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「そういえば、アンデッドダンジョン行ってないねー。」
「ああ、そういえば聖水作ったところで終わったな。」
「アンデッドを成仏させるべきなのかっていう話はしたような気がするー。」
「ダンジョン内のアンデッドは魔力だまりの魔力がこの地にある魔物を真似して作っている疑似生物だから、安心して討伐して良いという結果を得ました。」
「そうですねー。そこで終わって行ってないですね。行きますか!」
「アンデッドダンジョンは倒しても魔石しか得られない。でも、その代わり経験値が多めにもらえ、宝箱も落ちているそうだよな。行くか。」
「剣はあまり通用しないんだよねー。」
「だから聖水だよ。後、ジュンさんの回復魔法も、ハルの浄化スキルも通用すると思う。もちろん、俺の空手の打撃も通るだろう。」
「うー。僕は聖水をぶっかける係?!」
「聖水そのままじゃ、戦いにくいですよね。えっと。何かに入れる。ガラス瓶は勿体ないですねー。あ。わたしの土魔法で陶器の器を作って、ボールみたいに投げるのはどうでしょう!」
「それいいな。ボールなら遠くから狙えるし。」
「あー僕やりたい!!ハルさんたくさん作って!!」
「はい!!レンくんのためにいっぱい作りますね!」
「じゃ、ハルが聖水入りボールを作り上げたら行くか。場所は岩系ダンジョンの近くだったよな。」
「まずは、聖水をいっぱい作りたいので、ジュンさんの回復魔法もこの水に込めてください~」
「はい。わかりました。でも、不思議ですね。これで聖水が出来るなんて。」
「わたしの浄化スキルとジュンさんの回復魔法は相性がいいのかもしれないですね。あ。出来たみたいです。鑑定してもちゃんと聖水(特上)とでました。いいですねー。」
これをこうしてこうやってこうころころして、聖水入りの丸い野球ボールぐらいの陶器っぽいボールが出来たよ!やった!1個出来たら後は簡単!魔法でどんどんできていくので、隣でレンくんがそれらをどんどん自分のインベントリに嬉しそうに収納していっている。かなり出来上がったところで、聖水が無くなって終了。
「100個ぐらいあったかも。ハルさん、ありがと!!」
「さぁ。行くぞ。」
トモさんの転移魔法で岩系ダンジョンの近くまで飛んで、少し横にずれて、アンデッドダンジョンまで歩いて行く。
ダンジョンの前で門番に冒険者タグを確認してもらい、聖水を持っているか確認され、持っていることを宣言したら、入っても良しと許可を得た。
「さすがに、アンデッドダンジョンは薄暗くてじめっとしているな。」
「1階はスケルトンしか出ないみたい。ジュンさんの回復魔法とハルの浄化スキルを放って、俺とレンでとどめを刺す。そんな感じで行くぞ。」
「「「おー!!」」」
う、やる気はあるんだけど、薄暗くてちょっと怖い、カタ、カタ、カタと乾いた音がして、薄暗い中でぼっと数体のスケルトンが浮かび上がってきて、ひぃ!と、後ろにちょっと後ずさってしまった。
「うわ、本当にスケルトンだ!」
レンくんのどこか嬉しそうなはしゃいだ声で、怖さが収まる。ふーふーふー。大丈夫みんな一緒だ。
「じゃ、ジュンさん、ハル、頼むぞ!」
「回復!!」
「浄化!!」
どんな怪我でも癒す黄金の光がスケルトンを包む。わたしの浄化スキルもきらきらした粒がスケルトンを覆う。どうなるのか見ていると、先頭のスケルトンがガタガタを全身を震わせたかと思うと、眼底の青白い光がすっと消えて、一気に崩れ落ち落ちた骨も何もかも消えていった。残ったのは魔石だけ。
「倒せたな。でも、まだ油断をするな、次が来ている。今度は俺がやる。」
トモさんが綺麗な足さばきでスケルトンのそばに一気に近寄ると、鋭い回し蹴りがさく裂した。スケルトンの肋骨が俺、背骨が折れ、そのまま床へ散らばり、そのまま消えていく。残されたのは、また魔石だけ。
続いて、横からもう一体襲いかかってきたのを、トモさんは身を沈めてスケルトンの攻撃を躱してそのまま腕を叩きこむと、そのスケルトンも壊れて崩れていった。凄いトモさん、素手で倒していっている!
