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翌朝、大量のサンドイッチを作った後は、今日明日自由行動ということで、食事もそれぞれ自由な時間に取ることに。各自わたしが作ったサンドイッチを自分のインベントリに収納する。これは今日のお昼ご飯かおやつの予定。朝はピザもどきを作ってみた。ベーコンとトマトとチーズ、鳥の魔物肉で作った照り焼きチキン風、バジルっぽいハーブを使ったマルガリータもどきなど。みんなで熱々を食べた後は、家に残るトモさんと、街に行くわたしたちで別れる。
街につけば、布を買いに行くわたしと、薬師の家に行くジュンさんと、細工師のスキルがどう使えるか、街探索にレンくんが行くことになった。帰りはそれぞればらばらに帰ることにした。街から森までは一本道だから迷わない。街から森まで20分、森から家までは10分ほどだけど、もう大丈夫。家に帰ったら家庭菜園の手入れもしよう。
布は麻布が安くて多く出ていたので、麻布にした。その中からリネンを選んだ。肌触りもいいからね。肌着にはぴったり!色の付いたものは無かったので、刺繍糸も買った。それぞれの肌着に名前を入れよう。今の肌着は大きさが微妙に違うので(本当選んだ部屋はみんな適当だったのに、そこに置いてあった服はそれぞれのサイズにぴったりだったなんて、不思議だった!!)それで区別していたけど、毎回サイズ合わせするのが、ちょっと面倒だったんだよね。
名前入れよう名前!!それか刺繍でイラスト?マークでも入れるか。トモさんは氷の結晶、ジュンさんは桔梗の花、レンくんはキャンディが似合うかも。わたしは可愛いものがいいな。子猫がいいかなぁ。そんなことを考えながら刺繍糸を何色も買ってしまった!後は食材も買っていこう。肉ばかり食べているけど、魚介類はないのかな。
「魚介?あるよ。西側の市場だね。こっち東の方は魔物肉が多いね。」
「おばちゃん、ありがとー。」
と、いうことで、最初に馴染んだ東の市場から行ったことがない西の市場へ移動する。大きな街だから何か所か市場みたいなのがあるんだなぁ。西側って海でも近いのかな。
てくてく体感7分ぐらい歩いていくと、賑やかなお店群が見えてきた。こっちも開放的だ。あ、魚の匂いがする。海の匂いだ!これは買わなくては!!!
あああ、でも、布を大量に買っちゃったので、残金がそんなに無い!昨日の狩りの納品は明後日だ。う、全部トモさんのインベントリに入っているんだよねー。残念。今度納品に来てシルバーフォックスの毛皮売れたらいっぱい買おう。今日は新鮮なお魚1匹ぐらい買えるかな。
鮭っぽい見かけの魚が買えたので、魚が悪くなる前に速攻で帰宅する。生ものだもの早めに調理せねば。キノコやキャベツ、玉ねぎ、人参っぽいものを買ってきたので、ちゃんちゃん焼きを作ることにした。出来たら夜までインベントリに保管だ。あ、インベントリに入れたら時間経過しないんだったら、慌てて帰らなくて良かったとか?あああ、泣き。
まだまだ異世界に慣れていないんだなと思う。
リビングで裁縫道具を広げ、テーブルで肌着用の布を切ったり縫ったりしていく。小さなワンポイントの刺繍も入れる、ああ、楽しい。幸せー。刺繍はひと針ずつ模様が完成していく過程が好き。トモさんの氷の結晶が思ったより上手くできた!へへへ。
集中するとスキル力もあって、あっと間に仕上がる。目にも止まらない速さに自分でも驚く。トモさんの氷の結晶以外にも、ジュンさんの桔梗の花、レンくんのキャンディが可愛い!!自分用の子猫がなんてキュート!上手すぎる!自分の腕に惚れ惚れしてしまう。こうしてちまちま刺繍をしている時間が本当楽しい。
ゴムがないので、トランクスは紐で締める分にしてみた。
全員の普段着とトランクスが作れたので、裁縫道具を片付けて、簡単にお昼を食べる。1人で食べても自分が作ったサンドイッチは美味しい。んー。めちゃくちゃ美味しい!そして丁寧に入れた紅茶、お砂糖多め。いい。ほんといい。
洗い物をして、ぱっと掃除もして片付けたら、家庭菜園の世話をしに行くことにした。
外はまだ明るい。土の匂いがする。小さな芽がたくさん出てきていて、嬉しい!!でも、雑草の芽も同じく伸びている。大事な野菜のため、雑草は抜かないと。
わたしは生活魔法の『給水』で水やりをしているけど、時々トモさんが水魔法で水やりをしてくれている。レンくんも暇つぶしに草取りしてくれている。有難い。
