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アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった  作者: 凩冬馬


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第54話 砦の完成

砦の建設が始まって、もう半年が過ぎていた。


春にはただの森の小高い丘だったこの地に、

秋風が吹く頃には、二つの小さな砦が姿を現していた。


森を切り開いた丘の上には二重の木柵が巡らされ、

頑丈そうな門が作られ、見張り台には昼夜を問わず兵士が立ち、

兵舎も馬屋も工房も整っている。

厨房で兵士のための食事を用意する煙が常時立ち上っていた。


アーレンは砦の中の広場に立ち、深く息を吸った。


(……長かったけど、ついに終わったな。)


半年間の汗と努力の結晶が、目の前に広がっていた。


夕暮れ。


砦の中央に大きな焚き火が焚かれ、

兵士も職人も集まって酒樽を囲んでいた。


「アーレン! お前のおかげでここまで来たんだ!」


「半年間、よくやってくれたな!」


「乾杯だ、隊長!」


「いや、隊長じゃねぇけどな!」


「細けぇことはいいんだよ!」


笑い声と酒の匂いが砦に満ちる。


アーレンは杯を受け取りながら、

一人ひとりに労いの言葉をかけて回った。


「アーレンの稽古のおかげで、俺たちも強くなった!」

「透明化の敵が来ても、今なら戦える気がするぜ!」

「半年間、よく付き合ってくれたな!」


アーレンは胸が熱くなった。


(……こいつらなら、きっと大丈夫だ。)


宴は夜遅くまで続き、最後に偵察部隊のリーダーが近づいてきた。


「アーレン、あんたの指示で作ったトラップは完璧だ。

これからは俺たちがこの砦を守る。任せてくれ。」


アーレンは力強く頷いた。


「頼んだぞ、みんな!」


翌朝。

アーレンは荷物をまとめ、仕事を終えた一部の職人たち一緒にと砦を後にした。

兵士たちが門の前に並び、見送ってくれる。


「アーレン! また来いよ!」

「たまには遊びに来いよ!また一緒に飲もうぜ!」

「地底人が来たら、真っ先に知らせるからな!」


アーレンは笑って手を振った。


「任せたぞ、みんな!」


もうここは町と王国を守る最前線となった。


森を抜け、町へ戻ると、

ちょうどジュリアンが守備隊の詰め所に向かうところだった。


「アーレン!お前も終わったのか!」


「お前こそ、半年間よくやったな。」


ジュリアンは照れくさそうに笑った。


「いやぁ……確かに貴族の仕事じゃないけど、悪くなかった。

庶民…いや、みんなと一緒に汗を流すのも、悪くないもんだな。」


アーレンは肩を叩いた。

「お前がいなかったら、二つ目の砦は間に合わなかったさ。」


ジュリアンは嬉しそうに笑った。

そして、ふと思い出したように言った。


「そうだ、アーレン。

レムが……ヘンな道具を作っているんだ。」


アーレンは眉を上げた。


「ヘンな道具?」


「いや、今回は本当にすごいかもしれない。

透明化対策になる“かもしれない”って言ってた。」


アーレンは息を呑んだ。


(透明化対策、何だろう……?)


守備隊の執務室に入ると、フレドリックが地図を広げて待っていた。


「ジュリアン殿、大変でしたな。アーレン、お前も戻ったか。半年間、ご苦労だったな。」


アーレンは砦の完成を報告し、

ジュリアンも自分の砦の状況を説明した。


フレドリックは満足そうに頷いた。


「これでグレイフォードの防衛線は大きく強化されたと思う。」


そして、ジュリアンが口を開いた。


「フレドリック様。

レムが……透明化対策になるかもしれない武器を作っています。」


フレドリックの表情が変わった。


「透明化対策?」


「はい。まだ試作段階で名前は決まっておりません。

完成すれば地底人の透明化を破れる可能性があります。」


フレドリックは腕を組み、しばらく考えた。

そしてアーレンに向き直る。


「アーレン。

ちょうど砦の建設も終わったところだ。

お前……レムと一緒に試してこい。」


アーレンは驚いた。


「俺が?」


「お前は地底人と戦った経験がある。

レムの武器が実戦で使えるかどうか、判断できるのはお前しかいない。

それに……レムはお前を信頼しているだろう。」


アーレンは静かに頷いた。


「わかった。やってみる。」


ジュリアンは嬉しそうに笑った。

「レム、きっと喜ぶぞ!」


アーレンは拳を握った。


(砦は完成した。

次は……新しい道具か。)


地底人の透明化は最大の脅威。

それを破る武器ができれば、戦況は大きく変わる。


(レムと一緒に……対策を完成させよう)


アーレンの胸に、再び静かな闘志が灯った。

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