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「おはよう、今日はどうする?」
朝イチでトモさんからの問いかけだ。そういえば、昨日は歌うだけ歌って、今日何するか決めてなかった。んー。何しようか。
「あー。レベル上げしよ!まだレベル2じゃん、レベル10まで上げないと大金のある場所に行けないよ!!」
今日は割と早く起きてきたレンくんが決定事項のように言い切る。確かに剣と魔法の世界、生き延びる可能性を増やすならレベルは上げた方がいいよね。
「そうだな、今日はレベル上げに行こうか。スライムと角うさぎはだいたいわかった。もう少し北へ行くか。」
「鑑定で調べたら、もう少し北には、シルバーフォックスと、森狼が出るらしいよ。ちょっと素早さそうだよね。もう少し角うさぎやっておく?」
「ちょっと無理しても、ジュンさんの回復魔法があるとはいえ、怪我は痛いもの、避けたいよね。」
「宝の地図には『レベル10が推奨、熊が倒せるようになるまで危ないよ。」って注意書きがあったよね。レベル10って遠いね…。』
「だから、地道に行こう。スライムでも角うさぎでも街仕事でも歌うだけでも生きていけるからな。」
「わかった!今日は角うさぎ多めで行こう!!」
「よし、じゃ、それで。」
そんな話をしているうちに、朝食が出来た。今日はやっと天然酵母が使えるようになったので、バンズを焼く。そうハンバーガーを作ってみたのだ。ちょっと懐かしくて、それでも魔物の肉なのでどこか異国の感じがするようなハンバーガーだ。ちょっと多めに作ったので、今日のお弁当にするつもりだ。
「うちのシェフは最高だな。」
「お褒めの言葉ありがとうございます。」
冗談に冗談で応え、ぺこりとお辞儀をしたら、トモさんも、ジュンさんも、レンくんも笑う。いいぞ!シェフ!トモさんは何度も笑いながら言う。朝から何だか楽しい。
「じゃ、今日は前回より、ほんのり北へ、でも行き過ぎない場所でレベル上げだ!」
「「「おー!!!」」」
上品なジュンさんもノリはいい。皆で腕を突き上げて、返事をしたら、お弁当を籠にしまい、インベントリに収納する。今日は足で纏いにならないといいな。
さて、森の中を今日も歩く。木の根っこが本当に歩きにくい。レンくんとトモさんは何でいつもあんなに元気なんだろう。ジュンさんがわたしを気にしながら歩いてくれる。足の長さか、歩幅の違いか、少しずつ追いつけないと思っていると、バシュバシュとスライムをぎったぎったにしているみたいだ。
前の2人が戦闘してくれると、どうにか追いつけるというのを、何度も繰り返すうちに、レベルが上がった。また何も倒していないのに、レベル3だ。レンくんとトモさんがハイタッチしている。
みんなに追いついたところで、ジュンさんも、レンさんとハイタッチしていて、流れてきたトモさんがわたしにハイタッチを強制する。え?わたし何もしていないのに?
