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**その頃、酒のみ集団は**
街の酒場で昼から酒を飲んでいるダメな大人が3人。冒険者たちだ。ちょっと働いて小銭を手にしてはまた酒を飲む。そんな集団が酒を飲みながら話をしている。
「トモのところの酒、旨すぎる。あれは浴びるほど飲みたい!」
「おう、一度飲めば病みつきになるな。強い酒精に奥深い味わい。喉がカッと熱くなるのがほんといいね。いいね。」
「でも、露店では1人1杯だろ。商業ギルドで酒を卸しているところは高級レストランだ。どこで飲むんだ。」
「物足りねえなぁ。誰かトモにもっと売れっていってくれよ!」
「だがあの酒、トモのスキルで、トモ1人で造っているんだぜ。無茶させてもう二度と飲めない方が厳しい。」
「ああ。あの酒を知ってしまったら、他の酒がまずくて飲めなくなるのはキツイな。」
「俺、もう少し金を稼ぐ!!そして高級レストランで山ほど飲みにいきてぇ。」
「あ、そうだ。トモの仲間のハルになんか作ってやれば、小さいけど樽で酒が貰えると聞いたことがある!金物屋のハントが言っていたのを思い出した!!」
「な!なんだと!!」
「なんだか、菓子の型を作ったって言っていた。」
「菓子?ああ、露店で売っているあの美味しいものか。あれも旨い。俺は甘いものなんてほとんど喰ったことなかったが、安いから試しに買ってみたら物凄く旨かった!あれもいい。そうか、型か・・・俺は作れねぇ・・・。」
「俺も型なんぞ、作れねぇ・・・。」
「ああ。菓子は旨い。安いのに、ドーナツとやらもクッキーとやらも王都の菓子よりも旨いだろう。」
「ああ。酒もいいが、菓子もいいなぁ。」
「あ。そういえば、商業ギルドでは酒の原材料をトモに渡して酒を造ってもらっているそうだ。」
「そうか原料を渡して造ってもらうという手があるか!!」
「ウイスキーは麦で、日本酒は『穂草』が材料だそうだ。草原ダンジョンへ行くぞ!!」
「あ、それならば樽も頼まないと!!」
「樽も草原ダンジョンも俺も行くぞ!!」
「「「俺も!」」」
お酒のためなら何でもやりそうな集団は全員ダメな冒険者だけど、草原ダンジョン2階なら大丈夫だ。一斉に走っていったのだった。
**見守り隊の女子たち**
街の女子の中でいつの間にか出来たのが、王子様を見守り隊だ。妄想が妄想を呼んで事実が迷走しているが、今日も元気だ。見守り隊の中心人物のリエナとその親友のキャロン、商業ギルドのリタ他数名が街の喫茶店で集会をしている。
「露店で甘味が買えました!!ドーナツとクッキーどちらも!!」
「わたしも買えました!あの美味しさは何でしょう。さすが王子様の召し上がるものだと思います!」
「ハルさんという従者は兄王子様や弟王子様のために日々頑張っていらっしゃるのよ!」
「あの甘美な美味しさ。天上のもの、同じものを兄王子様、弟王子様が召し上がっていると思うと感謝の気持ちで胸がいっぱいになります!」
「あ、わたし、先日は運よく歌を歌っているところへ居合わせました!ほっんっと素敵でした!兄王子様はすらっとしていて品が良くて、時々笑うと花が綻ぶように麗しい。弟王子様は色が白くてまつ毛がびっくりするぐらい長くカールしていて、ピンクの唇、笑うと八重歯が可愛らしく心臓止まりそうなぐらい素敵だったです。トモ様という騎士のお方も細いのにガタイが良くて眼光鋭いのに、笑うと白い歯がきらりとして、ため息が出るぐらいカッコよくて本当素敵な時間でした。あ、従者のハルさんはいつもにこにっこだねー。」
「まぁ歌を聴けたのですね。羨ましいです。歌は露店と違っていつ歌われるか決まっていないので、本当羨ましいです!!」
「わたしは1度だけ聞けました。異国の音楽は美しい調べで心に響きました。」
「わたしは、先日、弟王子様が野良猫と遊んでいるところを拝見いたしました!めちゃくちゃ可愛らしかったです!!」
「わ、わたしも!弟王子様が子ども達と戯れているところを拝見しました!!」
「はしゃいでおられる弟王子様、なんて可愛らしいのでしょうか。邪気の無い笑顔。ほんと素敵です。」
「兄王子様の傷薬も買えました!あの効能は王家の秘匿レベルなものじゃないでしょうか。驚くほどの効果があります!指も手もつるつるのすべすべになりました!!」
「え?傷薬買えたのですか?お店を開けば一瞬で売れてしまうのに!!」
「ええ、開店するまでしばらくお店の前で待っていたのです。待ったかいがありました!!」
「買わせていただいた時、兄王子様に微笑まれて心臓が止まるかと思いました!至福の時間でした。」
「そういえば、リタは商業ギルドで働いているんでしょ。王子様たちの動向は詳しいのでは?」
「いやいやいや、商業ギルドはトモさんのお酒の話ばっかりですよ。」
「そっかー。でも、トモさんと仲良くなって情報を得るっていう手も!!」
「あー。ダメダメ。トモさんはガードが堅い。可愛く笑ってボディタッチしても、氷のような冷たい視線しか寄越さないよー。」
(リタ、試したんだ・・・)
(氷のような冷たい視線!?わたしもそういう目で見られたい!!)
「こ、氷の貴公子様!!」
「ああ。トモ様ってそんな感じ。王子様方を守る公爵家のご出身といっても違和感ないぐらい高貴な感じがします!!」
「はぁ。この街に顔を出して下さるだけでも幸運だわ。みんなわかっているよね?抜け駆け絶対禁止!!」
「「「「おーっ!!!」」」
一部の女子は互いに牽制しながら、一部の女子は見ているだけで幸せ状態。ハルたち4人は遠巻きに密かに応援され続けるのだった。




