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「おはようーございます!!」
「ハルさん、おはようございます。今日もお休みの日なのに、早起きですね。」
「おはよう。ハルは今日一緒に街に行くんだよな。」
「はい。今日は魚介類をたくさん買いたいです。あと、冬になる前に保存食作っていきたいですね。」
「魚介類はいいですね。保存食ですか?インベントリに入れておけばいいのでは?」
「あ!」
「インベントリは便利だ。だが、保存食って梅干しやらお漬物とかだろう。そういうのは食べたいな。」
「ああ、そういうのであれば、わたしも食べたいです。早くお米も見つけたいですね。」
「トモさん、後、調味料は別容器に分けて様子見していたじゃないですか。別容器に移しても、次の日、元に戻りました!」
「そうか、調味料増やせるのか。塩はともかく、砂糖と胡椒も街で買えばお高かったな。じゃ、今日街で調味料の販売元調べようか。下手に売ると新参者は消されるかもしれないからな。」
「お酒にしても、調味料にしても勝手に売って儲けられたらいいんですけどね・・・。」
「既に市場があるからな。大きな街なら特に利害関係者がいる。実力もないままに手を出しては危ない。そこは慎重にする必要がある。まぁ増やしておいて、漬物作ったり、デザート作ったりして自分たちで消費するのが一番正しい在り方かもな。ちゃんと討伐に行って、街仕事して、歌でも歌えば生きていけるしな。」
「そうですね。塩や砂糖を増やして保存食つくってみます。お漬物にジャムや甘露煮も食卓が豊かになりそうです!」
「そうですね。わたしたちはまだこの世界のことを何も知らない新参者です。あまり目立つようなことは無い方がいいですね。」
「んんんー。おはよ。何の話をしてるの?」
「レン、おはよう。」
「レンくん、おはようございます。」
「おはようございます。レンくん、今、調味料を増やして保存食作ろうかっていう話をしていました。」
「保存食?インベントリに入れておけばよくね?」
「お漬物とか、梅干しとか、ジャムとか甘露煮とか作ろうかなと。」
「あああ。それは欲しい。梅干し食べたい!」
「今日はトモさんと街に行って、魚介買って味噌漬けにしようかと思っているんです。」
「魚の味噌漬け、いいな。ああ、本当米が欲しいな。」
「魚は生で食べるのは無理そう?」
「この世界の衛生状況がまだよくわかっていないしね。」
「わたしが薬師の師匠に聞いてきます。せめて腹下しの薬とか作れるようになってからにしましょう。」
「そうだね。ジュンさんの回復魔法は病気には効かないしね。」
「あ、でも、トモさんの水魔法で氷が作ったし、ウイスキーからハイボールが作れるのであれば、ジュンさんの回復魔法で病気も治せるかもしれないね。」
「レンくん!!!その発想はありませんでした!でも絶対ないとは言えないですね。トモさんの魔法やスキルの使い方を見ていれば、強い意思があればある程度改変できるかもしれないですね。」
「強い意思というのか、トモさんの場合は強い欲望だけどね。」
「レン!強い欲望、いいじゃないか。お陰で美味しい酒が飲めたぞ!!」
「トモさん、ありがとう!!僕もお酒好きだから昨日は美味しかったし、嬉しかったよ!僕も魔法やスキル極めてみる!」
「そうだな。少しでもこの世界で生き延びるためにも、そして少しでも幸せになれるためにも魔法やスキルを極めることは損ではないと思う。」
「わたし、回復魔法もう少し欲望を持って使えるかどうか試していきます!」
「わたしも生活魔法もスキルの家事もレベルあげたいです!!」
「ああ、みんなで頑張ろう。よりよい生活を目指して!!」
「「「おー!!!」」」
こういうノリが楽しい。今日はわたしとトモさんと一緒に街に行き、レンくんは買ってきた銀で細工師スキルを使ってみるそうだ。ジュンさんは社畜ブラックにならないように、今日はのんびりするそうだ。そうだよね。今日はどっちかといえば日曜日みたいな日だ。わたしは魚介類が食べたくて家でじっとしていられないからまぁいいか。
◇
街に着いて、トモさんが納品を済ませる。結構な収入。2人でにまにましてしまう。ヴァルドさんからは、いいペースだ。無理だけはするなとアドバイスをもらった。最近ヴァルドさんからの声掛けも力が入っている。応援してくれているのかな。本当いい人!
