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アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった  作者: 凩冬馬


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第80話 恐怖の上書き

神殿の奥で、大神官は杖を握りしめたまま震えていた。

妃はその横顔を見つめながら、胸の奥に何か冷たいものが広がっていくのを感じた。


(……この方は、もう正気ではない。)


地底を守るための戦いだったはずが、

いつの間にか大神官の支配欲を満たすための戦いに変わっていた。

伝説を信じた結果、地上を取るどころか地底が取られてしまうではないか。


そこへ、親衛隊長が駆け込んできた。


「大神官様! 地上人が神殿の参道に侵入しました!

親衛隊が応戦しておりますが……敵の勢いが強すぎます!」


大神官は杖を振り上げ、怒鳴った。


「愚か者どもめ!

なぜ止められぬ!

地底の精鋭であろうが!!」


親衛隊長は歯を食いしばり、声を絞り出した。


「……白い悪魔が……おります……!」


大神官の顔色が変わった。


「し、白い悪魔……?

一人で地上部隊の戦意を失わせたと報告にあった……!」


妃は大神官の肩にそっと手を置いた。


「大神官様……もう、戦いは……」


「黙れ!!」


大神官は妃の手を振り払った。


「わしは大神官だぞ!

地底のすべてを統べる者だ!

地上人ごときに……!」


その時、神殿全体が揺れた。

参道の奥から、岩が砕けるような轟音が響く。


妃は震えた声で呟いた。


「……来ました。

地上人が……ここまで……」


大神官は杖を握りしめ、震える声で叫んだ。


「親衛隊を全て出せ!

妃よ、術式を最大まで高めよ!

やつらに踏みとどまらせるのだ!

そして、こうなったら地底を崩してやつらを押しつぶすのだ!!

わしの手で終わらせてやる!!」


妃は目を閉じた。


(……この方は、もう救えない。)


参道の入口では、親衛隊が必死に抵抗していた。


「止めろ!!

大神官様の御前に通すな!!」


だが、彼らの前に立ちはだかったのは──

白鬼、小島貞直。


「どけい。」


その一言で、本能的に恐怖を感じ、親衛隊の膝が震えた。

アーレンが剣を構え、前に出る。


「親衛隊……か。

悪いが、通らせてもらう!」


ダルガが槍を構え、弟ドロガが震える声で言う。


「……兄者。あれは……妃の“洗脳”で立ち向かってくる。…自分の意思で戦っているわけじゃない……」


ドロガの心配をよそに、親衛隊はじりじりと下がり続けた。

白鬼は太刀を肩に担ぎ、にやりと笑った。


「なんじゃ、かかってこんのか?なら、若造どもに任せるか。わしは……後ろで見物じゃ。」


ヘンリックが怒鳴る。


「だから前に出ないでください!!」


実際、白い悪魔として地底人に大神官以上の恐怖を与えた結果、妃の洗脳も効かなくなる。ただ、そこに白鬼がいるだけで、地底人の心に恐怖が上書きされ、親衛隊たちも下がり始めたわけである。そして、ついには武器を捨て道をあけた。


親衛隊を無傷で突破したアーレンたちは、

ついに大神官の間へと到達した。


巨大な祭壇の前で、大神官が杖を掲げていた。

その背後には、意識を奪われた妃たちが横たわっている。


大神官はアーレンたちを見ると、

狂気に満ちた笑みを浮かべた。


「来たか……地上の者ども……

だが遅いわ!!

この術式が完成すれば……

地底の天井は……全て崩れ落ちる!!」


大神官は、妃よりは劣るが、内響の能力も高い。

言葉が分からなくても考えていることは

その場にいる全員に伝わる。


アーレンは剣を構え、叫んだ。


「ふざけるな!!

地底人も地上人も……

誰もそんな終わり方を望んでない!!」


大神官は杖を振り下ろした。


「黙れ!!

わしは大神官だ!!

わしの恐怖にひれ伏せ!!」


妃が叫ぶ。


「大神官様!!

そんなことをしたら……地底が……民はどうなりまする!!」


だが大神官は聞いていなかった。


「滅びよ!!

光の民も、闇の民も!!

全て……わしの恐怖の中に沈め!!」


アーレンは歯を食いしばり、前へ踏み出した。


「……もう終わりだ、大神官!!」

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