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彗星の時  作者: 燕兄さん
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陸上自走型移動基地

 しばらくの間、母国の危機などすっかり忘れ、母なる星の美しさに見とれていた。

 しかし、『天の国』の国境あたりで異様な動きが見えた時、ケインは『天の国』の大帝としての自分の立場を思い出した。

 ズームアップすると、『地の国』の軍隊が見えた。数万と言う本隊とその先頭を進む戦鉄牛、そして動く針山と呼ばれた巨大な物体がまさに国境を超えようとしていた。

「あれは、、、陸上自走型移動基地RKBⅧ・サブネーム「ギガベース」・」

その時、「ギガベース」の上に生えている針の一本がカッと輝き、一筋の閃光が走った。

閃光の先には、国境警備軍の師団が防御壁を築いていたが、閃光が当たった瞬間、爆音と供に砕け散り、兵士達が吹き飛ばされていった。

「むぅぅ・・なんてことを・・、くそっ」

「早まってはいけません」

突然ケインの頭の中に声が響いてきた。

「?・・シャインさん」

「そうです。・・『地の国』にはやっかいな物が残っていたようだ。」

「ああ、超時空通信ですね。今どこにいるのですか」

「敵を少しでも食い止めようと、ヤーコン殿と一緒に、走鳥にのって王都を出て前線へ向かっています。あれは確かに「ギガベース」です。装甲が厚くて今の時代の武器では全く歯が立ちません。確かに[イオノスⅢ]の遠距離ビーム砲であればかなりのダメージを与えられるでしょうが、あの「ギガベース」は、超小型反応炉を搭載し稼動しています。万一反応炉が暴走したら、『天の国』の大半が壊滅するでしょう。迂闊に破壊することは危険です」

「じゃあ、どうしたらいいの」

「・・・私に考えがあります。今しばらくデータを解析しますので時間をいただけませんか・・」

「うん、判った」

[イオノスⅢ]と超時空通信で繋がったシャインは、[イオノスⅣ]のデータベースにアクセスし、「ギガベース」の詳細データの分析を始めた。



「もうすぐ国境を超えます」

 ジーザ王子が司令室中央の椅子に座ったガーゼル王に伝えた。

「うむ。『天の国』の国境軍はかなり手薄じゃな。ほとんど抵抗がないのう」

 ガーゼル王は様々な映像が映っている壁面を眺め、あごひげを掻きながら言った。

 司令室では、数十人の学者達が古代から伝わる書物を解読しながら、操作盤を操り『動く砦』を動かしていた。

「我が軍の兵の数と、戦鉄牛80騎、それにこの『動く砦』ですから、戦意も喪失するでしょう。試しにあの丘にある天の国の国境警備軍を攻撃してみましょう」

 そう言うと、ジーザ王子は手前にいる学者に指示を出した。

「なにか武器は無いのか」

 命令された学者は、書物をめくりながら

「では、このイオン砲というのをやってみましょう」

と言って、盤を操作する別の学者に本を見ながら手順を伝えた。

やり方を教えられた学者は、その通りに手元の操作盤に打ち込んでいく。

 すると、その操作に呼応し『動く砦』の上に生えている針の一本がカッと輝き、一筋の閃光が走った。

 閃光は狙い通り天の国の国境警備軍の防御壁を直撃し、爆音と供に壁を破壊、兵士達を吹き飛ばした。

「わっはっはっは・・すばらしい武器だ。敵が紙のように燃えている!」

 攻撃を指示したジーザ王子は、天の国の兵士達が吹き飛ばされ、倒れていく姿をモニターで見ながら笑い声を上げた。

「いいぞ、いいぞ、もっと撃て、もっとだ」

 ジーザ王子が攻撃継続の指示を出した直後、

「やめんか。ばか者!これ以上撃ってはならぬ!」

とガーゼル王が席を立って大声で止めさせた。

「我々は、国同士の戦争をしているのじゃ。殺戮をしているのではない。これはまさに悪魔の武器。これ以使ってはならぬ」

 怪訝な表情でジーザ王子はガーゼル王の顔を見た。

「判らぬかジーザよ。『天の国』に攻め込んだのは、この国を破壊するためではない。『天の国』を我らの新たな領地とし、『地の国』がさらに大きくなって、より繁栄するための戦いなのだ。無闇と民の命を奪ってはならぬ」

 部下達の面前で罵倒された王子は、顔色無くうつむいたままとなった。


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