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討伐に行き地道にレベル上げする。レンくんのために金銀の採掘に行き、各自の街仕事、時々歌い、週に1回露店を開き、薬草採取に行くを繰り返していくうちに、すっかり街でも顔なじみが増えて、作るお菓子も増えて、露店はいつでも人がいっぱいだ。人気が出るのは嬉しい。トモさんの造るお酒に群がる人、ジュンさんの傷薬を必ず買う人、わたしのお菓子を大量に買う人、レンくんのアクセサリーをカップルで買う人、日本でも仕事していたけど、ダイレクトに反応のある露店は面白いなと思う。
そうこうしているうちに、異世界に来て、初夏から真夏になった。陽だまりの四季となるのかな。4人が暮らす家の周りの木々も濃い緑に覆われ、来てすぐに植えたキュウリも茄子もトマトも豊作だ。採れたての野菜は美味しい。
暑いけど、1週間に1度は露店を出す。この日になるとレンくんは自慢のアクセサリーを並べ、わたしも新作のお菓子を並べる。ジュンさんは出せば即完売する傷薬で、トモさんは常連さんが出店前から待ち続けるお酒が売れる。
「最近、傷薬があっという間に売れすぎて、後で来る方に申し訳ないです。薬師の師匠にも、治癒院の先生のところにも卸しているのですが、それでも即売なんですよね・・・。」
「だって、ジュンさんの傷薬性能が良すぎるもんねー。」
「知らずと回復魔法も込めているのかもしれないですね。自分では気づかないのですが。」
「薬師の師匠も、治癒院の先生もそんな高性能な傷薬売っても大丈夫なんですね。」
「ええ、お2人ともどちらかと言えば、怪我を治すより病気を治す方に特化されているので、軽い怪我ならわたしの傷薬で治せるようになったので、負担が減って喜ばれているのです。」
「あー。それならどんどん作らないとねー。また草原ダンジョンに薬草採取付き合うよ。」
トモさんのお酒は露店だけではなく、商業ギルドにも卸しているし、商業ギルドから、酒場や食堂に納めているんだけど、それでも求めるお客さんは多い。
「今までエールと火酒しか無かったからな。俺のウイスキー、日本酒、ハイボール、エールがどれだけ美味しいか、ははは。最近は芋焼酎も造り出したしな。俺の酒のとりこになるといい。」
なんだかトモさんの笑顔が黒い。金儲けの顔だ。まぁ物凄く似合っているからいいか。
レンくんのアクセサリーも常連が増えてきているようだ。
「この前、買ってくれた人が、友だちに紹介してくれて一緒に来てくれたんだ。やっぱり僕のセンスの良さに驚いているんだと思うよ!」
レンくんも自信満々だ。少し誇らしげに笑う顔が可愛い。こっちはトモさんほど黒いはない。とても素直だ。
わたしのお菓子もあっと言う間に売れる。売れるのは嬉しい。でも、美味しいものを作って、それを差し入れするのも好きだ。黄金の翼のクランや、ヴァルドさん、リタさん、ハントさんとどんどん作っては半ば押し付けて置いてくる。みんな多幸感にぼっとしている顔を見るのが幸せだ。
ジュンさんの傷薬、トモさんのお酒、レンくんのアクセサリー、わたしのお菓子、それぞれがこの街に受け入れてられていく。地に足がついてきた感じがしてちょっと嬉しい。
「お、ハルじゃねぇか。」
道で、黄金の翼のカリンナさんとマスカリーノさんが前から歩いてきた。
「カリンナさん!マスカリーノさん!」
「ハル、たまには飯を作りにこいよ!」
「冒険者ギルドで依頼していただければ行きますよ!あ、そうだ。カリンナさん、マスカリーノさん、ここにいる3人が以前お話していた、わたしの仲間なんです!」
「おう、そっちがハルご自慢の仲間か・・・。あ。お前、酒のトモか、あ、傷薬のジュンだな。こっちは王子様(という噂を聞く)レンか。」
「あー。トモさんは酒で、ジュンさんは薬で、僕は何故!王子様!!まぁ顔がいいのは認めるけどさ。」
レンくん、顔がいいのは速攻で認めちゃうんだ。凄い!!
「いや、悪い、噂を聞いただけだよ。でも、トモの酒の評判はすこぶるいい。どうしたら飲める?」
「ああ。材料を商業ギルドに納品したら、見合った量をわけてもらえるはずだ。」
「材料ってなんだ?」
「大麦とか、『穂草』とかだな。」
「大麦はいいとして、『穂草』か!あれが酒になるのか!よし!草原ダンジョンに採りに行こう!!」
「ちょっと待て、カリンナさんとマスカリーノさんだったっけ、ハルがいつも世話になっているから、これをやろう。」
トモさんが収納から小樽を1個出してきた。
「おまえ、収納持ちか。俺もだ!」
マスカリーノさんが得意げに言う。トモさんは苦笑している。
「ほらよ。これはハイボールだ。初めて飲んだら、ちょっと口の中がしゅわしゅわ、ぱちぱちするが、旨いぞ。」
「おう、ハイボールか。露店で旨い酒があると聞いた。これか!」
「ああ。ではわたしからも。これは傷薬です。」
「お、これは、出せば即日完売すると言われている幻の傷薬!!冒険者にはありがたいやつだ。いいのか?いただいても?」
「ええ。ハルさんによくしてくれたと聞きました。ご挨拶がてらにどうぞ。」
少し困惑しているカリンナさんとマスカリーノさんがわたしの顔を見てくるので、
「カリンナさん!マスカリーノさん!大丈夫です。トモさんもジュンさんもとっても優しい頼りになる方なのです。お気持ちなので頂いておいてください!」
「そ、そうか、じゃ、遠慮なく貰っとく!ありがとよ!!」
「ハルは仲間から愛されているんだな。おまえがクランに入らないのは残念だが、いい仲間だな。」
「はい!!とっても大事な仲間なのです!!」
「おうよ!また、『穂草』は採ってきたら商業ギルドに持っていくぜ。もし、今後何か困ったら俺たちを指名しな。俺も、カリンナも上級冒険者だ。役にたつぞー。じゃ、今から草原ダンジョンちょっくら行ってくるわ!ハルはギルドに依頼出しておくから、旨い飯作りにこいよな!じゃ!!」
綺麗にウィンクをして草原ダンジョンに向かうマスカリーノさんに、少しドギマギしながら、自慢の仲間を紹介できてなんだか嬉しかった。自慢の仲間っていう言葉が出た時、トモさんが少し嬉しそうだったのを見逃していないよ!だからハイボールの小樽だったんだろうなぁ。あ。でも、上級冒険者が草原ダンジョンの2階で『穂草』を採りまくるのはいいのだろうか。ちょっと勿体ない気がしたが、美味しい酒のために励む人は仕方がないか。頑張ってねー!