トモさんが海近くの市場に一緒に行きたいというので、ぶらぶら2人で歩く。だんだん周りの空気に海の匂いが混じってくる。潮の香りなのかなぁ。ちょこっと魚の生臭さも漂っているような気もする。トモさんもちょっとウキウキしているようだ。いいよね。海!
「海の近くの市場っていいな。活気があるし、魚介類だ!!シルバーフォックスのお陰で懐も温かい。ハル、買うぞ!」
「はい!」
トモさんと2人で多くの魚介の店を回る。大きな魚小さな魚、イワシのような魚、派手な熱帯魚のような魚、見たことが無い魚、貝類も多かった。あっちにうろうろ、鑑定して新鮮なものを調べてはうろうろ。
「ハル、その魚はどう料理するんだ?」
「トモさん、これは一夜干しを作ろうと思って。」
「いいな。一夜干し。ヨシ、多めに買おう。そっちの小さい魚は?」
「ああ、これは煮干し代わりにしようかと、お味噌汁を作りたいんです。」
「ああ!いいな。味噌汁!ヨシ、それも買え!!」
鑑定しながら、美味しそうな魚介を選んでいく。生魚は絶対鑑定が必要。美味しいものを食べて欲しいし、病気になって欲しくないからね。出来るだけ新鮮で寄生虫とかいないものを選ぶ。ああ、あのあさりに似た貝が美味しそう。
わたしが必死で魚介類を買っていたら、いつの間にかトモさんはサザエのような貝を露店で焼いているのを見つけて買っている。
「ハルの分も買ってきたぞ、ちょっと脇に外れて食べるぞ。あ、ハルのインベントリに醤油入っているだろ、少しかけてくれ。サザエには醤油だろ。」
2人して市場から少し外れた人が流れていない場所に避難した。何人か焼いた魚とか食べている人もいる。やっぱり出来立ては美味しそうだものね。
「あちち、熱いけど旨いな。これ。やっぱり焼き貝には醤油だな。管理人に感謝!」
「ほっんと美味しいですね。今日は後、豆腐とわかめのお味噌汁を作りたいので、東の市場に行って、大豆に煮た豆を買うつもりです。」
「豆腐?にがりはどうするんだ?」
「ここ、海の近くだから、後で海水を持ってかえろうかと。」
「ああ。手伝うよ。」
トモさんと、市場の外れから海の方へ出て、隅っこで海水を空いた陶器製の壺に入れてインベントリに収納する。いいなぁ。この街。穏やかな海だ。久しぶりに海に来た。可愛い貝殻とか拾いたいところだけど、今日は豆も買うのだ。トモさんも海を見て嬉しそうだった。また、皆で遊びに来てもいいな。
「東の市場に豆が売っていたのか?」
「はい!八百屋の隣のお店に何種類か豆がありましたから、大豆に近い色合いのものありました。あれなら豆腐作れると思います。」
「それにしても、わかめと豆腐の味噌汁か、ますます米が欲しくなるな。」
「お米あるといいですねー。あ!!鑑定!!東の市場の入り口で鑑定使ってみます!!」
「は??」
「市場全体に鑑定です。土地を鑑定したみたいに全体鑑定できそうな気がします。」
「そ、そうか?ハルが出来るっていったんだ。とりあえず試してみたらいい。」
「はいっ!」
魚介類をたくさん買ってうきうきのまま、東の市場へ移動する。全体鑑定出来る気がするんだ。やってみたい。
ということで、東の市場に到着!こっちも活気がある。市場の入り口付近で少し人通りから外れて鑑定を使う。う、お、ああ、頭の中にたくさんの情報が流れてくる。無理やり動画を見せられている気分、売っているもの、置いてあるもの、どどどっと、情報が流れる。と、あ、あああ、『穂草・・・家畜の餌、日本の米に似ている…』という情報を見つけた!
