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魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした  作者: 茜カナコ


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33/39

33.エイミーとの再会

 昼食後、店に来るお客さんも減り落ち着いたころ、デニスが僕に言った。


「メルヴィン、これを文房具店で買ってきてくれ」

 僕はデニスにメモを渡された。

「いいか? 釣りをごまかすなよ?」

「そんなことしません!」

 僕がデニスを軽く睨むと、デニスは口の端を上げて「どうだか」と呟いた。


 ダンダンと道を踏みつけるように歩いて、店を出た僕は文具屋に向かった。デニスがくれたメモには『メモ用紙100枚と黒インク一ビン』と書かれていた。


 文具店で目的の商品を選び会計をしていると、女性に声をかけられた。

「こんなところで何してるの? 仕事は?」

 振り返ると、エイミーが腕組みをして僕を見ていた。


「エイミーさん! 僕は今、店のお使いでここに来てるんです」

「ふうん」

 エイミーはそれだけ言うと、店の商品をいくつか選んでいた。

「エイミーさんもお使いですか?」

「お使い? ちゃんとした仕事よ」

 エイミーは眉間にしわを寄せた。


「エイミーさんはどんな仕事をしてるんですか?」

「なんだっていいでしょ」

 エイミーは横目で僕を睨んだ。

「……あの、ごめんなさい」

 僕が謝ると、エイミーは右足をトントンと鳴らしながら舌打ちをした。


「買い物が済んだら、さっさと帰りなさいよ。仕事舐めてるんじゃないわよ」

「でも、給料も少ないし、雑用ばかりだし、そんなに急いで帰らなくても……」

 僕の言葉を聞いたエイミーは、目を見開いた。


「はあ!? あんな立派な錬金術工房につとめているくせに何言ってるのよ! 甘えるのもいい加減にしなさいよ!?」

「え?」

「給料以上に、ノウハウとか技術とか、盗めるものはいくらでもあるでしょう!? ばかじゃないの? その間抜け面、見たくないわ! 失礼するわ!」

 エイミーは、商品とおつりを受け取ると僕を押しのけて、文具店を出て行った。


「そんな怒られること言ったかな……?」

 買い物をすませた僕は、ため息をついて工房に戻った。


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