「あー。次は僕もやりたい!!ハルさん、浄化スキルで次のスケルトンの足止めをしてみて!」
レンくんにお願いされて、通路から襲い掛かってきそうなスケルトンに浄化スキルを放つ。
「浄化!!」
粒々の光がスケルトンを包むと、スケルトンが本当に足を止めた。
「レン、行きます!!」
レンくんが、わたしが作った陶器製のボールを手に持つと、振りかぶって投げた。陶器製のボールは放物線を描いて、わたしが足止めをしたスケルトンの頭に命中した!レンくん凄いやぴったり命中したよ!!
パリン!
陶器製のボールが割れ、中に入っていた聖水がスケルトンの頭蓋骨から肩、胸へと降り注いだ。
ぎやぁー。
スケルトンの耳障りな悲鳴が聞こえたと思ったら、ガラガラと崩れていった。残ったのは魔石だけだ。
「やった!!聖水の効果凄いね。スケルトンの魔石の価値ってどのぐらいなんだろう。あ、鑑定してみたら30銅貨・・・え?高くねぇ。アンデッドは、ドロップアイテムが魔石だけっていうことで不人気だって聞いたけど、これ美味しいんじゃない?」
「そうだな。今で5体退治したから、日本円で15,000円か。だが、本来剣は効かないから、回復魔法や浄化スキル、聖水がないと攻略が難しい場所だ。経験値も多いし、宝箱はあるし、上級冒険者がここに来る理由もわかるな。」
「聖水は教会で小瓶が銅貨3枚らしいから、魔石が1個30銅貨なら利益は出るか。あ、でも聖水小瓶1個で倒せるかわからないし、投げて見事に当てられるかどうかもわからないな。」
「ただし、回復魔法に浄化のスキル、聖水は自作できる俺たちとは相性が良いな。このダンジョン。」
「あ、また出てきたよ。今度は僕そのまま投げてみる!動いているスケルトンでも当てられたら面白いかも!!」
楽しそうなレンくんが陶器製のボールをどんどん投げる。投げる。シューティングゲームのようだ。顔が笑っているよ!トモさんは苦笑。ジュンさんはびっくりしている。
「たのしー!!」
レンくんが連続で3体、スケルトンを聖水だけで倒すと、満面の笑顔だ。思わずわたしは手を叩いてしまった。凄いよ。レンくん!!
「レンも、よくやった。魔石をちゃんと忘れずに拾っておこう。」
「トモさん!後ろから出てきた!!」
「おお、じゃ、みんなで総攻撃するか。」
「「「はい!!」」」
ジュンさんの黄金の光が部屋に広がる。わたしの浄化スキルとキラキラ光る粒が漂う。レンくんがどんどん陶器製ボールを投げる。トモさんが流れるように蹴りを入れていく。おお。瞬く間にスケルトンがガタガタ言いながら消えていく。よし!もう怖くない!!最初は理科室の骨格標本かと思って少し怖かったんだよね、あんなのが動くなんて!目が光っているんだよ!
ダンジョンのアンデットは死んだ元人間ではなく魔力だまりからできたダンジョンが地上のものを真似して作ったって、トモさんが言っていたよね、地上にもいるの?アンデット??ひぇー。
「おーい。今日はこれぐらいにしとくぞ。」
「トモさん、まだいけるよ!!」
「ダメだ。まだいけると思う時に引き返すんだ。帰り道もぎりぎりまで何があるかわからないから、余力は最後まで残しておくんだ。」
「「「はーい」」」
少し残念そうなレンくんだったけど、トモさんの正論に反論は出来ない。わたしは少し怖くなってきたからちょうど良かった(恐怖ぎりぎりセーフ)
レンくんは、ぞろぞろ歩いてきたスケルトンにばんばん聖水投げて当てて楽しい思いしたからいいかっていう感じになってた。顔に全部でているよ!
帰り道はトモさんが先頭を歩いているのでついて行こうとしていたら、うわぁ!足が滑って壁に手をついたら、あれ?なんの変哲もないダンジョンの壁?ところどころに苔も生えている。手は苔で滑った?ん?なんか変。鑑定!!
