第15話 頑固な門番
白雲諸島最大の島、大島にいよいよ上陸した二人。
鬼島家は二人を迎えてくれるのでしょうか?
大島の港は、白鷺とはまた違った活気に満ちていた。
荷を運ぶ農夫たち、家畜を連れた商人、そして遠くから来た旅人たち。
その誰に鬼島家のことを尋ねても、返ってくるのは決まって同じ言葉だった。
「鬼島家の方々は立派なお人だよ」
「昔から大島の農業を支えてくださってる」
「親方様から領地を授かったのも当然だ」
レムはその評判に驚き、イオリは静かに頷いた。
「民の声は嘘をつかぬものにござる。
鬼島家…信頼できる家柄と見てよかろう」
港からほど近い丘の上に、鬼島家の領地はあった。
広い畑と倉、そしてその中心に堂々とした屋敷が構えている。
門の前には守衛が立っていた。
イオリが鬼邑の長老から預かった紹介状を差し出すと、
守衛は目を細めて紙を確認した。
「ほぉ…鬼邑家の客人でございましたか。
それならば、お通りください」
態度は丁寧だが、どこか慎重さが滲む。
よそ者に厳しいわけではないが、領地を守る者として当然の姿勢だった。
屋敷の前に着くと、立派な門の前に二人の門番が控えていた。
槍を手にし、背筋を伸ばしたその姿は、武家の家柄を思わせる。
門番の一人が声をかけてきた。
「貴殿らのお名前と、ご用件を伺いたい」
イオリは一歩前に出て、深く頭を下げた。
「拙者、小島より参ったイオリと申す。
こちらはレム殿。
鬼邑家の長老殿より紹介を受け、
武器の件につきお話を伺いたく参上いたした」
そう言って紹介状を差し出す。
門番は手紙を受け取り、丁寧に目を通した。
しかし、次の瞬間、表情を引き締めて言った。
「…見知らぬ武器を御前に持ち込むことは、ご法度でございます。
領主様にお会いになる前に、すべての武器はこちらでお預かりいたします」
イオリは静かに口を開く。
「門番殿。
この武器こそ、我らが調べておる“要”にござる。
せめて、領主殿にお目通りの折だけでも、お許しいただけぬか」
しかし門番は首を横に振った。
「決まりでございます。
いかなる理由があろうとも、武器の持ち込みは固く禁じられております」
言葉は分からないがトラブルの気配を感じレムは唇を噛んだ。
イオリは眉を寄せ、しばし考え込む。
(…どうしたものか…?
武器を見せられないなら、調べが進まぬ…)
門番の槍先が陽光を反射し、二人の前に静かに立ちはだかっていた。
屈強な門番はすんなり通してくれそうもありません。
彼には主君を守るという務めがあり、
レムとイオリにもどうしても当主にあわないといけない理由がある。
さてさて、この後どうなるのでしょう?