ジュンさんは虫が苦手なので、家庭菜園にはあまり出て来られない。ミミズもアブラムシも小さな黒い虫も全部ダメだそうだ。手伝えなくてごめんなさい・・・。って手を合わせて謝ってくれていた。大丈夫。わたしはぜんぜん平気だから!!ジュンさんにも苦手なものってあるんだなって思うと、少し身近な気がして逆に嬉しくなったのは内緒だ。
家庭菜園の作業が終わったぐらいで、レンくん、そしてジュンさんも順番に帰ってきた。レンくんはめちゃくちゃ興奮していたので、夕食前だけど、みんなで集まってお茶をすることにした。クッキー焼いたんだ。食べて欲しいっていうのもある。
「おう、おまえたちどうだった?」
家でずっと自分の部屋でウイスキー仕込んでいたトモさんがリビングに降りてきて、なんか楽しそうに聞いてきた。待っていましたとばかりレンくんが答える。
「僕、街を歩いてきて、アクセアリーとか売っているかどうか見てきたんだ!宝石売っているお高そうなお店はあったけど、安いアクセサリーはあんまり売っていなくて、売っているところも、子どものおもちゃみたいな感じだったよ。その露店のアクセサリー屋に材料ってどこで売っているの?って聞いてみたら、ダンジョンにあるって!!!ダンジョンだよ!!ダンジョン!!!」
「ダンジョンがあるんですか?!」
「ダンジョンって何ですか?」
「ダンジョンってゲームのダンジョンと同じようなものか?」
3人三様で返事を返したのは、小さい頃ゲームをどれだけ嗜んできたのかに寄るのだと思う。わたしは人並みに、トモさんはそこそこ、ジュンさんはほぼゲームはやったことがないらしい。
「この街に3つぐらいダンジョンがあって、ダンジョンがあるから街が出来たっていうことらしいんだけど、スケルトンやマミー、ゾンビ、ゴースト、リッチが出てくるアンデッド系のダンジョンと、ダンジョン内に空も草原もあり一般的な魔物が出てくるタイプのものと、ごつごつ岩系の魔物が出るダンジョンがあるみたい。
アンデッドのダンジョンはドロップが魔石だけだけど、経験値が多く、出てくる宝箱のアイテムは良いらしい、でも剣が通用しないから不人気だって。街の冒険者は空と草原のあるダンジョンがメインでほぼみんなここに通っているらしい。岩系のダンジョンは鉱物がドロップしたり、鉱物の採掘ポイントが多いから鍛冶師やドワーフや力自慢が行っているんだって。」
「もしかして、その岩系のダンジョンに細工師の材料があるとか?」
「そう!トモさん、勘がいいね。岩系のダンジョン、出てくるものも、カーバングル、ガーゴイルとか、ストーンゴーレムとか、メタルスライムとか岩系が多いんだって。その代わり、金銀や鉄銅、ちょっとだけど宝石も採れるって。ツルハシが必須らしい。」
「その顔は、行きたいっていう顔だな。」
「うん、行きたい!でも、レベルは7が推奨だって。もう少し森で頑張ってからだね。少しだけは銀が買えたから、レベル上がるまでは、買えた銀で何か作ってみるよ!」
「ダンジョンはレベル上がったら行きたいな。」
「草原のダンジョンは全部で20層あって、最初の1層目は子どもでも行けるって。でも、1層はスライムだけで経験値もここの森とそう変わらないみたい。2層目が角うさぎで、3層目がシルバーフォックスだって。だから、僕たちなら、3層目までかな。」
「わたしもダンジョンへ行ってみたいです。」
「わたしはダンジョンが何かよくわからないままですが、薬草が採れるところなら行ってみたいです。もちろん岩系もレンくんが行ってみたいのであればご一緒しますよ。」
「ああ。薬草か。俺たち鑑定持っているから楽勝じゃないか。森で探してみるか?」
「そうですね、薬草採取、頭から抜けていました!探しましょう。」
「薬草採取!!いいね。いいね。ゲームみたい!!」
「休み明けに採取に行こう。納品にも行かないとな。ああ、明日俺が納品に行ってくるわ。今日ウイスキー仕込んで樽が無くなった。追加の樽を買いに行くついでに納品してくる。」
「あー、トモさん、じゃ、納品後にお金下さい。今日の買い出しで結構ぎりぎりまで買ってしましました!」
「シルバーフォックス売ればちょっとは潤うか。でも、そんなに何を買うのだ?」
「魚介です!!!西に市場っぽいところがあって、海がちょっと近くて魚介がたくさん売っていたのです!!!あれは買わねば。」
「え、魚介!いいね。僕食べたい!!」
