第二十五話 釈迦如来像のお話
聖天様など少しマニアックな仏様の話が続きましたので、
ここらで最も基本的な仏様
すなわちお釈迦様の像の話をすることにします。
この世に「仏像」というものが造られ始めたのは
今から約2000年前で、
「仏」と言えば「釈迦如来」のみでありましたので当然、
仏像とは「釈迦如来像」のことでした。
釈迦如来の前身は
インドのヒマラヤの麓に存在した一小国、
釈迦族の王子でありましたので釈迦と言われました。
別名の「釈尊」とは釈迦牟尼世尊を略したものです。
釈迦入滅から釈迦如来像の誕生までには、
半世紀もの長い年月が経過しておりました。
最初は仏像というものはないわけで、
釈迦如来を庶民に信仰させるため
釈迦如来のお墓(塔婆)や足跡などの礼拝を
奨励したりしましたが、
庶民を仏教に帰依させるには
どうしても仏像が必要だったのでしょう。
そして入滅直後なら人間としての釈迦の姿で
像も作られたことでしょう。
しかし長い間、釈迦如来像が造られなかったので
釈迦如来の人物像を知るものは当然いません。
従ってどうしても釈迦如来を理想化、
絶対化して偉大な尊像に造り、
民衆にそれを崇めさせようという方向に向かいます。
そこでお釈迦様だけではありませんが、
如来の共通の特徴である
「三十二相八十種好」が出来て
釈迦如来は神格化されていきます。
三十二相八十種好とは
仏の優れた容姿の特徴で32の大きな特徴と
80の細かい特徴のことです。
これは経典により多少の相違がありますが、
仏像及び仏画はこれに倣って作成されるのです。
主なものを挙げてみます。
1. 足下安平立相
足の裏が平らで、地を歩くとき足裏と地と密着して、
その間に髪の毛ほどの隙もない。(扁平足)
2. 足下二輪相
足裏に輪形の相(千輻輪)が現れている。
仏足石はこれを表わしたもの。
5. 手足指縵網相
手足の各指の間に、鳥の水かきのような金色の膜がある
(これはもれなく我々を救ってもらうため)。
15. 丈光相
身体から四方各一丈の光明を放っている(いわゆる後光)。光背はこれを表す。
22. 四十歯相
40本の歯を有し、それらは雪のように白く清潔である。
(常人は32歯)
23. 歯斉相
歯はみな大きさが等しく、硬く密であり一本のように並びが美しい。
27. 大舌相
舌が軟薄で広く長く、口から出すと髪の生え際にまで届く。
しかも、口に入 っても一杯にはならない。
32. 白毫相
眉間に右巻きの白毛があり、光明を放つ。
伸びると一丈五尺ある。
ところで釈迦如来が我が国では
「お釈迦さん」といって親しみを感じる面があるのは
お釈迦さんが如来の中では実在された唯一の方であり、
愛らしい「誕生仏」などがあるからでしょうか。
そして涅槃といって入滅する(亡くなる)像があるのも
他の如来に見られない特色です。
つまり生まれてから死ぬまでの姿が像になっているわけです。
また釈迦如来像の「印相」は、
東南アジアでは降魔成道の「降魔印」が多いのに比べて、
日本では「施無畏・与願印」の現世利益的な印相をした
釈迦如来が殆どで、
これだけでは釈迦様と断定するわけにはいきません。
他の如来と区別をするときは
「脇侍」が「普賢菩薩・文殊菩薩」か、
「十代弟子」であれば
すぐにお釈迦様と見分けられると言うわけです。