「と、トモさん!!見つけました。『穂草』という名前の家畜の餌が米に似ているっていう情報がありました!!!」
「ほ、本当か?本当に市場全体の鑑定っていけるのか・・・。家畜の餌か。そりゃ、この間来た時には素通りしたな。」
「早く、早く、トモさん、確認しに行きましょう!!」
トモさんの手を取って走っていく。米は逃げないってわかっているけど、一刻も早く米に会いたい。異世界に来て1週間目、初めて会う米だ。市場の中を小走りで駆け抜ける。鑑定結果はだいたいの場所も教えてくれた。本当便利で助かる。
「と、トモさん、ここです・・・。」
「ハル、おまえ、運動不足だな。ぜいぜいしているぞ。」
「わたしの運動不足はこの際いいです。ほ、ほら、あそこ、穀物売っているお店、家畜の餌らしきもの、あれ米じゃないですか?お、おじさん、この『穂草』っていうのを見せて下さい!!!」
「おう、いいぜ、これは牛や馬が好きだぜ。」
おじさんから『穂草』という名前のものを受け取る、そのまま鑑定をする。『穂草・・・家畜の餌、日本の米に似ている』こ、これ!!少し小さめだけどこれだ。
「おじさん、この『穂草』ってどこで採れるんですか?」
「ああ。これは草原のダンジョンの2階の湿地帯らしい。冒険者に依頼しているよ。」
「おじさん、ありがと!!!今日はここにあるだけ買いたいです!!!」
「おう、結構多いが大丈夫か?」
「トモさんが収納持ちだから大丈夫です。」
「収納持ちがいるのか、良いな。よし。まいどあり!」
『穂草』の在庫が全部はけて嬉しいおじさんと、あるだけ買えて嬉しいわたし、お互いにこにこしながらお店を出たら、隣で『穂草』を収納したトモさんもにこにこだ。
「トモさん、これでご飯が食べられるね。」
「ああ、ご飯に、豆腐とわかめの味噌汁か、メインは何にするんだ。」
「トモさんこそ、何がいい?」
「久しぶりのご飯だ。ここは定番の肉じゃがはどうだ。」
「いいですねー。定番中の定番!!この街のメインのお肉は魔物肉ですが、柔らかそうなお肉選びます。芋は家の芋がちょうど良さげだし、後いんげんっぽい豆も買いましょう。あ、糸コンはないでしょうね・・・。」
「ああ、俺は糸コンなしでも大丈夫だ。玉ねぎは欲しいかな。」
「じゃ、玉ねぎに似た野菜も探しましょう。さぁトモさん、行きましょう!!」
トモさんと市場を見回る、玉ねぎっぽい野菜は見つかった。日本の玉ねぎより少し大きくて、少し皮が薄い色だったけど、似ている。名前は丸ネギというらしい。玉ねぎっぽいものって、たぶんこれからもそう呼ぶとは思うけど。
「じゃ、全部買えたか。帰るか。」
「トモさん、東の市場と西の市場を回りましたが、お菓子というのかスィーツが少ないですね。甘味ですよ。甘味は干した果物と飴っぽいものが売っていただけでした。」
「そうか、俺はそれほどスィーツを自分では買わないから気づかなかった。調味料の相場を調べた時、胡椒と違って砂糖は目玉が飛び出すぐらいお高くはなかったのにな。」
「そうなんですよ、トモさん!!バターも卵も小麦粉も普通の値段で街の食料品はそれほど高くはないのです。ハチミツも普通に売っていました。なのに、お菓子類はほとんど無いんですよ!!だから、無ければ作ればいいんですよ!」
「は?ハルは先日クッキー作ってくれたじゃないか。もう作っているだろ?」
「はい!この街の材料で美味しく作れました。だから、この街でわたしのクッキー売れないかなと。」
「ああ、そういうことか。いいんじゃね。俺、街仕事で商業ギルドに行ったから知り合いできたから、聞いてみるよ。最初は露店だろうな。」
「はい!試してみたいです。」
「砂糖は増えたのか?」
「はい!毎日最初の調味料が入っていた瓶や壺から、倉庫に置いてあった器に半分ずつ移していますが、当初の方はちゃんと朝に元に戻っています。そして移した方は増えたままです!どんどん増えるので、今日は調味料用の少し大き目の甕?壺?みたいなものを買いたいです。」
「おお、そうなのか、いつまで最初の調味料が元に戻り続けるかなんて不確かなものだ。増やせる内に増やしておけ。」
「はい!そうするつもりです!!」
と、いうことで、陶器製の高さ30センチぐらいある壺をいくつか購入。最初の調味料は、塩、胡椒、砂糖、醤油、味噌、料理酒、お酢、味醂、マヨネーズ、ソース、ケチャップ、ごま油、オリーブオイル、菜種油、オイスターソースまであった。ほぼわたしがこれまで使ってきた基本の調味料はコンプリートされているのだ。
わたしのレシピを管理人さんに覗かれたのかと思うぐらい、いつも作っていた料理が作れるだけ揃っていた。本当に感謝!!