「いいんだよ。チームワークさ。お前は美味しい飯を作って、俺たちが前に進む活力を作った。それでいいんだよ。」
「そういうもんなんですね。じゃ、もう一度ハイタッチを!いえい!!」
みんなでハイタッチしたところで、お昼にしようということになった。今日も頑張って作ってきたお弁当だ。今日は朝の残りのハンバーガーとベーグルサンドにしてみた。ベーグルサンドってなんか可愛くていいんだよねー。レタスにハム、トマトとチーズを挟んだものを作ってみた。おかずは唐揚げと卵焼きだ。
飲み物は紅茶をティーポットに入れたままそのままインベントリに収納してきたので、熱々だ。それぞれマイコップは自分のインベントリに仕舞っているので、取り出してもらう。
ジュンさんとトモさんはストレート無糖で、わたしとレンくんは砂糖とミルクを入れる。甘い方が美味しいって思ってしまう。子ども舌かもしれない。
「ふぅ、毎回旨いな。紅茶の葉は家にあったのか?」
「いえ、この紅茶の葉は街で購入してきました。」
「こっちの世界、普通に売っているんだな。」
「文化が中世ヨーロッパ風かと思いきや、魔法やスキルに魔道具があるせいか、水洗トイレがあるし、灯りは魔道具、食べ物も日本に似た野菜や割と美味しいパンもあって、日本の常識では測れない不思議な感じがします。」
「ジュンさんも、そう思いました?そうなんですよ。食べ物結構美味しいものが売っているんですよ。肉は魔物肉が主だけど、マッスルボアも、角うさぎのお肉も想像より美味しかった。野菜も味が濃いんです。だから美味しい料理が作れるんですよ!」
「ほんと、不思議だよね。日本とも違うし、不便のようで便利だし。」
「まぁ不思議といえば、不思議なんだろうな。レベルがあって、魔法が使えて、門でみた犯罪検知機みたいな球や冒険者ギルドのダグのような不思議道具もある。スライムのような魔物がいて、スキルがあって、努力すれば報われる世界だ。」
「ここで生きていくんだし、まぁどうにかなるといいね。」
結局美味しいハンバーガーとベーグル食べながら、みんなで落ち着くのはこの着地点。この世界で生きていくには、どうにかするしかないっていうこと。じゃ、せめて楽しく暮らせるといいね。
もぐもぐと幸せそうな顔のみなの顔を見ながら、美味しく食べてくれるのは嬉しいなと思いながら、お弁当時間は過ぎていった。今度デザートも作りたい・・・。
「さぁ、飯食べて休憩したから、今日はもう少し奥へ行くぞ。ハル、頑張ってついてこいよ。」
「はーい!」
森の奥といっても、そこまで鬱蒼としていない。時々木漏れ日が顔にあたるとキラキラしている。遠くで鳥や聞いたことがないような動物の声が聞こえる。トモさんやレンくんには魔物の気配も感じられるようだ。
「あ、あそこ、あれ、真っ白だ!鑑定!シルバーフォックスだって!!」
「狐か、細いけど結構大きいな、ハスキー犬ぐらいの大きさはあるな、気をつけろ!」
「大丈夫!大きい方が当てやすい!!」
「わたしも魔法をしかけます!」
「わたしは土魔法って、攻撃に使えるんかな?」
「ハルは見ているだけでいいぞ!」
「そんなー。ちょっと手伝いたい。」
「好きにしろ!レン!そっちへ行ったぞ!!」
「おう、任せて!!」
レンくんが長剣でぶった切って、トモさんが突き刺す、ジュンさんがウインドカッターでダメ押しをする。わたしは土魔法の攻撃が思いつかず、おろおろしているだけでかたがついてしまった!残念―。
「よし!いけたな。この辺から狐が出てきたな、もう少しいけるか。」
「はい、はい!!行けます!!大丈夫!!」
「レンはやる気十分だな。」
「わたしも大丈夫です。魔法があたって嬉しかったです。」
「わたしはぜんぜんダメだったー。」
「ハルはいい。無理するな。」
「そうだよ。ハルさんは掃除洗濯お料理と家で抜群に役に立っているからここは僕に任せておいて!!」
「ああ。ありがとう。それにしても、シルバーフォックスだったっけ、白い綺麗な毛並みだね。お高く売れるだろうか。」
「ああ、高そうだ。でも、俺ら解体せずにそのまま納品だからそこまで高く買い取ってもらえないんじゃないか。」
「解体かぁ。覚えるしかないのかな。」
「あ!解体ならいけるかも!!」
「な、なんだ、ハル?!」
「ええっと、解体は生活魔法と家事スキルがあればできるかもしれないと思って!!」
「ああ、そうだな、やってみるか?」
「もし、良ければ今回のこれで試してみたいです。」
「そうだよね。解体できれば、お肉も手に入るもんね。」
お肉、そうか遠征先でもお肉が手にはいるのであれば料理の幅も広がるね!
