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アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった  作者: 凩冬馬


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第64話 増援派遣の決定

第二夜の激戦が終わり、森の奥には重苦しい沈黙が漂っていた。

はしご突撃は失敗し、地底軍の損害は深刻だった。


バルグは怒り狂い、地面を拳で叩きつけていた。


「なぜだ……! なぜ登れん!!

地上人ごときに……!」


しかし、誰も答えなかった。


兵士たちは疲れ果て、恐怖に震え、視線を合わせようともしない。


ミルダは木にもたれかかり、息を整えていた。


「……いいかげん疲れたわ、何千人もコントロールするなんて……」


ダルガは静かに周囲を見渡し、深く息を吐いた。


(……いっそのこと撤退したほうがよさそうだが。)


そのとき、伝令が駆け込んできた。


「報告!

大神官様より連絡!

予備兵力三千名を前線へ派遣するとのこと!!」


バルグが顔を上げた。


「三千……!?

よし! まだ戦える!!

これで地上人を踏み潰せる!!」


しかし、ダルガの表情は沈んだままだった。


(……増援が来ても、戦術が変わらなければ同じことだ。)


裂け目の奥、大神官は静かに報告を聞いていた。


「魔道砲は破裂……

バルグ隊は大損害……

透明化できない兵が多数……」


側近が問う。


「撤退を……?」


大神官は首を振った。


「いや、まだだ。

兵力差はまだ我らが上。

地上人は外壁に籠もるしかない。

三千の増援を送れ。

バルグに指揮を続けさせよ。」


「ドロガは……?」


「おめおめと逃げ帰ってきたか?すぐに呼び出すがよい。」


その声は冷たく、揺らぎがなかった。


頼みの綱の魔道砲が壊れ、意気消沈しているドロガ、大神官からの呼び出しに処刑されるかもしれないという恐怖が付きまとっている。だが、予備の魔道砲は健在だ。これで認めてもらうしかない。


大神官の前でひざまずくドロガ。


「この度は大変な失態をさらしまして、申し開きの言葉もございません。」


「ドロガ、貴様は発明しか能のない男。その発明も失敗作だったとはな。とんだメガネ違いをしていたようだ。」


「はっ、申し訳ありません。ですが、魔道砲はまだございます。予備が一門残っております。今一度前線に送ってください。」


「ふむ、まだあるとな。だが、前線にはもう行かなくてよい。すでに増援を派遣したからには、数日中にあの町を抜けるであろう。そなたは、この裂け目の守備として残ってもらうことにした。まあ、ゆっくり休むと良い。」


ドロガはホッとした。処刑だけは免れた。



翌日から、戦場は奇妙な静けさに包まれた。


どうやら地底軍は態勢を整えるために待機しているようだ。おそらく増援でも待っているのだろう。そんな風に考えながら、アーレンは外壁の上から森を見つめた。


「……静かだな。」


ジュリアンが頷く。


「増援が来るまで動かないつもりかもな。

こちらも、今のうちに準備を整えないと。」


フレドリックは短く言った。


「そのうち必ず来る。

地底軍の増援が揃った瞬間が、次の山場だ。」


アーレンは拳を握りしめた。


(数日後、地底軍は再び攻めてくる。

今度は、もっと大規模に……)


静寂は、嵐の前触れだった。

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