賞味期限の短いものは全部インベントリに入れているのに、他の容器に移した分は次の日に戻っている。不思議。だったら、全部移したらどうだと思うけど、全部移したら終わってしまいそうで、移すのは半分にしている。ヘタレだけど、自分の勘を信じたい。
充分買い物できて満足。トモさんは商業ギルド寄ってくるわと別れ、わたしは一人で家に帰ると、スィーツを作りたい欲が高まっていたので、ドーナツを作った。街にお菓子を売っていないっていうことは、型が売っていない・・・。ケーキの型もバウンドケーキの型もシフォンケーキの型もフィナンシェの型もないんだよなぁ・・・。
当分はクッキーやドーナツ、パンケーキかな。型は街の鍛冶屋さんにでもお願いしてみようかな。
「あー。いい匂い!ハルさん、また美味しいもの作っているの?僕の部屋までいい匂いが漂ってきたよー。」
「あ、レンくん、今日はドーナツですよ。」
「美味しそう!食べてもいい?」
「ええ、いいですよ。今日は1日細工していたんですか?」
「いただきまーす。あち、でも、美味しい。そう、今日はずっと細工していたよ。あ、ふわふわ。出来立てのドーナツって初めて食べたけど、こんなに美味しいんだ!」
幸せそうな顔で口の中をドーナツでいっぱいにしたレンくんを見てわたしまで幸せになる。自分が絶対美味しいと思ったものを、本当に美味しいと笑顔で応えてくれる。これがオトメンの幸せ。これこそ幸せ!!
「ハルさん、お帰りなさい。街で欲しいものは買えましたか?今日も美味しそうなもの作っていますね。」
ジュンさんも部屋から下りてきたようだ。ドーナツを揚げる甘い香りが2階まで蔓延しちゃったか。
「ジュンさんのお休みの邪魔をしちゃいましたか?街ではたくさんの魚介も米っぽいものも買えました!」
「うわぁ。魚介にお米ですか!それは心躍りますね。あ、そろそろ休憩しようかと思っていたので、この甘い香りは邪魔ではないですよ。わたしもひとつ頂きますね。んー。美味しいです。やっぱりハルさんの料理の腕は凄いです。」
ジュンさんに微笑まれると、ついぽわんとしてしまう。美人は目に毒だ。
「えへへ、ありがとうございます!」
「ねぇ。トモさんは?」
「トモさんはわたしがお菓子を街で売ろうかなと思っているのを聞いて、商業ギルドで露店のこと聞いてきてくれるのです。」
「へー。ハルさん、お菓子売るんだ!ハルさんのお菓子美味しいもんねー。あー。僕もアクセサリーカッコよく作れたら一緒に売りたい!!」
「ハルさん、良いですねー。ハルさんのお菓子ならきっと売れますよ。わたしも薬師の師匠に教えていただいた傷薬を売って良いか聞いてみます。」
「うわぁ。みんなで売れるといいですねー。めちゃくちゃ楽しみです!!」
もももと、口いっぱいにドーナツを頬張っているレンくんに、少しずつ丁寧に上品に食べているジュンさん、どっちも幸せそうだ。アクセサリーと傷薬か。一緒に売れたらいいなぁ。
「レンくんのアクセサリーはどんなものですか?見せてもらえますか?」
「ああ。ちょっとまだ待って。今試行錯誤中!!買った銀も少ないし、外国の古代貨幣のモチーフで作っていたんだけど、ペンダントにしようかなと思っていたんだけど、ネックレスの部分がまだ作れていないんだ。」
「早く岩系ダンジョン行けるといいですねー。」
「僕たちまだレベル5だから、岩系ダンジョンは推奨レベル7だから、後少しだね。」
「今日、食料の買い出したくさんしてきたから、明日は森で狩りをしましょう!!」
「おう、なんかにぎやかだな。ただいま。」
「あ、トモさん、おかえりない。」
「ハルが菓子作っていたのか?」
「トモさん、おかえりなさい。はい、ドーナツ作っていました。美味しくできました!」
「そうか、小腹が空いているな、手を洗ってくるわ。」
トモさんもテーブルに着いたので、みんなにも紅茶を入れる。コーヒーの豆はまだ見つけられていないのだ。この世界にあるのかなぁ。
「どれ、ハルのドーナツ。お、旨いな。揚げたてか。」