「わたしやります!!」
「大丈夫ですか?無理はしないでくださいね。」
「はい!」
結果、出来た。解体することが出来た。精神耐性も持っているし、魔法があって、スキルがあって、思っていた以上に簡単だった。嬉しい!みんなに役立つことが増えたのが嬉しい!!
「この毛皮、結構いいな。肉はハルのインベントリに入れておけばいい。毛皮は俺が収納しておく。鑑定したら、この毛皮の価値はおおよそ銀貨1枚だったぞ。」
銀貨1枚、日本円で1万円か。スライムの魔石が1銅貨、約100円からすると破格だ。レンくん、トモさん、ジュンさんの全員攻撃が必要だけど、怪我もせずに狩れるのであれば狩るしかないよね。
「おお、結構いい値段で買い取ってもらえそうだね。さぁ、もう少しこの狐、狩るよ!!」
「「「おー!!」」」
昼から数時間、シルバーフォックスを後3匹狩れた。その都度わたしが解体をする。うん。家事で手伝っているからといっても、狩りで何も出来なかった分、少し仲間外れのような気がして寂しかったけど、解体が出来るようになって、狩りへの貢献度が増してかなり嬉しい。ジュンさんが、ハルさん頑張りましたねと頭を撫でてくれた。へへへ。嬉しい。
今日は疲れたので、スライム15匹、角うさぎ8匹、シルバーフォックス4匹で終了。スライムは1銅貨100円で、1,500円、角うさぎは5銅貨で4,000円、シルバーフォックスの毛皮は1銀貨で40,000円ということで、なかなかの稼ぎになったと思う。シルバーフォックスは毛皮以外にも魔石もあるしね。
シルバーフォックスのいるところまで歩くのが大変だけどね。異世界は食料品が安いから生きては行けそう。後日冒険者ギルドに納品しにいこうということで、家に帰る。
今日は狩りでも役に立てて本当に嬉しかった!
家に帰ってから、汚れていたので、皆、先にお風呂に入る。やっぱり着替え、もう少し欲しいな。お風呂からあがるとトモさんが、
「なぁ、明日明後日と休みにしないか?」
「あ、土日みたいにするんですね。わたしは賛成です。もう5日間真面目に働きましたからね。」
「えー、僕まだいけるよ!!」
「わたしはお休み賛成です。やはり休める時に休むは社畜にならないためにも必要だと思います。」
社会人経験者はすぐに休みに賛成をする。疲れていなくても、定期的に休んだ方がいい、それは実感がこもっているのだ。
「休みって何するんだよー。スマホも漫画もゲームもないのに!!」
「わたしは街で布を買って、部屋着と下着を作ろうかと思います。」
「わたしは街仕事させてもらった薬師さんのところで風邪薬とか風土病の薬があれば教えてもらいにいきたいですね。わたしの回復は病気には効かないみたいなので。」
「俺は、酒を造る。ウイスキー少し仕込んだけど、もう少し仕込みたい。」
「じゃ、僕は?僕はどうしよ・・・。」
「レンくんは、持っていて使っていない細工師のスキルあるよね。それ試してみればどう?」
「あー、なんかあったね。試すってどうやって?」
「街の細工師さんの助手というのか弟子入りで少し教えてもらいに行くとか。もしかしたら、スキルだし材料と道具を買うだけでいけるかもしれないよ。」
「そうだね。街でどんなの売っているのか市場調査してみる!」
「じゃ、明日、わたしとハルさんとレンさんで街にいきましょう。」
「おう、食料の補給もよろしく。」
「今日狩ったシルバーフォックス等の納品はどうします?」
「インベントリ収納は時間が止まる仕様だから、仕事は休み明けにしよう。」
「了解!仕事は2日後に。明日と明後日は自由行動だね。」
「あ、ハル、お金渡すから、俺も下着も追加作ってくれないか?下着だけはお古はダメだ。こっちの世界、トランクス系、売っていないしな。」
