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アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった  作者: 凩冬馬


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第25話 レムの帰還

翌朝、

霧の里の空気はひんやりとして、どこか澄んでいた。


早朝のうちにイオリは

屋敷の裏手にある祖母の墓参りに出かけた。


墓石のまわりは掃除が行き届いている。

祖母がいかに愛されていたかが分かる。


思い出にひたりながら

イオリはそっと手を合わせた。


朝食をすませ、

レムとイオリは荷物をまとめた。


屋敷の門のところで、

見送りの友春の家の前で深々と頭を下げた。


「友春さん、本当にお世話になりました……」


「叔父上、また参ります。

その折には、ゆっくり語り合いとうございます」


友春は穏やかに笑い、

家族たちも手を振ってくれる。

老門番も涙を流す。


「気をつけて行け。

いつでも戻ってくるがよい」


二人は船に乗り込み、

ゆっくりと船着き場が遠ざかっていく。


レムは少ししんみりとした。


(……本当に、良くしていただきました……

また必ずお礼に来たいです……)


無事に航海を終え、

白鷺の港に着くと、

レムとイオリはまっすぐに

アーレンたちの宿へ向かった。


扉を開けると――


「おお、戻ったか!」


アーレンが嬉しそうに立ち上がった。


「観光もそろそろ飽きてきたところだ。

お前たちの旅の方がよほど面白そうじゃないか」


ジュリアンはどこか上の空で、

シオリの方をちらちら見ている。


シオリは微笑んだ。


「ジュリアンさまは、白鷺の町をとても楽しんでおられましたよ」


ジュリアンは耳まで赤くなった。


レムとイオリは、

瑞穂から聞いた話をすべて伝えた。


- 鬼の一族の起源

- 地底人の歴史

- 内響という力

- そして、地底人の弱点らしきもの


アーレンは腕を組み、真剣に聞いていた。


「……なるほど。

地底人の真の狙いはまだ分からんが、

少なくとも油断できそうにないな」


ジュリアンも頷く。

「一刻も早く、グレイフォードに戻り、父上とフレドリック殿に報告すべきだ。」


アーレンは真剣な面持ちになった。


「では、明日の船で戻ることにしよう」


全員の意見が一致した。


その夜。

イオリとシオリへの感謝を込めて、

ささやかな宴会が開かれた。


アーレンは杯を掲げる。


「イオリ、本当に感謝する。

あんたがいなかったら、ここまで辿り着けなかった」


レムも深く頭を下げた。


「本当に……ありがとうございます。

あの武器のことも、鬼の一族のことも……

イオリさんがいなければ分かりませんでした」


イオリは照れくさそうに笑った。


「拙者は何もしておりませぬ。

ただ、伯母上のもとへ案内しただけでござる」


ジュリアンはシオリに向き直る。


「シオリ殿……

白鷺の案内、ありがとうございました。

あなたのおかげで……とても楽しい時間でした」


シオリは静かに微笑んだ。


「こちらこそ。

またお会いできる日を楽しみにしております」


ジュリアンの胸がきゅっと締めつけられる。


(……明日で、お別れなのか……

もっと一緒にいたかった……)


宴会の前のこと、

レムは白鷺の鍛冶屋を訪れていた。


「これを……作っていただけませんか?」


レムが差し出した設計図を見て、

職人は目を丸くした。


「ほう……これはまた妙な仕掛けだな。

誰かを驚かせる道具か?」


「い、いえ、そういうわけでは……

(……まあ、驚かせるのは間違いないですけど……)」


職人は豪快に笑った。


「面白い!

いっちょ作ってみよう。

できたら知らせるからな!」


レムは胸をなでおろした。

どのみち、明日になればこの島から旅立つので

急ぎではないことと、

できたら小島のイオリの家に届けてくれればよいこと、

それらを職人に伝え、鍛冶屋を後にした。


(……よかった……

これで、地底人への対策が一つできるかも……)


宴会が終わる頃、

夜風が静かに吹き始めていた。


イオリとシオリは、

一行に向かって深く頭を下げた。


「皆さま、どうかお気をつけて。

また白鷺にお越しくださいませ」


「拙者も、皆さまの旅の無事を祈っております」


アーレン、レム、ジュリアンの三人は、

胸の奥にぽっかりと穴が空いたような気持ちになった。


「……さて、二人とももう少し飲むか?」

アーレンが静かに言う。


「はい……」

レムは名残惜しそうに目の前の料理を見つめる。


ジュリアンはドアの方を振り返り、

シオリが去っていった後姿を追っているように見えた。


(……また会えますよね……シオリ殿……)


再度、レムの得た情報を三人で整理した後、

明日の出立に備えるのだった。

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