「トモさん、商業ギルドはどうでした?」
「ああ。上手く行ったぞ。露店許可を貰ってきた。」
「新参者なのに、そんなに早く許可っていただけるんですか!?」
「ああ、ウイスキーの小樽を渡せばすぐだったぜ。」
そう言って、トモさんはいつもの黒い笑顔だ。この人は・・・。賄賂ですね。
「トモさんも露店でお酒売るの?」
「ああ、自分たちだけで飲もうと思っていたが、商業ギルドが思ったより良い反応したから、せっかくだから売ろうかなと。ハルの菓子もOK出たが、どんなのか想像がつかないから、一度売る菓子を持っていく必要があるが。」
「トモさん!僕もアクセサリー売りたい!!」
「あ、レンは細工師のスキルでアクセサリー作ったのか?」
「まだ完成していないけど、作っていると楽しい。カッコよく出来たら売りたい!」
「あ、わたしも傷薬とか売ってみたいです。」
「そうか、レンもジュンさんもか。じゃ、売り物が出来たら商業ギルドに行こう。」
「それで、それで、レベル7になって、岩系ダンジョンへ行きたいから明日は森に狩りに行きたいんだ!!」
「ああ。それで狩りか。いいぞ。シルバーフォックスの毛皮は、1匹につき銀貨1枚でちゃんと売れたしな。」
「やったー!!明日もシルバーフォックスを狙おう!!」
「わたし、今日買ったお米で明日のお弁当はおにぎり作りますね!!」
「あ、そうだ。お米見つけたんだね。久しぶりにおにぎり嬉しい。」
「今晩もご飯とわかめと豆腐のお味噌汁と肉じゃがとお魚の甘露煮出しますね。」
「え、ハルさん、そんなに作れるんだ。嬉しいなぁ。」
「今晩も楽しみですね。」
「みんなに喜んでもらえるとわたしも嬉しいです。頑張って美味しく作りますね。」
「次元の狭間に落ちて、地球から輪廻外れたって言われてショックだったけど、みんながいて、美味しいご飯があって、自分でアクセサリー作れるようになって、地球でだらだら大学生をしていた時より生きているって実感しているよ!!」
「そうですよね。わたしも毎日楽しいですよ。」
「ああ、なんだかちゃんと生きているなって感じはするな。」
「ええ、落ちた先で会えたのが皆さんで良かったです。」
「ああ、次元の狭間に落ちて、この森に飛ばされた時はどうなるかと思ったけどな。」
「ほんと、たった1週間ぐらいなのに馴染みましたね・・・。」
そう、たった1週間前まで、普通に仕事して普通に1人暮らししていた。それなのに、今では、森に討伐に行って魔物を倒し、街で仕事をして、畑を作って、時々歌ったりしている。精神耐性つけてもらったけど、馴染み過ぎだよね。ちょっとみんなで苦笑する。
「それにしても、ハルさんのドーナツ美味しいね。これも売れるんじゃない?」
「そうかな、街ではあまり甘いものって無かったんだよね。」
「あんまり大げさにするつもりはなく、市場の外れで少しずつ売ってみよう。」
「忙しくなるかな?」
「お金がないよりましだろう。」
「確かに・・・。」
最後のドーナツはレンくんが取ってしまった。レンくん一体何個ドーナツ食べたんだろう。あんな細い体に入ってしまうんだね。スポーツしていた子は凄いや。
「今日は休みだから、夕飯まで休もう。体は無理しちゃダメだからな。」
「賛成!!」
4人はしばらく雑談をしていたけど、それぞれの部屋に戻った。どんなお菓子を売ろうか考えただけでわくわくする。レンくんが言うように、ドーナツもいいな。あ、何に包もう?箱とか買ってくれた人に渡す時の入れ物っているよね。ああ、街で何に入れて売っているのか見てこないと!何か新しいことを始めようと思うとたくさんの準備がいる。でも、それが面白いって思える。楽しみー。
さぁ豆腐作りに行こう。甘露煮もそろそろ作り始めないと、家事スキルのお陰で長時間かかりそうな料理もあっという間に出来る。本当スキルに感謝!!材料があれば何でもできちゃう!あ、でも、トモさん、炭酸とかレモンとか材料ないのに、ハイボール作っていたよね。管理人さんが忖度してくれているとか?!材料がないとダメだとか思い込むのがダメだとか?もっと自由にもっと我儘にやってもいいんだろうか。
