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破滅した世界の内側で  作者: めーや
32/35

滅ぼす者

「はい、また私の勝ち」

「またかよ、ご主人魔法でずるとかしてんじゃないよな?」


第一階層あてがわれた仁の部屋に集まりほのぼのとトランプをする三人。

地上では物資枯渇により上層階にも地獄が広がっているがそんな事を気に留める様子はない。


「はぁ?トランプ如きでそんなことするわけないじゃない。アンタ達が弱いだけでしょ?」

「それにしたって僕のカード弱すぎるでしょ!」

「いや雪月は元々運クソ雑魚だから仕方ないだろ」

「ほんとそれ、貴女日本に生まれてくる為に運全部使い果たしたんじゃない?」

「そんな事…無いと……思いたい」


否定したいけど否定できず弱気になりそのまま仁にも上がられる。


「このゲームじゃ順位固定になるし別のにしましょう?」

「なら双六は?」

「運が絡むゲームだと俺とご主人の戦いになるじゃん」

「そうね。どうせやるなら運が絡まなくて三人でできるものがいいわね」


う〜ん、と三人で声を揃え考えるが運の絡まない三人でできるゲーム何て思いつかない。

そもそも手元にあるボードゲームが少ない為選択肢自体そう多く無い。


「何か…ごめん」

「そうね、じゃあ罰として貴女の体でお詫びしてもらいましょうか」

「へ?」



洗面所からゴソゴソと衣服の擦れる音が聞こえてくる。


「本当にやるの?流石に恥ずかしいよ」

「ごちゃごちゃうるさいわね、とっとと覚悟をきめなさい」

「え〜〜」

「ほら行くわよ」

「う、うん……」


ソファに座り本を読みながら待っているとやがて、嘲笑う様な笑みを浮かべた千咲とメイド服を着た雪月が顔を赤らめてリビングへと向かってくる。


(?着替えてるとは思っていたが…何故メイド服?てか何するつもりなんだ?)


「あ、あの。聞いてください」

「ぷっ…!聞いてくださいって何よ…!」


(まぁ確実に碌な事じゃねぇだろうな…)と考えつつ随分と楽しそうな千咲は置いておいて、恥ずかしがりながらも両手でハートを作る雪月の方を見る。


「も、萌え萌えキュン…!」

「ぷははははははははは!!!ヤバ!何これ想像以上にウケるんですけど!」

「………。」


何も反応できずフリーズしていると、既に真っ赤だった雪月の顔がどんどんと赤く染まっていく。


「じ、仁のバカーーー!!!!!」

「えぇ…今の俺が悪いのかよ」

「あっははははははははは!!ダメ…面白すぎ…!」


涙目で洗面所に走っていった雪月を見て笑い転げる千咲も、少ししてまた洗面所の方へ向かっていく。


「ま、まだやるの!?」

「あったりまえじゃない、ほら早く着なさい」

「もうやだよー」

「減るもんじゃねぇし良いじゃねぇか。早くしろよ」

「ちょっ!脱がせないでよ!分かったから、自分で着るから!」


わちゃわちゃと聞こえてくる声にに呆れた顔で溜息をつき頭を悩ませる。

勿論千咲の暴走についてでは無く、あんな風に無邪気に笑う千咲を殺さなければならない可能性がある事にだ。


(小野田父の存在も気になるが、何よりここまで関わっちまうと毎度恒例に殺しにくくなる。まぁもしかしたら千咲の魔法のせいとかこれも策略の可能性だってあるんだが……何はともあれ時が来ればアイツを見殺しにする覚悟をしておかねぇとなぁ………)


