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アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった  作者: 凩冬馬


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第62話 小休止

夜明けの戦いが終わり、外壁の上には焦げた石片と矢が散乱していた。

地底軍は森の奥へ退き、町の周囲には一時的な静寂が訪れていた。


アーレンは崩れた外壁の縁に腰を下ろし、深く息を吐いた。


「……ひどい有様だな。」

ジュリアンが頷き、周囲を見渡す。


「でも、思ったより被害は少ない。

外壁がなかったら……全滅していました。」


フレドリック隊長が兵士たちに指示を飛ばす。


「負傷者を後方へ運べ!

外壁の修復班は急げ!

昼のうちに補給を済ませるぞ!」


兵士たちは疲れた足取りながらも、黙々と動き始めた。


午前のうちに、ヘンリック配下の騎士団の一部が外壁に到着した。

まだ全軍ではないが、百名ほどの増援は心強い。


騎士団長代理がフレドリックに敬礼する。


「遅れて申し訳ありません!

各地の駐屯地から兵をかき集めています。

残りは夕刻までには到着する見込みです!」


フレドリックは頷く。


「助かる。

夜になれば、また奴らが来る。」


アーレンは騎士団の馬車から降ろされる荷物を見て、ほっと息をついた。


「矢と食料が届いたか……これで少しは持ちこたえられる。」


ジュリアンも安堵の表情を浮かべる。


「連射クロスボウの部隊も矢が無ければ役に立たない。」


レムは外壁の影で、ハンドキャノンの点検をしていた。

砲身を拭き、火縄を交換し、着色粉の補充を行う。


「いやぁ……思った以上に使えましたね。

透明化が完全に無力化できるなんて、我ながら驚きです。」


アーレンが苦笑する。


「お前の発明がなかったら、今ごろ外壁は突破されていたぞ。」


レムは照れくさそうに笑いながら、次の火縄を準備した。


「夜までに、あと十丁は整備しておきます。

……敵がまた透明化を使ってきても、問題ありません。」


一方、森の奥では地底軍が散り散りに座り込み、呻き声を上げていた。


太陽光は木々の隙間から容赦なく差し込み、

簡易遮光布では防ぎきれない。


「目が……痛い……」

「皮膚が焼ける……」

「水……水をくれ……」


地底人にとって、地上の昼は地獄そのものだった。


ダルガは木陰に部下を集め、冷静に状況を分析していた。


「……昨夜の損害は予想以上だ。

透明化が使えない兵が多すぎる。

太陽対策も限界だ。」


副官が苦い顔で言う。


「バルグ隊の被害は深刻です。

あの男は……まだ攻撃続行を命じていますが……」


ダルガは眉をひそめた。


「無視しろ。

頼みの綱の魔道砲が無い。突撃したところで外壁に防がれる。」


森の別の場所では、バルグが怒り狂っていた。


「なぜ退く!?

太陽ごときに怯えるとは情けない!!

夜になったら全軍で突撃する!

わかったな!!」


しかし、部下たちは誰も目を合わせなかった。


ミルダは木にもたれかかり、疲れた声で呟く。


「……精神操作も、長くは続かないわ。

兵士たちの恐怖が強すぎる……」


バルグが怒鳴る。


「黙れ!

お前の力でどうにかしろ!!」


ミルダは目を細め、冷たい声で返した。


「……あなたの失敗を補うために、私の力があるわけじゃない。」


バルグは言葉を失い、拳を握りしめた。


第二砦では、ドロガが砕けた魔道砲の残骸の前で膝をついていた。


「……終わった……

大神官に殺される……

どうすれば……どうすれば……」


砲身は完全に破裂し、修復は不可能だった。


魔道砲部隊は壊滅し、ドロガは片腕を押さえながら震えていた。


「一度戻って予備の魔道砲を持ってくるか…」

夜を待って、ドロガは生き残りの兵士を連れて裂け目に戻ることを決めた。


一方、グレイフォードの外壁では、修復作業が続いていた。


アーレンは外壁の上から森を見つめる。


「……あいつら、昼間は自由に動けないようだな。でも、夜になればまた来る。」


ジュリアンが隣に立つ。


「今夜は……もっと激しくなるな。」


フレドリックが短く言う。


「覚悟しておけ。

これは……まだ始まりにすぎん。」


アーレンは拳を握りしめた。


(……王国の援軍が向かってるというが、

本当に持ちこたえられるのか……?)


昼の静寂は、夜の嵐の前触れだった。

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