「トモさん、待って!」
「ハル、どうした?!」
「こ、この壁、向こう側が空洞になっている!」
「は?」
「たぶん、隠し部屋だと思う。わたしが壁に手をついたらわかったから、みんなも触って鑑定してみて!」
そういうと、3人ともすぐに壁を触ってくれた。
「あ!本当だ。この壁の裏側に空間がある。隠し部屋だ。あ、入口、こっち!!」
やっぱりレンくんの鑑定が一番詳しい。同じ鑑定なのにレンくんが最初ねじ込んだナビがついているのかもしれない。
「ほら、ここだけ、石の繋目が微妙に違っているでしょ。ここ、ここ!」
トモさんが慎重に壁を調べ始め、壁の一部を押してみて、レンくんがその横で違う場所を移動させた?え?壁が動いている?壁の奥から低い音がして人ひとり通れるぐらいぱかっと開いた。
「うわ、本当に隠し部屋だったんだ。」
「凄いですね。こんなところに。」
「油断するなよ。魔物はいないな。」
慎重に4人で部屋に入る。壁には古びた燭台が取り付けられ、床にはうっすらと埃が積もっている。長い間、誰も立ち入ったことがなかったのだろう。部屋の真ん中に宝箱が鎮座していた。
「・・・宝箱だよね。」
「ああ、だが、開ける前にちゃんと鑑定しろよ。罠があるかもしれないからな。」
「ゲーム脳だ・・・。」
「はい!大丈夫です。罠ありません!」
「でも、気をつけて・・・。」
「見つけたのはハルさんだ。ハルさんが開けるべきだよ!」
「えー。わたし?開けていいの?」
宝箱は宝石もついていて金色でキラキラしていて、ゲームに出てくるような煌びやかないかにも宝箱!っていう感じで、開ける手が震える。
罠がないことはわたし自身でも鑑定したから、大丈夫、でも、ああ。どきどきする!蓋に手をかけ、ゆっくり持ち上げる。古びた蝶番がぎいぃと音を立てた。え?中に入っていたのは、へたっているひとつの袋?バッグ?斜め掛けできそうな何の変哲もないものだった。
放心していたら、トモさんが、後ろで、呆れたような口調で言う。
「宝箱に入っていたんだ。ただのバッグじゃないだろ。ちゃんと鑑定してみろ。」
「は、はい!鑑定・・・。あ、これマジックバックみたいです。体育館ぐらいの広さありそう。結構入ります。入ったら重さは感じないものみたい。」
「マジックバックか、僕たち、全員インベントリ持っているから必要なくね。」
「あ、でも、今、収納持っているのはトモさんだけって大っぴらにしているから、わたしはマジックバックで買い物できると楽になります!」
「あー。ハルは料理人たちと料理も作ることが多いから、材料とか調味料とか、どこから出したって思われないようにするにはマジックバック役立つだろうな。」
「ええ、いつも牛丼の秘伝のタレとか、小さな壺に入れて冒険者ギルドまで運ぶの大変でした。これからは堂々とマジックバッグに入れて移動できると思うと嬉しすぎるー!!」
「ハルさん、良かったですね。」
インベントリもいいけど、マジックバッグは異世界あるあるである意味憧れの品、かなり嬉しいので、返事も明るくなる。
「はい!」
この後、冒険者ギルドに隠し部屋とマジックバッグの報告をしたら、ヴァルドさんにめちゃくちゃ驚かれた。地図も書かされた。冒険者ギルドから上級冒険者に依頼がいき、他の冒険者にも見つけられるか調査するみたいだった。マジックバッグよりも煌びやかな宝箱は高額でギルドが買ってくれた!やった!!
1階のそれも入り口付近にあった隠し部屋。その後、定期的に宝箱がポップするということで、大人気になってしまった。足繫く通う上級冒険者の中には黄金の翼のメンバーもいて、アンデッドダンジョンに必要な聖水を密かにお友達価格で売っていたのはトモさんだった。えーなんでーいつの間にわたしより仲良くなってるのー?お金儲けの匂いに敏感なトモさんらしかった!