「見て見て仁!お前が好きそうな見えそうで見えないギリギリの丈のスカートよ!」

「あ、あんま見ないで!」


高校を卒業してからそれなり経っている為懐かしく感じられる制服姿。

確かに短くとも最低限の長さの丈なのだろうが……


「ほら回れよ。ね?見えないでしょ?」

「ご主人からは見えないだろうが座ってる俺からは丸見えだぞ」

「えっ!?」「あ…」


またも茹蛸の様に顔を真っ赤にしていく雪月。


「じ、仁の変態!!!」

「まぁガン見したし否定はしない」

「ちっ、しくじった。ほら次行くぞ」

「まだやるのー!?」

「は?やるに決まってんだろ暇なんだから。つかアイツの事好きならエロい格好見せて落として見せろよ」

「無理だよ僕スタイル良く無いし」

「あぁ確かにお前マジでチビだよな」

「うるさい!気にしてるんだから言うなよぉ…」



その後もコスプレ大会は続いていき今度は雪月だけでは無く仁も色々な格好をさせられる。


「だっさ!!お前何着ても似合わねぇな!顔がダメなんじゃねぇの?」

「ぶっ殺すぞご主人」

「造形のこと言ってんじゃ無いから安心しなさい。もっとやる気のある顔をしろってこと」

「つってもなぁ…」

「まだ恥ずかしがるだけの雪月の方がマシだぜ?」

「確かに恥ずかしがってるだけなのに何着ても似合うよなぁ雪月は」

「ちょっ!嬉しいけどそんなあっさり言われると複雑なんだけど?」

「あ!仁、次はこれ着ろよ」

「ん?……何でビキニなんだよ雪月に来させろよ」

「雪月はスク水だろ。ほら白いスク水用意してやったぜ?」

「えぇ、今度水着…」

「いやいや水着も何もビキニを男が来たらヤバイだろ。つか流石に着たくねぇぞ!」

「はいはい御託はいいからちゃんと着なさいよー」

「あちょ!…行っちまった……え、どうしよう、本当に着るのか?」



なんて男として威厳もボコボコにされつつあっという間に日が暮れた。

グ〜〜となった雪月の腹の音にもうそんな時間かとコスプレ大会を終了する。


「ああそうだ、今日は私を笑わせたご褒美に夜ご飯作ってやるよ」

「え、千咲って料理できるんだ」

「まぁ、お父様は満足してくれないけどお前等のやっすい舌なら余裕で満足させられるくらいにはな」

「一々棘があるの何とかならないの?」

「ならない。じゃあ作って来てやるから期待して待っときな」

「「了解」」


部屋といってもマンションの様に全ての施設があるため勿論キッチンもここにある。

仁の部屋に食材なんてあるわけが無く、今まで雪月のインベントリの中に入っていた保存のきく味気ない料理を食べていた為期待して待つ二人。


「ねぇ」

「んー?」


千咲に聞こえない様にか小声で話しかけてくる雪月。


「千咲ってさ、凄く怖い人だと思ってたけど全然印象と違ったよね」

「確かに性格はドSだけど無邪気に笑う顔を見ると12席次を晒し首にした残虐性を忘れちまいそうにはなるな」

「だよね。でもどうして、酷いことするんだろう。そんな事しなくても今日みたいに楽しい事はいっぱいあるのに」


雪月の言った通り残虐な行いでなければ笑う事ができないと言うわけでは無いだろう。

性格が残虐だから仕方がないと言う可能性もあるがあの夜拷問に飽きたと言っていた事からそんな単純な話ではない様な気もする。


「人格改変のせいか、はたまた父親の為か」

「秀人さん?」

「そう、アイツが敬愛しているお父様って奴の事だよ。千咲の父親ってだけでも似た性格をしていそうなもんだが、それ以外にも娘の料理に満足しないらしいしたまにアイツが溢す父親の話からも理想が高い人間なのは確かだろう。となれば中々愛情をくれない父親の為に献身的になっている可能性もなくは無い……が、それと残虐な行いをする事とは関係ないか」

「うううん。多分関係なくない」

「というと?」

「私12席次の会議で会ったことあるけど千咲に少し冷たい感じだった。それに階級制度も詳しくはあの人が決めたことだし」

「へぇ…まぁ因みにこの話多分聞かれてるからお前この後地獄見るかもな」

「えっ!?」


どうやら千咲が都市全体を監視できる事を雪月は知らないらしく、千咲の地雷にふれ剰え冷たい人間だと言ったと捕らえられてもおかしくない発言をした。


「そんな!最初は仁が言ったのに」

「落ち着けって、まぁお前がお仕置きされんなら多分俺もされるからお互い様って事で」

「もう!仁が一人でオモチャにされてよ!」

「えーやだー」

「もう!…お詫びにまた頭撫でて」

「はいはい」


そのまま適当にだべっているとやがてエプロン姿の千咲がファミレスの店員を彷彿とさせる様に器用に三つの皿を持ってリビングに戻ってきた。


「お、ビーフシチューだ」

「ビーフシチュー作った割にはあんまり時間かかってなかった様に思うけど…」

「魔法、というか技能で加速させたに決まってんだろ」

「成程、そんなことも出来るんだ」


料理に関係する技術だろうが随分と便利なものである。

コップやパンまで千咲が用意する事に少し君の悪さを感じるが、気まぐれだろうと考え無理やり納得する。


(そういや、さっきの話に触れてこないのな。もしかして聞いてなかったのか?)


