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アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった  作者: 凩冬馬


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第59話 地底の御前会議

地底神殿の奥にある作戦室は、岩を削って作られた広い空間だった。

中央には粗削りの石の円卓が置かれ、その周囲に四将軍が集まっていた。


大神官からの命令はただ一つ。


「侵攻計画を立てよ」


だが、会議は開始直後からまとまりを欠いていた。


バルグは円卓に拳を叩きつけ、低い声で吠えた。


「兵力は我らのほうが多い!

ならば攻めれば勝てる!

地上の砦など、正面から叩き潰せばよい!」


その言葉に、ダルガは眉をひそめた。


「バルグ、お前は地上で戦ったことがない。

地上の光、風、地形……どれも地底とは違う。

正面から突っ込めば、こちらの被害が大きくなる。」


バルグは鼻で笑った。


「腰抜けめ。

お前は偵察ばかりで戦いを知らんのだ。」


ダルガの拳がわずかに震えた。


ドロガは兄の横で、興奮したように身を乗り出した。


「兄者、バルグの言うとおりだ!

オレの新兵器があれば、地上人なんて一掃できる!

早く実戦で試したいものだ!」


ダルガは弟を睨んだ。


「ドロガ……お前の兵器は確かに強力だ。

だが、まだ試作段階だろう。

暴発したらどうする?」


「兄者、考えすぎだ。

オレの兵器は完璧だ。

それに……」


ドロガはにやりと笑った。


「兄者の支援のために作ったこの新兵器、

突撃前の露払いは任せとけ!」


ダルガは言葉を失った。


(……結局、俺が先頭に立つのが前提か)


唯一の女性将軍のミルダは円卓の端で静かに座り、淡々とした声で言った。


「私は……どちらでも構わない。

命じられれば兵士の心を操るだけ。

勝とうが負けようが、私の役目は変わらない。」


バルグが苛立ったように言う。


「お前はいつもそれだ!

戦う気があるのか!」


ミルダは首を傾げた。


「戦うのはあなたたちでしょう?

私はただ……兵たちが逃げないようにするだけ。」


その無関心さが、逆に場の空気を冷たくした。


ダルガは深く息を吐いた。


「……地上は、思っているより厄介だ。

罠も多いし、地上人は意外としぶとい。

今回の捕虜の捕獲作戦でも、こちらに犠牲が出た。」


バルグが嘲笑う。


「たかが地上人相手に犠牲を出すとはな。

やはり腰抜けの部下は腰抜けだな。」

その言葉に、ダルガの堪忍袋が切れた。


「黙れ、バルグ!

お前は地上の戦いを知らない!

ただ突っ込めば勝てると思っている愚か者だ!」


バルグが立ち上がり、ダルガに詰め寄る。


「なんだと……?」


ドロガが兄を庇うように立ち上がった。


「兄者を腰抜け呼ばわりするな!」


ミルダは無表情のまま、二人を見ていた。


ダルガはバルグを睨みつけたまま言った。


「……いいだろう。

侵攻に反対しているわけではない。

大神官の命とあらば行かざるを得ない。

だが――」


円卓に手を置き、低く言い放つ。


「失敗したら、お前が全責任を負うのだ、バルグ。」


バルグは一瞬だけ目を見開いたが、すぐに笑った。


「望むところだ。どうせ勝つのだからな!

勝ったらワシの手柄だ!」


ドロガは嬉しそうに手を叩いた。


「よし!兄者も同意したし、オレの新兵器も使える!」


ミルダは静かに頷いた。


「では……決まりですね。」


四将軍は大神官のもとへ向かい、

侵攻開始の意志を伝えることになった。


肝心な計画は数を頼った適当なもの。

ダルガは歩きながら、胸の奥に重いものを感じていた。


(……この侵攻、おそらくかなりの犠牲が出る。

だが、止めることはできない……)


その背中を、ミルダが無言で見つめていた。


地底の闇は静かだったが、

その奥底で――戦の足音が確実に近づいていた。

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