ああ、今日の豆腐作りは成功しそうだ。だって、ウイスキーからハイボールが出来たのをわたしは知ってしまっている。だったら、海水と豆があれば楽勝じゃない?なんだか最初から作れそうって思ったのもある。家畜の餌として売られていた『穂草』もだ。あれはご飯になるって確信している。ほんと面白いスキル
米っぽいものを鑑定して家事スキルで確認して水加減を決める。海水と豆から豆腐を作る。甘露煮は調味料を浸透させる。家事スキルが万能でまるで圧力鍋で料理した風にできる。
最近は芋の皮を剥くのも一瞬だ。丁寧に作っているのに時短。なんて素晴らしいんだろう。
お米の炊く香り、甘露煮の甘い香り、肉じゃがの優しい美味しそうな匂い。出汁は小魚だけど、美味しそう。ああ。ご飯作っている時ってなんでこんなに幸せなんだろう。出来たものから冷めないようにインベントリに収納していく。本当収納も便利。あの時ごり押ししたレンくん様様だよー。
「ハルさん、美味しそうな匂い!!おやつにドーナツ食べたのに、この匂いでお腹減っちゃったよ。」
にこにこしながら、レンくんが2階の個室から下りてきた。それをきっかけにジュンさん、トモさんも集まってきた。さぁ今日の夕食を食べよう。
「「「「いただきます!」」」」
「ああ、いいな。ご飯。粒は小さめで粘りは少し足りないけど、十分ご飯だ。」
「ええ、家畜の餌で売られていたので、少し小さくて少しぼそぼそした感じはありますが、それでもご飯の味がします。あるだけ買ってきたので在庫はまだありますが、ダンジョンの2階の湿地に生えているそうなので、取りに行きたいですね。」
「ハルさん!なんで豆腐が?!」
「ほんと豆腐ですねー。街で売っていたのですか?」
「へへ。西の市場は海が近いので、トモさんと海水を取りにいったのです。豆は東の市場で買いました。」
「え、ハルさん、豆腐まで作っちゃったの?」
「はい!家事スキルがあるから大抵のものは作れちゃいますね。」
「うわぁ、いいね。そしてありがとう。めちゃくちゃ嬉しい。懐かしい味だよ!!」
「ああ、美味しい。ハルと海水取りに行っただけのことはあるな。ついでに海藻も採っていたけど、わかめのようなこれはその時の海藻か。」
「はい!一番わかめに近いものを鑑定して採ってきました!意外といけますね。」
「ハルさんのスキルは凄いです。こんなに美味しいご飯をありがとうございます。」
丁寧に感謝されて、少しくすぐったい。実家でも料理させてもらっていたし、1人暮らしでもがんがん作っていたけど、みんなに美味しいって言ってもらえて嬉しそうな顔で食べて貰えるのが思っていた以上に嬉しい。討伐では解体以外で役立たずだけど、特技がいかせて本当に良かった!!
「「「「ごちそうさま!!」」」
「明日は討伐だな。シルバーフォックス行くぞ。レンは寝坊するなよ。」
「はい。はーい。討伐は僕も楽しみだから大丈夫だよ!」
「じゃ、風呂入って寝るか。」
「風呂待っている間、歌おう。」
「レンも結構歌好きになったな。」
「スマホもゲームも漫画もないしね。」
「あ、エール作ったぞ、少し味見するか?」
「エールって何?」
「ビールの仲間みたいなもんだな。ほら『水曜日のネ〇』っていう銘柄みたことないか?あれがエールだ。」
「猫のビール見たことある!飲んだことはないけど。ビールと似ているなら飲んでみたい!!」
「今回はお試しだ。風呂に入るから本当に少しだけだぞ。」
順番にお風呂に入っていく間、トモさんのエールを残ったメンバーで試飲する。思ったより軽くて飲みやすい。夕飯食べたばかりだから軽いおつまみでもつくろう。クラッカーのチーズ乗せと、西の市場で買ってきたイカの一夜干しだ。これを細く裂いてみた。
酒が入ったので、歌は賑やかになった。ほろ酔い気分に、ほかほかのお風呂、そうして異世界に来てから7日目の夜が過ぎていった。




