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第二十一話 仏様の持ち物検査のお話

仏像が手にもっているものを持物じぶつといいます。

これも仏像によって様々で、それぞれに意味があります。

この持ち物はその仏像の功徳を暗示しているのです。

ですから、仏像の持っている特徴や意味を

この持ち物で判断する事が出来るのです。

持物により仏像の種類を見分けるキーポイントにもなります。

前に仏像は、

如来・菩薩・明王・天の四種類があると言いましたが、

持ち物についてもそれに従って考えてみますね。


「如来像」は基本的には何も持っていませんが、

唯一、薬師如来だけは左手に「薬壺やっこ」を持っています。

その中には万病に効くとされる薬が入っていて、

人々を病の苦しみから救うとされています。

薬師如来は、釈尊と同一視される事が多く、

釈尊の人々を救いたいとする

現世的な御利益の心を象徴するもので

薬師如来が修行中に菩薩であったとき

十二の誓願を立てた中に

「体が不自由であったり、

重病に悩む者が私の名を聞けば

必ず体が良くなり、病気が治るようにしよう。

どのような難病であっても

私の力で治してあげよう」

というものがあったからです。

但し、飛鳥時代の薬師如来像は

薬壺を持っていない場合もあります。


次に「菩薩像」ですが、

観音菩薩などは

蓮華(れんげ=蓮の花)を持つことがよくあります。

これは泥の中から生じても

泥に染まらずに清らかさを保つことから、

汚れることのない仏の真理(智慧)に例えられます。

不思議な甘露水が入っていて、

ふりかけると穢れが消えるとされる水瓶すいびょうを持つことも、

また、財宝をもたらし災いを除くとされる「宝珠ほうじゅ」は、

竜王の脳中から出た、

あらゆる願いをかなえる珠であり、

どんなものでも取り出す事が出来ます。

如意輪観音などは、

法輪ほうりんという戦車の車輪であり、

仏の教えの広がりをあらわすものを持ちます。



もっとも有名な「地蔵菩薩」は

杖を持っていたり宝珠を持っていたりします。

錫杖しゃくじょうは、

上部に鉄の輪がいくつかついた地面につくと音が鳴る杖です。

これはどこにでも、

杖をついて出かけていく意味と

宝珠によってどのような功徳でもほどこしてくれることを

示しているのです。

地蔵菩薩は釈尊の入滅から、

未来仏である弥勒菩薩の出現までの間、

仏のかわりに六道輪廻ろくどうりんねの世界で苦しむ

すべての人々を救うための菩薩だとされています。

「地蔵」とは地の宝を意味し

大地の趣旨が差別なく成長させる様子を

象徴的にしている菩薩とされているのです。


次の「明王像」は、

武闘派らしく剣、弓、矢、鉾などの武器を持っていますが

これは仏教に敵対する者や悪魔、

わからずやの民衆を怒り心頭に発した姿・顔つきなどでおどし、

教化して救おうとしている姿なのです。

特に不動明王などの明王は、

煩悩を断ち切る智慧の刀「宝剣」を持ち、

これを投げることで

衆生をもれなく救うとされる「羂索」は五色の糸をよった縄です。

煩悩をとらえると言われます。

この「羂索」を持つ観音を特に、

不空羂索観音と言います。

また愛染明王は、

金剛杵こんごうしょという、

杵の形をした古代インドの武器を持ち、

先端の形で 独鈷杵どっこしょ、三鈷杵、五鈷杵などがあります。


「天)」はその役割によって様々です。

例えば弁財天のように技芸の神様は琵琶をもっていたり、

護衛の役割をする四天王のように剣、弓、矢、鉾などの

武器を持ったりします。

しかし四天王も時には、

多聞天や毘沙門天は、

仏舎利(釈迦の遺骨)を納めた塔「宝塔」を持ったり、

広目天のような知性派は筆と巻物を持ったりすることもあります。

一般的には、

日輪、月輪、塔、幡(長い旗)を持っている場合が多いようです。


持物の数の多さとバラエティでユニークなものは、

なんといっても、千の手を持つ「千手観音像」で、

それぞれの手に多彩なものを持っています。

蓮華や水瓶はもちろんのこと、

弓や剣などの武器、ドクロ、柳の枝、ブドウ、巻貝、宮殿など

色々な物を持っています。

仏像を見た時、どんなものを持っているか

探してみるのも面白いものです。

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