「いいですね。わたしも食べたいです。」
「そう言われると思って、今日の夕食は鮭っぽい魚でちゃんちゃん焼きをする予定です!」
「わーい!嬉しい。口がお魚になっちゃったからそれは嬉しい、あ、今食べているこの手作りのクッキーもとても美味しいよ!!」
「あ、そうですね。さっきから手がついつい伸びてしまうクッキーもハルさんの手作りですよね。大変美味しいです。」
「このクッキーハルの手作りか!?そういえばいい匂いが部屋まできたような気もする。旨いな。おまえ本当料理上手だな。」
「へへへ、ありがとうございます。クッキーは焼いている時の匂いが暴力的に幸せです。夜も美味しく作りますねー。」
「ジュンさんは、今日はどうでしたか?」
「わたしは薬師さんのもとで、熱さましと咳止めの薬を教えていただきました。それらは薬草があれば作れるようになったと思います。」
「おお、それは凄いな。もう薬が作れるんだ。」
「ええ、薬師さんの教え方が上手で、今日は教えていただく代わりに助手の仕事も一緒にしてきて、有意義な一日でしたよ。」
「ハルさんはどう過ごしたの?」
「わたしは、街で布と食材を購入後家に帰ってから、普段着とトランクスを作って、昼からクッキー焼きながら、家庭菜園のお世話をしていました。」
「ハルも結構有意義だったな。」
「そういうトモさんはウイスキーたくさん仕込めましたか?」
「ああ、結構仕込めた。スキルがあるから実はもう飲める。びっくりしたけど、もう飲めるんだ。夜に出すぞ。」
「「「え?!」」」
「驚くだろ、スキルって凄いな。大麦がアッと言う間にウイスキーだ。売れるかもしれないけど、売り方の戦略を考えないとな。」
「売り方の戦略ですか?」
「ああ、街の現在酒を売っているところに文句を言われたり脅されたりしたら逃げるしかなくなるからな。どこでも利害が絡むと危険だ。俺たちが消されないだけの実力を持ってからじゃないと既存の利権者に潰されかねないからな。」
「こ、怖い!!」
「ああ。怖いぞ。今までになかった酒だからな。でも、まぁ当分、家でみんなで飲めたらそれでいい。金は他で稼げるからな。」
そういうと、トモさんは悪い顔をして笑う。脅すだけ脅して今すぐ売る気はないんだ。みんなも苦笑する。この人は酒が飲みたいだけなんだと。ああ残念なイケメン!!
とりあえず、本日の報告が終ったところで、皆に普段着とトランクスを渡す。結構綺麗に出来たから自己満足。
「ハルさん、ありがとう。丁寧な手仕事ですね。柔らかいリネンが気持ちよさそうです。」
「ハル、ありがとう。これ、なんか刺繍されているけど、これは氷の結晶か?」
「ええ、トモさんには氷の結晶にしました!ジュンさんは桔梗の花で、レンくんはキャンディです。」
「え?なんで僕キャンディなの?」
「あー。えっと怒らないでくださいね。わたしが皆に持つイメージが、ジュンさんは上品な美人さんなので桔梗の花で、トモさんは圧の強いイケメンで氷の貴公子の感じなので氷の結晶。レンくんは甘いお菓子の国の王子様のイメージなんです。」
「あー。その気持ちわかる!僕から見たら、ジュンさんは美人秘書、トモさんがカリスマ社長、ハルさんは凄腕主婦かな。」
「面白いな。俺から見たら、ジュンさんは見かけ柔らかいけどお釈迦様オタクの変人、ハルはいつもにこにこしている器の大きなやつ、レンは甘いマスクなのに中身は残念だな。」
「ふふふ。いろいろな見方がありますね。わたしから見れば、トモさんは思ったより子どもっぽいところがあって、ハルさんはいつでもご機嫌で、レンくんは後先考えないところがありますね。」
「なんか、ひでえこと言われたような気がする。ジュンさん思ったより辛辣!」
「いや、トモさんこと、変人って何ですか?!初めて言われましたよ!」
「ははは、僕は王子様で残念で後先考えないなんて、今まで言われたことないよ、でも、今までで一番僕に近いと思ったよ。」
「わたしは褒めてもらって嬉しいです!!」
みんなで顔を見合わせて笑いだす。まだ一緒に裂け目に落ちて来てたった6日目だ。ただ、学校の同級生や職場の同僚とは違って、同じ空間に一緒に6日間だけいる人ではなくて、生きていくための運命共同体でもある。同じ家に住む、下宿人同士、疑似家族。共同経営者。物凄く濃い日6間だったので、受けたイメージも多い。今後も当分は一緒に暮らしていくことになる。悪いイメージをお互い持っていなくて良かった!
