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 アルノーさんが消えて、休みの日のトモさんの行動が変わった。転移で今までアルノーさんが生きてきた場所に飛んでいるのだそうだ。足跡探し?転移って行ったことがないところも行けるの?


「アルノーが俺の中にいた時、アルノーの過去のイメージも伝わってきていた。どんなところでどんなことをしたのかも、うっすらとわかった。ここの街で残っていた200年前に助けてくれた魔術師の記録のように、他の街でもアルノーの記録があるなら、俺はそこまで飛べるし、記録を調べに行ける。」


「アルノーさんのために行くの?」


「いや・・・。」


「トモさん、あなたのためなんですね。いってらっしゃい。」


「ああ。行ってくる。無茶はしない。俺はあいつの生きて来た時間が無駄なものじゃなかったことを知りたいんだ。」


「トモさん、美味しいもの売っていたら買ってきてください!!」


「ああ、わかった。」


「あー、僕も!僕もなんか面白そうなやつあったら買ってきて!」


 トモさんは苦笑しながら転移していった。アルノーさんの住んでいた場所のイメージで転移できるんだ。凄いな。


 わたしはこの休みは、リエナさん、キャロンさん、リタさんにエプロンを一緒に作る約束をしている。なんか、秋祭りにジュンさんとレンくんが売り子さんしてくれた時に付けていたエプロンがカッコ良かったから欲しいと相談を受けたので、一緒に作ることになったのだ。

 自分が作ったものをカッコいいと言ってもらえて嬉しい。


 ジュンさんは最近休みの日は、迎えの夜で仲良くなった街の古老たちからお話を聞いているみたいだ。先日の迎えの夜みたいな古い風習や行事を聞いているのだとか。面白いって言っていた。


 レンくんはヴァルドさんとアンデッドダンジョンへ行くみたい。聖水も追加製造して渡したよ。あんなに不人気だったのに、わたしたちが隠し部屋を見つけ、マジックバックを見つけたことで、今は上級冒険者がたくさん来るみたいだけど、レンくんは豪炎魔法がおもっきり使えるのが面白いみたいだし、ヴァルドさんはレンくんのお目付け役のような気もする。心配性だなと思わないこともない。

レンくんは、レベルがもう少しあがったら、草原ダンジョンの11階へ行くって言っていた。カカオを探すんだそうだ。楽しみに待ってます!


 休みの日以外は、4人一緒に討伐、街仕事、露店を繰り返している。お金問題はほぼ解消だ。レシピもたくさん売れたし、トモさんのお酒は注文が途絶えないし、ジュンさんの薬

もレンくんのアクセサリーもいつでも完売だ。わたしたち上手くやっていると思う。


 そんな穏やかな冬に入った頃、レンくんが外から帰ってきて興奮している。ん?


「ハルさん!ハルさん!」


「レンくん、どうしたんですか?」


「これ!これ!!カカオ!!こっちの世界ではカカットっていうんだけど、鑑定したら日本のカカオとほぼ同じもの!って出た!!これでチョコ作れる?」


「見せて下さい・・・あ。本当だ。カカオですね。レンくん草原のダンジョン11階まで到達できたんですね!」


「うん、僕頑張ったよ!だって、チョコ食べたかったんだもん。」


 最近休みの日にレンくんはヴァルドさんといろんなダンジョンの深いところへ行っているなと思っていたけど、目的がカカオ!チョコだったとは!!えー強くなるための修行じゃなかったの?


「もちろん、強くなりたいよ!目標はヒーローになることだからね!!」


「一度聞こうと思っていたのですが、レンくんは何故そんなにヒーローになりたいと思ったのですか?」


「あー。小さい頃、憧れの従兄弟がいたんだ。10歳上で僕が幼稚園ぐらいの頃かな、その従兄弟の剣道の試合を見に行ったら、従兄弟が優勝して、めちゃくちゃカッコ良かったんだ。それで剣道しよう!って思うようになって。その従兄弟はこの後、警察官になったんだ。その制服姿もカッコよくて、優しくて強くていつでも遊んでくれて大好きな従兄弟。僕の憧れだよ。ずっと。だからその従兄弟のように僕もなりたかったんだと思う。」


 ただのヒーローオタクかとちょっと思っていたけど、思ったよりちゃんとした理由だった!こんな失礼なこと思ってごめん、ちゃんとチョコ作るよ!!


「素敵な話をありがとう!カカオは受け取ったよ。チョコを作るのは難しいけど頑張るよ!」


「カカオが足りなければ、また採ってくるからよろしくー。」


 昔、仲の良い女の子たちとバレンタインには必ず手作りチョコを作っていた。異性扱いされず仲間扱いだったけど、一緒にバレンタインのチョコを作る行事は楽しかった。その時、カカオからチョコが作れないか調べたことがあった。その説明文を読んだだけで断念したけどねー。めちゃくちゃ大変!!


 そう、めちゃくちゃ大変だけど、今のわたしには家事スキルも生活魔法もある。日本にいた時よりは料理のスキルが上がっている。出来るかもしれない!めらめらと負けじ魂が燃えてきた。


 チョコ作り初日、焙煎に失敗してしまった。カカオを炒りすぎて少し焦げ臭い!!失敗。勿体ないから、これは砂糖とミルクを加えてクッキーに入れてしまおう。

 チョコ作り二日目、すりつぶしが足りなかった!口の中をざらざらが残る・・・。無念!!これはミルクに溶かして飲んでしまおう。


 チョコ作り三日目、油脂とカカオが混ざらない。こ、これはチョコムースにでもしよう。よし、そうしよう。

 チョコ作り四日目、テンパリングがうまくいかない、艶がでないー。これはチョコブラウニーにしちゃおう。焼いてしまえば艶なしも問題ないよね。


 む、難しい。チョコレート工場の秘密という物語を思い出しちゃったよ。あんな立派な工場がわたしにも欲しい!!

 でも、失敗を重ねるごとに、わたしの料理のスキルがめきめきとレベルが上がるのを感じる。一度の失敗で同じ失敗はしない。見極めが出来るようになる。だんだん、日本で食べたレベルのチョコに近づいていた。いくつも試作品を作り出す。完成はもうすぐ!!



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