第二十四話 稲荷様と荼枳尼天
二月の初めの午の日を初午と言います。
その昔の和銅4年の初午の日に
京都の伏見稲荷の神様が降りた日と言うことで、
京都深草の伏見稲荷をはじめ
大阪の玉造、愛知県の豊川稲荷など、
各地の稲荷神社で盛大に祭がとり行われるそうです。
稲荷神の信仰は、
農耕を司る倉稲魂神を祀って
五穀豊穣や福徳を祈願するものですが、
キツネを稲荷神の使いとして油揚げを供えたり、
初午団子などを作る風習もあったそうです。
江戸時代には最も盛んな信仰となり、
江戸では数が多くて目につくものを
『火事、喧嘩、伊勢屋、稲荷に犬の糞』
などと言われたくらい多かったと言われます。
ところで三大稲荷の豊川稲荷は
いかにも神社のような名前ですが、
ここは円福山 豊川閣 妙厳寺という曹洞宗の寺院です。
従って本尊はお稲荷様ではなくて
千手観音様ということですが、
稲荷も祭られていてこちらの方が有名です。
そして「稲荷」とは荼枳尼天のことで、
もともとヒンドゥー教の神で、
人肉、もしくは生きた人間の心臓を食らう夜叉神であったのが
仏教に取り入れられてからは
大日如来が化身した大黒天によって調伏され、
死者の心臓であれば食べることを許可されたということで、
自由自在の通力を有し、
六月前に人の死を知り、
その人の心臓をとってこれを食べるといわれています。
曼荼羅の中では荼吉尼天の神体が白狐なので、
日本ではお稲荷さんのお使いの狐と結びつき、
荼枳尼天=狐=稲荷から、
荼枳尼天=稲荷となり、
鬼女より福の神の性格が強くなったという話です。
すなわちこの神様は肉食、飲酒、乱舞、性的な放縦など、
荒っぽい性格ですが、
手段を講じてなだめれば、
大きな恩恵をもたらす、とされています。
この神様は人を選ばないといわれ、
誰でも開運出世の福徳神として
願望を成就させてくれるということで、
広く信仰を集めているのです。




