31.青のポーション2
気づくと、カーテンの隙間から光が差し込んでいた。
「え!? 朝!? 大変、寝坊しちゃった!?」
僕は慌てて着替えを済ませると、部屋を飛び出した。
作業所の扉を開けると、デニスの低い声が響いた。
「遅いぞ、メルヴィン」
「すみません!」
僕は急いで桶を持ち、水を汲みに行った。
「ったく、昨日は夕食の時間になっても来やしねえし。今日もこんな時間まで何してたんだ?」
「すみません」
僕は水汲みを終わらせると、台所に行きパンを一つかじった。スープは残っていなかった。
作業所に戻るとデニスが僕をかるく睨んだ。
「遊び過ぎか?」
デニスはうんざりとした表情で僕に言った。
「いえ、あの、すいません」
「仕事はちゃんとやれよ」
デニスは吐き捨てるように言った。
店の掃除にうつり、少しするとドアが開いた。入ってきたのはフランクだった。
「おはようございます、フランクさん」
「おはようございます」
フランクは軽く挨拶を返し、自分の持ち場に着いた。
朝の掃除が終わる頃、ビルとニコラスがやってきた。
「おはよう」
「おはようございます!」
皆がニコラスとビルに挨拶をする。
「メルヴィン、もう大丈夫?」
ビルが僕に尋ねた。
「はい、一晩寝て、すっかり元気です」
「よかった」
ほっとしたように、ビルの表情が緩んだ。
「メルヴィン、ビルから聞いたが、これを作ったというのは本当か?」
ニコラスがウエストポーチから、小さなビンをとり出した。そこには青い液体が入っている。
「……はい」
「ふむ……」
ニコラスは青い液体を光にかざし、軽く振る。
フランクが目を見開いた。
「……青のポーションですか?」
フランクのよく通る声が、静かな部屋に響いた。
「まだ、確認していないので断言はできない」
ニコラスは片眉を上げて、品定めするように青い液体の入ったビンを見ている。
「青のポーションだったら、メルヴィンに特別手当を出してくれますか?」
ビルがニコラスに問い掛けると、ニコラスは僕に視線を移し、渋い顔をした。
「……本当に金に汚いな、お前は」
「え……」
「父さ……工房長、メルヴィンは何も言ってません」
ビルがあわてて、手を振って否定している。
僕はどうすればいいかわからず、ただその様子を見て立ち尽くしていた。




