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魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした  作者: 茜カナコ


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34/39

34.反省

「ただいま戻りました」

 僕は買ってきた品物を作業場のテーブルに並べた。

「ありがとう、メルヴィン。助かったよ」

 ビルが笑顔でそう言ってくれたけど、エイミーに『甘えてる』と言われたことが気になっていた僕は、上手く笑えなかった。


「どうしたの? なにかあった?」

「いえ。あの、ビルさんは仕事の時、どんなことを考えてますか?」

「え? 急に聞かれても……。そうだなあ……どうやったらお客さんに喜んでもらえるかとか、どんな商品がお客さんの要望に合うのか、とかかな?」

「そうですか」

 僕は自分の仕事をこなすことしか考えていなかったことに今さらながら気づいた。


「仕事に戻ります」

 僕は布巾を持ってお客さんのいないショーケースをみがきながら、辺りの様子をうかがった。


(みんな、どんなふうに仕事をしてるんだろう?)

 今まで、仕事は言われたことをするので精一杯で、他の人たちがどうやって仕事をしているかまで、僕は気にしたことがなかった。掃除をしながら店の中の様子に注意をむける。


 陽気にお客様と会話をするニコラス。豊富な知識でお客さんの質問に的確に答えるフランク。お客さんの話を聞くのが上手いビル。お客さんをことあるごとに持ち上げるデニス。みんな、商品知識もしっかりしている。


(そうか、言われたことをするだけじゃ全然足りないんだ……)

 僕はため息をつきたいのをこらえて、ショーケースをピカピカに磨き上げた。


(僕も早くみんなに追いつきたい……!)

 従業員たちとお客さんのやり取りを聞きながら、僕は自分に出来ることを考え始めた。


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