第16話 へんてこ武器のルーツを追え!
ようやく鬼島家の当主と会えることになった二人。
へんてこな武器のルーツを巡る調査が本格的に始まる予感?
「で、いかがされますか?」
門番は槍をいつでも使えるように持ち直した。
空気が張りつめ、レムは思わず息を呑む。
その時だった。
「どうした。騒がしいな」
屋敷の方から、落ち着いた声が響いた。
振り向くと、浅葱色の羽織をまとった男が歩いてくる。
年の頃は三十前後、鋭い眼差しの中にどこか温かさを宿している。
門番たちは慌てて姿勢を正した。
「か、家老さま…!
こちらの客人が、武器を持ったまま領主様にお会いしたいと申しておりまして…」
家老と呼ばれた男は、イオリとレムに視線を向けた。
その目は警戒と観察、そしてわずかな興味が混じっている。
「客人。名を伺ってもよいか」
イオリは一歩進み、深く礼をした。
「拙者、小島より参ったイオリと申す。
こちらは大陸からの当家の客人レム殿。
鬼邑家の長老殿より紹介を受け、武器の件につきお話を伺いたく参上いたした」
家老は紹介状を受け取り、静かに目を通す。
その表情が、わずかに変わった。
「……なるほど。鬼邑の長老殿からの紹介状か。
ならば、門前払いというわけにもいかぬな」
門番たちが驚いたように顔を見合わせる。
家老はイオリの背にある武器へと視線を移した。
「その武器を領主様に見せたい、ということであろう。
ならば、私が責任をもってお連れしよう。
ただし――」
男は一歩近づき、低い声で続けた。
「屋敷に入る以上、我らも警戒を解かぬ。
不審な動きをすれば、その場で斬りすてる」
イオリは静かに頷いた。
「無論にござる。
拙者ら、争いを求めて参ったわけではござらぬ」
家老は満足したようで、門番に命じた。
「二人を通せ。
武器は私の監督下で領主様の御前まで運ぶ」
門番たちは槍を引き、道を開けた。
レムは言葉が分からないため、見守るしかなかったが、
どうやらうまくいったようだと胸を撫で下ろした。
イオリは静かに息を整える。
こうして二人は、鬼島家の屋敷の奥へと足を踏み入れることになった。
家老に案内され、イオリとレムは屋敷の奥へと進んだ。
廊下は磨き込まれ、木の香りが漂い、
壁には古い農具や島の地図が飾られている。
どれも実用と歴史を重んじる家柄を物語っていた。
やがて、家老が足を止めた。
「こちらが、領主様の御座所でございます」
襖が静かに開かれる。
中には、柔らかな陽光が差し込む広間があった。
その中央に座していたのは、白髪まじりの髪を結った壮年の男。
威厳はあるが、目元には穏やかな笑みが浮かんでいる。
「よく参られた。
私は鬼島家当主、鬼島宗真と申す」
イオリは深く頭を下げた。
「拙者、小島より参ったイオリと申しまする。
こちらはレム殿。
鬼邑家の長老殿より紹介を受け、武器の件につきお話を伺いたく参上いたしました」
宗真は家老に目配せした。
「例の武器を見せていただけるか」
家老がイオリに促す。
イオリは慎重に背から武器を外し、宗真の前へと差し出した。
宗真は武器を手に取り、静かに観察した。
その目が、驚きと懐かしさの入り混じった色に変わる。
「…青白い刀身、これは、まさしく“古の技”」
レムが思わず身を乗り出す。
「ご存じなのですか、この武器のことを」
宗真は微笑み、ゆっくりと語り始めた。
「大昔、この島にはこれと似たような“青白く光る金属”を
扱う技術があったと伝わっておる。
農具にも武具にも使われ、島の繁栄を支えたという。
しかし、その金属はある時を境に採れなくなり、
技術も途絶えてしまった」
イオリは息を呑む。
「では、この武器は……」
「おそらく、古代の技術で作られた品の一つ。
伝承が正しければ、鬼邑家に贈られた神器と同じ技で作られたもの」
宗真は武器をそっと置き、二人を見つめた。
「この武器がどこから来たのか――
その答えを知りたくば、北にある“旧鉱山”へ行くとよい。
今は閉ざされておるが、かつて青白い金属が採れた場所だと言われている」
レムの瞳が輝く。
「そこに、手がかりが……!」
宗真は頷き、家老に命じた。
「二人に案内役をつけよ。
旧鉱山は危険も多い。
だが、真実を求める者を拒む場所ではない」
イオリは深く礼をした。
「ご厚情、痛み入る。
必ずや、この武器の謎を解き明かしてみせる」
宗真は穏やかに笑った。
「期待しておるよ、旅の者たち。
この島の歴史が、そなたらを導かんことを」
こうしてイオリとレムは、鬼島家の協力を得て、
古代技術の眠る“旧鉱山”へ向かうこととなった。
果たして旧鉱山に答えはあるのか?
二人の旅はまだ続きます。