「ほら、感謝しながら食べなさい」

「いただきまーす」

「いただきます」


何はともあれとシチューを一口。


「うまい」「美味しい…!」

「ふん、でしょうね」

「素直じゃねーなー。普通になら良かったって言やぁいいのに」

「は?何調子乗ってんの?」

「顔ちょっと赤いぞ」

「っ!!う、うるさい!」


適当に言ったが図星だったらしく分かりやすく頬を赤らめ声を上げる千咲。

まさか本当に上手く料理を作れた事に安堵しているとは思っていなかった為更に調子を狂わされる。

殺し辛くなるから余り深く関わるものじゃないと分かってはいるが、仁は気づいているかどうかは分からないが恐らく手遅れだろう。


「俺明日の朝は目玉焼き食べたい」

「僕はお魚がいい」

「バッカじゃないの?自分で作りなさいよ」

「食材ないし料理も作れない」

「僕も〜」

「はぁぁ……お前等普段何食って生きてんだよ…」


呆れた様な諦めた様な表情の千咲を見て明日からも美味しいご飯が食べられそうだと仁と雪月は内心ガッツポーズをする。


「あ、そういえば。ご主人、あの事雪月に言わないの?」

「あの事?」

「三日後の事」

「ああ、あれ」

「え?何々?何の事?」


雪月も12席次だしアルラルト同様千咲が都市を滅ぼそうとしているのは知っているだろうが、恐らく三日後に行う事になるだろう事は知らないはずだ。

正直千咲としては有象無象の市民達と同じ様に雪月にも何も言わずに死んでもらおうと考えてたが、仁が三日後の戦力にする前提の態度である為(ま、いっか)と考え三日後の事を話す。


「三日後って……そういえば何で都市を滅ぼそうとするの?何か恨みでもあるの?」

「そんな泥クセェ理由じゃ無い、とだけ教えてあげる」

「そっか……それで、都市を滅ぼした後は用済みだって言って僕達の事も殺すの?」

「さぁな。それはそん時の気分だろ」

「気分ねぇ…。お前のじゃなくてお父様の気分か?」


ブチギレられるのを承知で態と逆鱗を逆撫でする。

目に見えて硬直した千咲を見るに本当に父親の為に都市を滅ぼすつもりなのだろう。


「何言ってるの?全部私の意志に決まってるじゃない」

「ああそうだな、お前の意思なんだろうな。父親に褒められたいから何ていう理由で何でもやる。どうだ?今まで心から褒めてくれた事はあったか?」

「………雑魚の癖に調子乗ってんじゃねぇぞ?」

「無いのか。だろうな、所詮お前の父親はお前を見ていな_」

「そんな事分かってる!一々お前に言われなくたって分かってんだよ……でも私にはそうするしか無いの…!」


魔法で吹き飛ばされる位はするだろうと考えていたが予想は外れ、悔しそうな千咲の表情に少し罪悪感を覚える。


「そうかい。まぁ、お前さんがやめる気ないってんなら最後まで付き合うさ」

「僕も微力ながら手伝うよ。でも、僕的には千咲のやりたい事をやって欲しいな」

『そんなもの許されるわけないだろう』

「あ?」


突如聞き馴染みの無い声が頭に響く。


「お父様…!」「秀人さん」

『こんばんわ、雪月と仁君。私の拙女が世話になっているねぇ。でもそのグズを余り唆さないでくれ。ただでさえ役立たずなのに君等のせいで完全に使い物にならなくなるのは避けたいからねぇ』


声色は朗らかな様に聞こえるが言葉選びのセンスもある様で聞いているだけでイライラしてくる仁。


「おいおい何処にいやがんだ?お父様?引きこもってウジウジ娘の脛齧ってねぇで出てきたらどうなんだ?」

『ふはははは。そんなこと言っていいのか?君の仲間の運命は私の言葉一つで決まるんだぞ?』

「やれるもんならやってみろよ。余り俺を舐めるなよ、塵が…!」

「黙りなさい仁!それ以上お父様を侮辱するな…!」

「ぷははははっ!やめてやれよ千咲、お前が庇うとお父様が惨めになるんだぜ?」

『君は本当に口が達者だな…。まぁいい。千咲、新しいお仕事だ』

「ええ、任せてお父様』

『それでは私も妻と食事に行ってくる。あぁそうそう、三日後は君達の活躍に期待しておくよ』

「ああじゃあな。だが俺の前には出てこない方がいいぞ?最近殺し合いをしてないせいで魔法の扱いが下手くそになってるみたいなんだ、俺」

「仁!!」


殺気の籠った千咲の目線に何処まで碌でも無く建設的な力の使い方をするんだと溜息を漏らす。

だがそれと同時に安心もする。

今の脳に声を響かせてきた魔法を啓文の本に載っている覚醒者とその能力の情報一覧を照らし合わせれば、秀人の偉業や得意な魔法は特定できた。


(またなお父様。次に会った時がアンタの命日だと思いな)


仁の言葉にその場からかなり離れた場所で一人の男がほくそ笑んだ。


最後まで読んで頂きありがとうございます!!!!!

もし宜しければ良いねやレビュー等よろしくお願いいたします!!!

何より次の話も読んで頂ければ幸いです!!!!!!!!

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