皆に共有したほうがよくない?」
「やめておけ。ろくなことにはならんさ。それに、この村に集まっている探索者でお前たち以上に魔物を倒せる者はいないだろう。あいつらには、魔物を倒しすぎて素材を持ち帰れないなんて悩みは、ほとんど無縁だ。そんな連中に教える必要はないさ。むしろいらぬトラブルを引き寄せることになるかもしれない」
「そういうものですか。分かりました。もしも祝詞がわかったら、俺とレイラの二人で使って、魔石を荒稼ぎしてきますよ」
「ああ、そうすることだな」
ガウェイン先生の忠告なら素直に聞いておこう。
変なことに巻き込まれても面白くないだろうしな。
そんなことよりも、祝詞だ。
魔物素材を魔石に変えるとのことだが、どういう文面が考えられるだろうか。
その日、俺は一晩中そのことを考え続け、結局一睡もできないまま翌朝を迎えたのだった。
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