「言いたいことを嘘つかずに素直に言い合えるって、俺たち思った以上に相性がいいのかもな。」
「ほんとほんと、今まで一番楽だと思う。」
「ええ、これだけ本音が出せるメンバーって初めてかもしれません。」
「わたしもこれだけ受け入れてくれる人って初めてです!!」
「ああ、これからもよろしくな。」
「「「はい!!」」」
オトメンであることは実家以外では、大っぴらにしてこなかったけど、こんなにあっさり受け入れてもらえて、ほっとする。ご飯つくっても、洗濯しても、掃除しても、自分自身楽しくてやっているのに、毎回必ず感謝してもらえることに感謝。いいメンバーに恵まれて本当に嬉しい。
夕食の鮭もどきのちゃんちゃん焼きはかなり美味しくできて、魚介類を切望していた日本人心を慰めてくれた。本当は海鮮丼とか食べたいけど、こっちの世界の衛生状態がわかっていないからまだ怖い。お米もまだ出会えていないしねー。ダンジョンに米生えていないかなぁ。
「さぁ、酒を飲むぞ!!」
「「「おー!!!」」」
みんな成人しているので、酒が飲める。わたしはそんなにお酒に強くはないけど飲むのは好きだ。トモさんがインベントリの中から樽を出してきた。小さな樽で高さ30センチぐらいかな。
「さぁ自分のコップは用意したか、ここに並べてくれ。氷を入れてやる。」
「え?氷??」
「ああ、水魔法を極めたら氷を出せるようになった。ふっ、自分の才能が怖いよ。」
「え!トモさん凄い!凄いよ!!」
「魔法を極めることが出来るんですね。」
「いや、酒を試飲する時に、どうしても氷が欲しいと願っただけなんだけどな。」
トモさんがちょっと照れながら言い訳をする。言い訳をしながらも、皆のコップに氷を入れていってくれている。いい人だ。
「さぁ、これがハイボールだ。入れるぞ。」
「「「え???樽の中、ハイボール???」」」
「ははは、ウイスキーを仕込んだあと、どうしてもハイボールが飲みたかったんだ。どうしてもどうしてもだ。じゃ、俺の酒造のスキルが忖度してくれたのさ。ウイスキーの樽をハイボールに進化させてくれた。炭酸もレモン味も、俺の好みどおりだ。ははは。」
「そ、そんなことまで出来るんですか!?」
「魔法も、スキルも極めると、なんか出来ないことはないって思えます・・・」
「トモさんが凄いのか、この魔法やスキルを授けてくださった管理人が凄いのか・・・」
「まぁなんでもいい。出来てしまったんだ。美味しく飲もうぜ!」
「そうですね。トモさんには魔法やスキルの可能性を教えてもらいました。」
「まぁいいや、飲もうよ!」
「おう、かんぱーい!」
「「「乾杯!!!」」」
「あ、美味しい、このハイボール、めちゃくちゃ美味しいよ!!」
「ほんとう。美味しい・・・。この炭酸の量とレモン風味がいいですね。」
「絶妙です。元のウイスキーもかなり美味しいのでは。味が深いです。」
「そうだろ、美味しいんだよ。俺の酒。ウイスキーも旨かった。だが俺はハイボール派だ。こっちの世界でも飲めるようになって嬉しいよ。」
おつまみはチーズとトマトを重ねたもの、枝豆っぽいもの、お昼に焼いたクラッカーとチーズ、唐揚げ、そして山盛りのフライドポテトだ。夕飯も食べたのに、どんどん入る。だんだん酔ってきてふわふわしてきた。トモさんとレンくんがどんどん飲んで大声で話しあっている。2人はお酒強そうだ。ジュンさんはゆっくり嗜んでいるようで、顔が少し赤くてエロい。なんか美人の未亡人のような雰囲気だ。
男性なのに・・・。
「ハル!」
酔っ払いのトモさんが急にこっちに話題を振ってきた。
「ハル、おまえは付き合ったことがあるのか?」
「いいえ、無いです。」
「彼女がいたこともないのか?」
「好きな子がいた時はありましたが、告白したら『タイラとは、話は合うし一緒にいて楽しいけど女友達みたいな感じで、異性だとは思えない』って言われて振られました。結構仲が良かったので、残念でした‥」
