表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった  作者: 凩冬馬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/84

第53話 訓練の日々

翌朝。

アーレンは訓練場に立ち、兵士たちが集まるのを待っていた。

昨日の勝負を見た者たちが噂を広めたのか、今日は二十名近くが集まっている。


「よし、始めるぞ。」


兵士たちは一斉に姿勢を正した。


「まずは構えからだ。

地底人は透明化する。

目で追うな。気配を読め。」


兵士の一人が手を挙げた。


「気配って……どうやって読むんだ?」


アーレンは木剣を構えながら答えた。


「最果ての国の剣士に教わった。

“見ようとするな、感じろ”だ。

風の流れ、地面の振動、音の途切れ……

そこに混じる違和感を探すんだ。」


兵士たちは真剣に頷いた。


午前中はひたすら基礎の反復だった。

背後からの攻撃を避ける練習、

受け返しの練習 、

気配を読むための静止訓練、

透明化を想定した“見えない敵”への反応訓練…


アーレンは兵士たちの動きを見ながら、ふと気づいた。


(……こいつら、集団戦の動きがやけに洗練されてるな。)


兵士たちは互いの距離を一定に保ち、

仲間の動きに合わせて自然に位置を変える。


「お前ら、普段からこういう動きをしてるのか?」


「ああ! グレイフォードの兵は“隊で戦う”のが基本だからな。」

「一人で突っ込むのはご法度さ!」


アーレンは感心した。


(なるほど……俺は個人戦ばかり考えていたが、

集団戦の動きはこうなるのか。)


兵士たちから学ぶことも多かった。


(これなら……地底人相手でも、戦い方次第で勝機はある。)


昼過ぎ。

アーレンは砦の外周を歩きながら、透明化対策を考えていた。


(接近される前に“気づく”仕組みが必要だ。)


その時、偵察部隊出身の兵士が声をかけてきた。


「アーレン、何か困りごとでも?さっきから同じところを行ったり来たり…」


「透明化した敵の接近を察知する方法を探しているんだ。

そういえば偵察任務の経験から、何か良い方法を知らないか?」


兵士は少し考え、答えた。


「野営の時は……ひもを張り巡らせて、ベルを吊るしたりする。

敵がひもを引っかければ、音で気がつくってわけさ。一種のトラップだね。」


アーレンの目が輝いた。


「それだ。」


「敵が知らずにまたいでしまったら意味が無いから、実際には何重にも張る必要がある。

俺が偵察部隊にいたころは、敵よりも野生動物を警戒する感じだったが…」


「よし、お前をリーダーにする。

砦の周囲に仕掛けを作ってくれ。」


兵士は胸を張った。


「任せておきな!他にも偵察部隊出身のやつがいるから何人か集めてやってみる。」


それから数日が過ぎた。

木の柵をめぐらせた外周が完成し、

東西南北に見張り台を設置完了、

24時間体制の警戒が可能に なり、

兵舎と馬屋の建設開始され、

鍛冶屋が常駐できる工房の基礎も完成した。

トラップも大体設置完了したという。

砦は徐々に“形”を成し始めていた。


アーレンはトラップ担当だった兵たちを中心に、偵察部隊を編制し、

外周の巡回と、ジュリアンの砦との連絡ルートを決めることにした。


巡回の途中、ジュリアンの砦に立ち寄ると、

ジュリアンは顔も服も真っ黒にして働いていた。


「おい、ジュリアン。調子はどうだ?」


「おお、アーレン!こっちも順調さ!」


アーレンは笑った。


「お前、たしか貴族の坊ちゃんだったよな?」


「ハハハ、今はただの現場監督さ!」


アーレンは敵接近用のトラップの話をし、

ジュリアンも自分の砦で採用することにした。


時間があったので町に戻り、フレドリックに進捗を報告すると、

父は満足そうに頷いた。


「よくやっている。

この調子なら予定通りだ。」


アーレンは胸を張った。


そして砦へ戻る道中。

ふと、森の奥から気配がしたような感じを覚えた。


(……またか。)


だが、すぐに消えた。正直、地底人がいたのかどうかは分からない。


(あいつらも、砦が完成しつつあるのを知っているんだろうか。)


風が吹き抜ける。

その音が、地底人同士の会話のように感じるようになってきた。


(……俺、相当疲れてるな。)


疑心暗鬼になっている自分に気づき、

アーレンは深く息を吐いた。


(そろそろ兵士たちにも休息を与える頃かもしれない。)


砦の灯りが見えてくる。

アーレンは歩みを早めた。


(明日もやることは山ほどある。

だが……悪くない。)


彼の胸には、確かな手応えと、

静かな闘志が宿っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