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アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった  作者: 凩冬馬


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第17話 へんてこな武器の本当の作られ方

旧鉱山で二人が見たものは?


謎が謎を呼ぶへんてこな武器のルーツ、それを知るであろう鬼島の当主の思いは?

旧鉱山は、鬼島家の屋敷からそう遠くない丘の中腹にあった。

案内役の家臣に導かれ、イオリとレムは薄暗い坑道へと足を踏み入れる。

湿った空気が肌にまとわりつき、壁には古いツルハシの跡が残っている。


レムは期待に胸を膨らませ、イオリは慎重に周囲を見渡しながら進んだ。


しかし――


「……光る鉱石なんて、どこにもないですね」


レムは肩を落とした。


坑道の奥まで探しても、青白い金属の痕跡は一つも見つからない。

代わりに、奇妙なものが目に入った。


「イオリさん、これ……金床にしては変じゃないですか?」


そこには、石でできた台座のようなものがあった。

形は金床に似ているが、どこか“祭壇”を思わせる神秘的な造形だ。

表面には無数の小さなくぼみが刻まれている。


レムは指先で触れ、眉をひそめた。


「……金属が高温の火花で溶けて飛び散った跡に見える。

まるで、ここで何かを“焼き付けた”みたいだ」


イオリも覗き込み、中央の大きなくぼみに目を留めた。


「これは……剣の形か」


確かに、そこだけは剣の輪郭がはっきりと残っている。

まるで、刃を押し当てて形を写し取ったような跡だ。

しかし、それ以外に手がかりはなかった。


「……結局、ここで何をしていたのかすら分からないな」


レムは深く息を吐いた。

期待していただけに、落胆は大きかった。


夕刻、二人が屋敷に戻ると、当主・鬼島宗真がすでに待っていた。


「どうであったか。何か見つかったかの」


イオリは丁寧に頭を下げ、見つけた“祭壇のようなもの”について説明した。


宗真は静かに目を閉じ、しばし考え込む。


「……やはり、光る金属はもう存在せぬのかもしれぬな。

古の技は、完全に失われたのだろう」


その言葉に、レムは胸が締めつけられるような思いがした。

イオリもまた、わずかに顔を曇らせる。


宗真は二人の表情を見て、穏やかに問いかけた。


「そなたらは、なぜその武器を調べておるのだ。

どうやって手に入れたのか、聞かせてもらえぬか」


イオリがレムに目を向ける。

レムは小さく頷き、イオリの通訳を頼りながら、すべてを語った。


― 中部王国の西の果ての町で、謎の“魔物”の集団が出没していること。

― 住民たちが怯え、領主の息子までもが襲われたこと。

― その戦いで倒した敵が、この奇妙な武器を落としていったこと。

― 武器が東国の農具に似ていると聞き、手がかりを求めて旅をしていること。

― 武器の正体を知れば、魔物の正体にも近づけると信じていること。


包み隠さず、すべてを語った。


レムの説明が終わると、広間には重い沈黙が落ちた。


鬼島宗真は、しばらく動かず、ただ目の前の武器を見つめていた。

その表情は、驚愕と困惑、そして決意が入り混じっている。


やがて、宗真は深く息を吐いた。


「……まさか、この島の外に、この技を知る者がいたとは」


イオリとレムは顔を見合わせる。

宗真はゆっくりと二人に向き直った。


「そなたらに、隠していたことがある。

光る金属が“鉱石として存在しない”のは、嘘ではない。

だが――“光る刀身”の正体は、別のところにあるのだ」


レムが息を呑む。

宗真は、静かに武器を手に取った。


「これは、魔力を込めて鍛えた武器だ。

鉱石そのものが光るのではない。

魔力が刃に宿り、青白く輝くのだ」


イオリの目が細められる。


「では、あの鉱山は……」


「鉱山ではない。

かつて、我らの祖が武器を鍛えた“作業場”だ。

そなたらを案内したのは…これ以上詮索されぬように、

という思惑もあった」


宗真は正直に告げた。


「この技術は、鬼島家の秘伝。

外に漏れれば、争いの種となる。

ゆえに、我らは代々守り続けてきた」


レムは複雑な表情を浮かべたが、宗真の声には後悔が滲んでいた。


「だが…そなたらの話が事実なら、もはや隠しておく理由はない。

この技術が外部に存在する以上、我らだけが抱え込んでも意味はない」


宗真は、遠い昔を思い出すように語り始めた。


「この技術は、数百年前に島の外から持ち込まれた。

“始祖の鬼”と呼ばれる者たちがいた。

彼らは強大な魔力を持ち、この技を用いて白雲諸島を豊かにした

その子孫が鬼の一族、我らのような者たちなのだ」


イオリは静かに耳を傾ける。


「しかし、時が経つにつれ、魔力は薄れ、技術を再現できる者は減っていった。

今の鬼島家の者では、武器を鍛えるほどの魔力はない。

ゆえに、古の武器の形を農具に応用し、島の暮らしを支えてきたのだ」


宗真は二人を見つめ、はっきりと言った。


「もっと深く知りたければ、白雲島の鬼頭家を訪ねるがよい。

鬼の記憶に最も通じているのは、あの家だ」


その言葉に、イオリの胸がわずかに震えた。


「……白雲島。

拙者の母が生まれた島にござる」


宗真は驚いたように目を見開いた。


「そうであったか。

そなたの母君の故郷ならば、

鬼頭家に詳しいものもおるじゃろう。

それなら話が早いのぅ」


イオリは幼い頃、優しくしてくれた祖母の姿を思い出した。

白雲島に眠るその墓を、ずっと訪ねられずにいた。


レムがそっとイオリの肩に触れる。


「行きましょう、イオリさん。

きっと、そこに答えがあると思うんです」


イオリは静かに頷いた。


「うむ。

おばあさまの墓参りも兼ねて、白雲島へ向かうとしよう」


宗真は二人に深く頭を下げた。


「どうか、真実を見つけてくれ。

そして……もし“始祖の鬼”の技が復活しつつあるのなら、

それが悪しき者の手に渡らぬよう、気をつけて進むのだ」


イオリとレムは、次なる目的地――白雲島へ向けて旅立つ決意を固めた。

二人の旅はまだまだ続きます。


イオリの母方の故郷である白雲島に向かうことになったのですが、

そこでは驚くべき出会いが待っています。


鬼とは?そしてこの武器との関係は?


乞うご期待!

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