「ハル、おまえは良い奴だ。きっとこれからいい子と会えるぞ!!お前の良さがわからないやつは、ほっておけ!レンはどうだ?」
「僕は来る人拒まずで、好きだって言われたら好きになっていたよ。でも、思っていたのと違うって失望されて振られることが多かったかな。気の利いたこと言えないし、お金はあるだけ使うし、口は悪いしね。顔はとってもいいから次々モテたけど。」
「あーレンは、見かけの甘い王子様フェイスだけど、中身は残念というのかよく聞けば、口が悪くて宵越しの金は持たないとか、江戸っ子みたいだな。」
トモさんが遠い目をしだしたので、レンくんが話題を変えようとジュンさんに目を向けた、素面では言えないことも、酔っ払いは強い。
「ジュンさんはバツイチだからかなり経験あるんですよね。」
「わたしですか?元妻は檀家の人からの紹介でいわゆるお見合いでした。」
「そうか、お見合いだったのか。離婚の原因とか踏み込んだことは聞かないが、離婚してからの出会いはなかったのか?」
「いえ、この際だから踏み込んだことでもいいですよ。離婚の原因は、元妻がうちの母と上手くいっていなくて、それで落ち込んだり悩んだり凹んだりした時に、お釈迦様ならこう試練を乗り越えられた。お釈迦様はこう言われた。とか悩みに一切共感せずに、どうすればお釈迦様と同じように四苦八苦を乗り越えられるのかと言い続けたのがいけなかったみたいですね。
その時は良かれと思っていたんですけど・・・。
決して元妻のことを嫌いだったわけじゃなく、自分では一生懸命だったんですが、わたし恋愛ではぽんこつなんですよ。だからもう悲しい人を作らないためにも独身を貫きますよ。わたしのことはともかく、トモさんはどうなんですか?」
「ああ、俺か?俺は人を好きになりにくい。育ちも関係しているのかもしれないけど、人が信じ切られない。親も信用していない。絶対にこの人なら大丈夫だっていう人はいないと思うから、俺もずっと独身だな。ジュンさんはぽんこつなら、俺は愛が何だかわからないっていうやつだな。」
「ええートモさん凄く素敵なのに、勿体ない!!ああ、ジュンさんも素敵なのにー。更に勿体ない!!」
「ハルさんはいい子ですねー。」
「でも、ハルさんと同じだよ。本当2人ともイケメンで仕事できてそうで、カッコいいのに、それでも独身だなんて、僕の中で結婚のハードルがかなり上がってしまったよ。」
「まぁ俺はともかく、レンはいずれ結婚できるんじゃねぇ。見た目ではなく、レンの何にも捕らわれない、後先考えない今だけ生きているところがいいっていう子も出てくるだろう。」
「え?本当に?出てくる?」
「ああ。きっと出てくるさ。」
「まぁいいか、今はこの4人でいることの方が楽しいよ。休みが終ったら討伐に行こうね。そしてレベルが上がったらダンジョンだ!!」
「ああ、ダンジョンに行こう!!」
「ええ、行きましょう!」
「わたしもっと美味しい弁当作ります!」
「今後の4人の未来にかんぱーい!!」
「「「乾杯!!」」」
なんだかこのメンバーでの初めての酒盛りに、本音がちらほら出てきて面白かった。トモさんが愛を知らないとか、ジュンさんがポンコツとか、レンくんが後先考えないとか見かけよりみんな変で自分だけが変じゃなかったんだと凄く安心した。
ダンジョンは、ちょっとわくわくしてきた。ゲームの世界のような世界に本当に来たんだなぁ。可愛いものが好きなオトメンのわたしでもダンジョンにはわくわくする心が抑えきれない。ゲームに夢中になった少年の心が疼く。レベルアップしたいね。皆とまた討伐行けるように、美味しいお弁当頑張って作ろう。この4人と一緒なら今後も大丈夫だ。そう思うと、日本の生活から切り離された寂しさも薄れていくようだった。
明日も休みだ、全員気持ちよく酔っぱらって、言いたいこといって、絆が深まった夜だった。




