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**その頃領主館では**
「あの4人は、本当に冒険者なのでしょうか?」
家令がぽつりと呟く。
「どう見ても、冒険者には見えんかったな。」
領主が苦笑する。
「騎士団長や冒険者ギルドから事前に聞いていなかったら、どこぞの貴族かと思ったよ。」
「街では妙な噂が出ているようですね。」
「例の話か。」
「ええ。」
「はい。最近、街では、どこかの国の王族が権力争いから逃れてこの街に身を隠しているというやつですね。」
「それを最初に聞いた時は、莫迦な噂ばなしだと思ったが。」
「今日の彼らは美しかったですわ。」
「ああ、指先まで優雅で品があり冒険者特有の粗野なところは一切なく、高貴な雰囲気で気品に溢れていた。あれが冒険者だとは・・・。」
「それに、あの服装。今風ではないがあれは高貴なものだ。かつて王族だったものが着てもおかしくはない。」
「まぁ正体がどうであれ、美味しい酒、家畜の餌だった『穂草』を人間が美味しく食べられるようになるレシピ、破格の回復魔法は本物だ。有難い。」
「そうですね。彼から可愛いアクセサリーを見せてもらえるのも楽しみです。」
家令が小さく笑った。
「もし、本当にどこかの国の王子様だとしても、この街にいる間は静かに楽しく幸せに暮らしていただけると良いですね。」
「ああ。『穂草』が食べられるようになったこと、あの回復魔法。確実にこの街の恩人になる彼らに感謝しないとな。」
「まぁ、あなた方は実利ばかりですわね。わたくしは、あの4人を見ているだけで幸せな気分になりましたわよ。」
「そうだな、美しい者たちだった。」
「今後、領主館も賑わいそうですね。」
「その前に、酒に傷薬に『穂草』と菓子のレシピは王家に献上しておかなければならぬ。手続きを頼む。」
「はっ!承知いたしました。すぐさま手続きを進めて参ります。」
「わしは、旨い酒が早く飲みたい。」
「あなたったら。」
広間で笑いがおきる。この街の頂点がハルら4人を受け入れた瞬間だった。
**見守り隊女子たち**
「・・ねぇ。キャロン、見た?!」
「ええ、見たわ!!」
「リエナとキャロンじゃない、何をそんなに興奮・・・あ。あ。あ。」
リタの目にも入ってきた、正装姿の4人だ。青を基調とした凛々しい貴公子に見えるトモ、淡い紫の衣装を上品に着こなしているジュン、薄紅色の衣装に身を包んでぱっと華やかなレン、そして新緑を思わせる黄緑色の服を着たハル。
リタの口がぽかんと開いた。当然、リエナの口も、キャロンの口も開いている。
「いや、ちょっと待って、あれ、あれ。本当に王子様・・・。」
「む。胸が痛い。う。美の暴力!」
「素敵すぎる。はぁ。なんていう美しさなの。」
「何を着てきても、似合っている。ああ、衣装が似合っている!!いつもに増してカッコいい。」
「みなさん、素敵すぎる!!なんでも着こなされてため息しかでませんね・・・。」
トモはいつもと同じように圧が強いままだけど、正装なせいか凛としている。かっこいい。ジュンは穏やかで柔らかく笑い、レンははっちゃけて楽しそうだ。それをハルがにこにこ見ている。いい。とてもいい。
「きっと、どこか高貴な家の出に違いない。お衣装が物凄くお高そう。」
「あれほどのレベルの服を着こなされているなんて、いや、やっぱりどこぞの王家・・・。」
「いや、ダメ。詮索はしないでおこう!!」
「ええ、わたしたちは遠くから見守る、見守り隊よ!」
歌を聴けたら幸せ。お菓子が買えたら嬉しい。顔を見ることが出来たら眼福なのだ。それでいい。4人が仲良く笑っている姿を拝見できるだけでいい。
「ああ、今日の正装姿は永久保存ね・・・。」
「「そこは同意!」」
「わたしも脳裏に焼き付けたわ。とてもとても幸せだったわ!」
「「そこも同意!!」」
「ジュンさんから良い匂いがしそうなぐらい綺麗だったわ。」
「いやいや、トモさんの凛とした美しさはイケメン中のイケメンよ!」
「いやいやいや、レンくんのあのキュートな笑顔が輝いていたわ。」
3人とも箱推しだけど、ちょっと違う。だけど。
「相変わらず、ハルさんはにこにこ可愛かったわね。」
「「そこ、はげしく同意!」」
リエナは真顔だ。キャロンも、リタも真顔だ。そして3人は満足そうに頷いた。
今日もまた、4人を見守る隊員たちの活動はこうして平和に終わったのだった。




