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アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった  作者: 凩冬馬


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第43話 レムの発明

酒場に戻る途中、ジュリアンはガルドの鍛冶屋の前を通り過ぎた。まだ明かりがついている。ふいにレムのことが気になって、立ち寄ることにした。


「ガルド、レムはまだ起きているか?」


二人は図面とにらめっこしている途中であった。


「おや、ジュリアンさま。こんな時間にどうしました?」


「いや、先ほど偵察任務から戻ってきてな、酒場で食事をしていたのだが、ふとレムの様子が気になって、立ち寄らせてもらったのだ」


レムが嬉しそうに笑みを浮かべた。


「ジュリアンさま、ご無事でお戻りになられましたね。あちらはいかがでしたか?」


「うーむ、正直思い出したくもないことばかりだ。アーレンが隊長格などと、にわかに信じられぬな」


「まぁ、みなさん無事に戻られたんですよね?でしたら、問題無しでしょう」


「レムは意外と楽天家なのだな…」


ジュリアンは笑った。レムも久しぶりに旅の仲間に会えてうれしくて笑った。

「そうそう、ジュリアン様、この数日間、工房にこもって作っていた試作品が完成しまし

たよ、ご覧になられますか?」


レムは後ろの棚から何やら筒状の物を取り出した。


「これなんですけど、地底人対策の道具として白雲諸島にいるころからずっと考えていました。あっちの鍛冶屋で本体は作ってもらったのですが、同様の物をここで作れるかどうか師匠と一緒に試していたのです」


ジュリアンは手に取ってみた。それほど重量は感じられないが、使い方が想像できない。そんなジュリアンをよそに、レムはどんどん説明する。


「これは容器を火薬の力で発射する装置です。容器の中身を変えればいろいろなことができますよ。例えばこのニオイ玉を使えば、対象に命中した際に容器が破裂してくさい臭いをあたりにまき散らします」


(…こいつは何の話をしているのだ…)


「次に色玉ですが、これは容器の中に塗料が入っていて、透明化している相手の上で破裂させれば、広範囲に染料をまき散らします。それによって、透明化した敵の姿がハッキリすると思われます」


(…!…それは良いかもしれない)


「そして光玉ですが、これは容器を発射するのではなく、この発射器の筒先から強い光を出して、目くらましをすることができます」


「他にも、爆弾を発射できるようにもできますし、ロープ付きのフックを発射すれば高いところにひっかけて登ったりできると思います」


ジュリアンはうんうんと説明を聞いていた。

正直、すべてを理解できたわけではない。

だが──透明化対策だけは、直感的に「使える」と思った。


「レム、面白そうな道具だな。思うに、透明化対策が一番大切だと思う。

それを完成させたら、王様だって欲しがるだろう。父にも相談してみようか。」


レムは目を丸くした。


「えっ、そんな……! でも、そう言っていただけると嬉しいです。」


ジュリアンは続けた。


「騎士団の連中は新しいものを嫌うかもしれんが、

短期間の訓練で使えるように工夫すれば、庶民でも立派な戦力になる。

そういう道具は、きっと必要になるはずだ。」


レムは少し照れたように笑った。


「まぁ、そこも狙いの一つです。

僕たち庶民は剣を持って戦うのは難しい。

でもこの道具なら、直接斬り合う必要はありません。

物陰に隠れたままでも使えますし……僕のような非力な臆病者にはぴったりです。」


「当然、騎士の皆様には好かれないでしょうけどね。」


ジュリアンは首を振った。


「そうかもしれん。だが──私は気に入ったぞ。

完成したら、ぜひ使ってみたい!」


レムの顔がぱっと明るくなる。


「本当ですか!? でしたら、もっと改良します!

透明化対策の色玉は、容器を飛ばすのが難しいので、筒の中で爆発させて散布する方式を試していますが、まだ散布範囲が狭いので……

もっと広げられるように、少し形状を変えてみます!」

ガルドが腕を組み、満足げに頷いた。


「こいつは本当に面白い弟子でな。

火薬の扱いも、鍛冶の基礎も、飲み込みが早い。

……ただ、時々とんでもない発想をするから、目が離せん。」


「えへへ……」


レムは照れ笑いを浮かべた。


ジュリアンはその様子を見て、ふと真剣な表情になる。


「レム。

この道具は、きっと多くの人を救うことになる。

……だから、頼む。完成させてくれ。

それと、私も一つ作ってもらいたいものがあるのだが、相談にのってくれるか?」


レムは胸に手を当て、深く頷いた。


「はい、やってみます。ところで、相談とは何でしょう?」


工房の灯りが、三人の影を長く伸ばしていた。

外では夜風が静かに吹き、町は一見平和そのものだった。


だが──

地底では、別の動きが始まりつつあった。

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