33.エイミーとの再会
昼食後、店に来るお客さんも減り落ち着いたころ、デニスが僕に言った。
「メルヴィン、これを文房具店で買ってきてくれ」
僕はデニスにメモを渡された。
「いいか? 釣りをごまかすなよ?」
「そんなことしません!」
僕がデニスを軽く睨むと、デニスは口の端を上げて「どうだか」と呟いた。
ダンダンと道を踏みつけるように歩いて、店を出た僕は文具屋に向かった。デニスがくれたメモには『メモ用紙100枚と黒インク一ビン』と書かれていた。
文具店で目的の商品を選び会計をしていると、女性に声をかけられた。
「こんなところで何してるの? 仕事は?」
振り返ると、エイミーが腕組みをして僕を見ていた。
「エイミーさん! 僕は今、店のお使いでここに来てるんです」
「ふうん」
エイミーはそれだけ言うと、店の商品をいくつか選んでいた。
「エイミーさんもお使いですか?」
「お使い? ちゃんとした仕事よ」
エイミーは眉間にしわを寄せた。
「エイミーさんはどんな仕事をしてるんですか?」
「なんだっていいでしょ」
エイミーは横目で僕を睨んだ。
「……あの、ごめんなさい」
僕が謝ると、エイミーは右足をトントンと鳴らしながら舌打ちをした。
「買い物が済んだら、さっさと帰りなさいよ。仕事舐めてるんじゃないわよ」
「でも、給料も少ないし、雑用ばかりだし、そんなに急いで帰らなくても……」
僕の言葉を聞いたエイミーは、目を見開いた。
「はあ!? あんな立派な錬金術工房につとめているくせに何言ってるのよ! 甘えるのもいい加減にしなさいよ!?」
「え?」
「給料以上に、ノウハウとか技術とか、盗めるものはいくらでもあるでしょう!? ばかじゃないの? その間抜け面、見たくないわ! 失礼するわ!」
エイミーは、商品とおつりを受け取ると僕を押しのけて、文具店を出て行った。
「そんな怒られること言ったかな……?」
買い物をすませた僕は、ため息をついて工房に戻った。