「いいよ。裁縫もスキルがあるから簡単で早いと思う。」
「ああ、そういうことでしたら、わたしの分もお願いします。」
「僕も!!」
「いいですよ。どうせ皆さんの分も追加しようと思っていました。今は洗い替え合わせて1人2枚ずつしかないですもんね。少し心もとない・・・。雨降ったら終わりですよ!」
「いや、ちょっと待て、ハルは生活魔法で『浄化』、『洗浄』、『乾燥』ってなかったか?」
「・・・、あった・・・。あったね。雨降ったら乾燥できるよね・・・。忘れてた。」
「でも、ちゃんと洗って太陽に干せるのは心情的にわたしも好きですよ。」
「そうですよねー。わたしは外に干したい派です!!」
「まぁそれはいい。天気のいい日は干してもいい。ただ、雨の日は乾燥できるだろう。」
「そうですね。洗濯の乾燥は使ったことがないけど、今度試してみます。でも、下着の追加は作りますよ!!」
「ああ、それでいい。布代は共同費用から出していいからな。」
「そうします!!」
共同費用とはみんなが必要なものを買うための費用で、食費と雑貨がこれにあたる。これと別に全員で稼いだお金の一部を個人費用としてお小遣にしている。街仕事の個人分もここに入れている。まだ少しだけどあるのとないのでは自由度が違う。もう少し増やしたいかも。
今日はコロッケと簡単にスープを作り、天然酵母で作ったふわふわのパンもたくさん作る。トモさんはパンにコロッケを挟んで豪快に食べている。コロッケパンは正義だ!!と思う。初日になんちゃってコロッケだったので、今回リベンジしたのだ。
パンにコロッケを挟むのは美味しいので、みんなも真似している。疲れたけど皆が喜んでくれるから作ったかいがあるよ!!スープはオニオンスープ、これは朝に仕込んでおいたので、簡単だった!インベントリの収納が本当万能!これだけでも異世界きた恩恵があるよ。管理人さんにごり押ししてくれたレンくんには感謝だね。
「はは。コロッケリベンジなんだ。俺は旨ければなんでもいいが、このコロッケが熱々で外がさっくりで中がほかほかで旨い!!それにソースをたっぷりかけてパンで挟む。手作りコロッケってほんと旨いよなぁ。ハル、サンキュ。」
ああ、貴公子のトモさんにウィンクされると、あわあわしてしまう。オトメンのわたしは可愛いものも好きだけど綺麗なものも好きだ。可愛いレンくんに、綺麗なトモさんとジュンさんはとっても目の保養になる。
「ほんと、ハルさんの料理はとても美味しいです。コロッケは手が込んでいるのに、今日も芋を剥くしかお手伝いできていませんが、いつもありがとうございます。」
「いえいえ、芋を剥いてもらえるだけでも助かっています。家事スキルのお陰でそんなに大変でもなく大量にコロッケ作れましたから!」
「ほんと、ハルさんのご飯はいつも美味しいや。ご飯が美味しいっていいよねー。このスープの絶品!」
「みんなに喜んでもらえて、わたしも嬉しいです。」
「ハルはそういうところが素直で良いな。」
「えへへへ・・・。」
「ハルさんはいつも笑っていていいね。僕も楽しいのは好きだよ。あ。そうだ、食べ終わったら、また歌を歌おうよ!」
レンくんが強請ったので、夕食後またみんなで歌を歌った。全員で歌える歌を探すのも楽しい。今日は名曲の星空の下のディス〇〇〇を歌う。最近若者にも人気なんだとか。この歌は歌っていて気持ちが良いからわたしも好きだ。ハモれるところも好感触。
最近みんなでよく歌うから、ハモりも合うようになってきて、気持ちの良さが増す。基本絶対音感のトモさんと、なんでも嗜んでしまう器用なジュンさんと、卒なく歌えるレンくんに、歌が大好きなわたしの集まりなので、ばっちりだ。これは良い時間の過ごし方だと思う。
また、街で歌えるといいなぁ。




