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アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった  作者: 凩冬馬


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第18話 故郷の島

小島から大島、そしていよいよ白雲諸島における聖なる島、白雲島に上陸する二人。


そこはイオリにとっては第二の故郷でもあります。いったいどんな出会いが待っているのでしょうか?

鬼島家の当主・宗真の厚意により、

イオリとレムはその夜、屋敷に泊まることになった。


案内された客間は、畳の香りが心地よく、

柔らかな灯りが部屋を照らしていた。

レムは敷かれた布団を見て、目を丸くする。


「……こ、これが布団というものなのですね……」


恐る恐る横になった瞬間、

レムは小さく声を漏らした。


「……ふわふわです……身体が沈んでいきます……」

鍛冶屋の工房では藁束の上で寝るのが当たり前だった。


宿屋のベッドでさえ慣れないのに、この柔らかさは衝撃だった。


イオリは微笑ましく頷く。


「東国では、これが普通にござるよ」


さらに風呂にも案内され、

湯に浸かったレムは肩まで沈みながら震えた。


「……こ、こんなに気持ちの良いものが……世の中にあったのですね……」


イオリは笑いをこらえながら湯に浸かった。

その夜、二人は久しぶりに深い眠りについた。


翌朝、

宗真に礼を述べて屋敷を後にした二人は、港へ向かった。


途中、イオリは白鷺に残る妹へ言伝を残すため、

小島家の商船が停泊していたので船乗りの一人に声をかけた。


「妹に、白雲島へ向かうと伝えてほしい」

「承知しました。必ずお伝えします」

準備を整え、二人は白雲島行きの船に乗り込んだ。


船が沖へ出ると、海風が二人の頬を撫でた。

レムは甲板に立ち、遠くの水平線を見つめる。

やがて、海の向こうに白い影がゆっくりと姿を現した。


「……イオリさん、あれは……」

イオリは目を細め、懐かしむように言った。

「うむ。あれこそ白雲山にござる。

白雲島、そして白雲諸島の象徴。

島に帰る者は、まずあの山を見る」


白雲山は、海の上からでもはっきりと見えるほど高く、

山頂は厚い雲に覆われ、

山肌は霧に包まれている。

その姿は、まるで島全体を守る巨大な守護者のようだった。


レムは息を呑んだ。


「……なんて、神々しい山なのでしょう……」


イオリは静かに頷いた。


「この山は、島の人々にとって信仰の中心。

拙者の祖母――澄江も、この山の麓で育った」


レムは幼少期のイオリを想像した。


「イオリさんの故郷…その一部を、ようやく拝見できたのですね」

二人はしばらく、霧に包まれた白雲山を眺め続けた。


船が白雲島の港に着くと、

潮風とともに懐かしい香りがイオリを包んだ。


「……変わらぬな、この島は」


レムは周囲を見回しながら言った。


「とても落ち着いた場所ですね。

こういうところで育った方々は、きっと優しいのでしょう」


イオリは微笑んだ。


「うむ。母上も、おばあさまも、皆この島の人々は温かい」

二人は荷を整え、白雲家の屋敷へ向かった。


白雲家の屋敷は、港から少し離れた丘の上にあった。

立派な門構えに、白雲家の格式が感じられる。


門の前には、一人の老兵が槍を脇に立て、背筋を伸ばしていた。

白髪まじりの髷を結い、年齢を感じさせながらも、

その姿勢には武士としての矜持が宿っている。


イオリは門に近づき、丁寧に声をかけた。


「ご無沙汰しております、源兵衛殿。

拙者、イオリにござる」


老兵はゆっくりと顔を上げた。


「なんと!……まさか……イオリさま……でございますか……?」


次の瞬間、源兵衛の目に涙が溢れた。


「おお……イオリさま……!

こんなにご立派になられて……

本当にお懐かしゅうございます……!」


イオリは深く頭を下げた。


「源兵衛殿には、幼い頃より大変お世話になりました」


「いえ……いえ……

わたくしめなど、ただ門を守るばかりの身……

しかし、澄江さまがいつもイオリさまのことを嬉しそうに語っておられました……

ああ……澄江さまも、きっとお喜びでございましょう……!」


源兵衛は涙を拭い、姿勢を正した。


「どうぞお入りくださいませ。

友春さまも、きっとお喜びになりましょう」


イオリとレムは、静かに門をくぐった。


白雲家の屋敷――


懐かしい記憶と、新たな物語が始まる場所へ。

いよいよ白雲島での冒険のはじまりです。


イオリにとっては幼少期の思い出あふれる場所ですが、

レムにとっては答えをくれる場所ではないかという期待しかありません。


本当に答えは見つかるのでしょうか?

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