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破滅した世界の内側で  作者: めーや
21/35

自分の気持ち

「………。」

「………。」


朝、朝食を終えた後家を出るまでに時間がある様なので、自室で何度か練習した後に真衣の髪型を編み込みアレンジする事に挑戦をする仁。

柊と月城の髪は長いのに対して、真衣の髪は出会った頃より少々伸びたと言っても肩にかかる程度。真衣の髪を想定してなるべく細い植物を作り出し自主練をしていたものの、実際の真衣の髪をいじるのはこれが初めて、ラグナロク戦よりも心臓がバクバクと唸っているのを鬱陶しく思いつつも慎重に編み込んでいく。


「ん、できた。ほら、どうよ?」


今回編み込みを入れたのは耳の後ろからトップにかけてなのでそれが見える様鏡を動かす。


「何か、思ってたより上手いじゃん」

「あれ、お気に召さなかった?」

「いや、凄く可愛いしよく出来てるし良いんだけど…啓文さんならまだしも仁ができるのは何んかやだ」

「えぇ…俺君と比代理の為に頑張ったんですけどねぇ…」

「え!?そうなの?」

「そうだよ、だからもっとよく頑張ったって褒めてみろ」

「うん、凄い、よく頑張ったね」

「おう、つか何でさっきはいい顔してなかったんだよ」

「えっ…秘密」

「は?はぁ、さよか(さようか)。まぁいいか」


(だ、だって、歴代彼女さんに教えてもらったとか色々考えちゃうじゃん!?私悪くないよね!?)


一人であれこれ深読みしている真衣だが、そこへ啓文が声をかける。


「おーい、そろそろ時間じゃないかい?」

「え、あ、ホントだ。仁、行くよ」

「おー」

「それじゃあ行ってきます」

「行ってらっしゃい。今日は思う存分、二人で楽しんでおいで」

「行ってらっしゃい、お姉ちゃんお兄ちゃん!」

「ん、行ってきます」


啓文と比代理は今日は家でゆっくりするらしいので二人だけで家を出て外壁部のゴンドラ乗り場へ向かう。

吹き抜けとなっている中央部にもゴンドラ乗り場はあるのだが、物理的な距離がバカみたいにある為そちらに行くことはまずないだろう。


「あぁそういや、その服とカバン似合ってるよ」

「遅い!そーゆーの家であった時に言う奴じゃない?」

「いや、啓文さん達いたし」

「へぇ?照れて言えなかったと?」

「まぁそーゆー感じで」

「むー、ちょっと納得いかないから今日一日はずっと手を繋ぐこと」

「やだよ気恥ずかしい」

「じゃ無いと私が不機嫌になります」

「一緒に出かけてる奴が一日中不機嫌とか地獄かよ」


そう言って流石に恋人繋ぎはしないものの渋々と言った感じで真衣と手を繋ぐ。

真衣はそれに満足そうに微笑み仁との距離をもう少し縮める。


「今日はどこいくんだ?つかこの町の何があんだ?」

「んー、色々あるよ?元々の日本にあった様なお店こそ少なくなっちゃったかもしれないけど、生産技能を持ったプレイヤーが作ったアクセサリーや洋服や小物を売ってる店とかが沢山あって、後町並みもゲームの中って感じがして歩いてるだけでも楽しいよ」

「へぇ」

「そして今日行く所はー…正直あんまり決まってない」

「ん?昨日行きたいところがあるって言ってなかった?」

「あれはーその、仁を誘き出す餌みたいなものでして…」

「何俺のこと脱走した猫か何かかと思ってる?」

「あはははは〜…あ、でも本当に二人で行きたいなって思ってた所はあるし、適当にぶらぶらゆっくりしつつそこに行きたいなーって思ってる」

「ん、いいね、そうしよっか」




ダラダラとだべりながら第十三階層へ到着する。

都市案内をされた時に一応来たことはあるが、しっかり中を見て回るのはこれが初めてである。


「んあぁ、思ったより人多いなぁ」


初日で日本人の大半が犠牲になったものの、各地から生き残りを集めに集めたこの都市の総人口は300万人を優に超える。そして生き残りの中にはプレイヤーも多くおり、農業に使わなくゴンドラ乗り場の近い外壁近くの土地に人が密集する為、乗り場から外に出ると活気のよい町並みが伺える。


「今はまだ居ない方。もう少しお昼に近づくともっともっと人が多くなるよ」

「へぇ」


(これだけ見るとこの都市が悪いものだとは思えんな)


「さ、この時間帯に起きて朝ごはん食べる人とかも結構いるし、人気な場所は早めに回っちゃおう」

「んー」



外壁から中央に向けてなだらかな坂の様に高さが低くなっており立体的な町の構造に、一人でここにこようとは思えなくなった仁であるが、真衣の楽しそうな顔に自然と自分も顔を緩ませていく。



「あ!見てみて。どう?似合ってる?」

「あぁ、よく似合ってるよ。いつもイヤリングなんてつけないから新鮮でもあるしね」

「えへへ、私も今日初めてつけてみた。似合ってるって言うなら勝ってみようかな?」

「ピアスもあるけど、イヤリングでいいの?」

「えぇ、だって耳に穴開けるの怖くない?」

「ははは、あれだけ戦っておいて今更ちっこい穴開けるの怖がってんのかよぉ」

「笑うなぁ…!そう言う仁もピアスの穴空いてないじゃん」

「最近つけてないから埋まったんだよ。てかピアスだって装備の能力使えば態々穴開ける必要ないんじゃね?」

「あ、確かに…できた!」

「おう、そっちのが似合ってるよ」

「ほんと?じゃあこれもらお」

「まいど〜」


店から出た後も手鏡でピアスをみてニヤっとする真衣が何だか可笑しくて仁も口を吊り上げる。


「あ、何笑ってるのぉ?」

「いやいや、お前さん可愛い奴だなって思ってな」

「は、何それちょっと煽ってない?」

「ちょっとな」

「うわーサイテー」

「本心の方が多いから許せ」

「どーせ嘘じゃん」

「嘘じゃない嘘じゃない。あ、あっちの服の店とか行ってみない?」

「話そらされた。まぁ行くけど」


店内に入ると上品そうな女に出迎えられた。

店内の物品も高級感があり、値札を見ると周りの店より桁一つ高いことが窺える。


「いらっしゃいませ。今日はどの様な服をお求めで?」

「適当に見ながら決めようと思ったけど…コイツに合いそうな服を見繕ってもらおうかな」

「畏まりました。ではこちらの試着室へどうぞ、すぐに数着持って参ります」

「んー」


店員が洋服を取りに行った後に、小声で真衣に話しかけられる。


「こんなお店来る気なかったからそんなにお金持ってきてないよ…!」

「ん?ああ、俺もそれなりに持ってきたから気にしなくていいぞ」

「本当?」

「流石にこの場で嘘はつかんよ」

「なら良かった」


何の躊躇も遠慮もなく柊に用意してもらった大金を持ってきていた為余程の物を買おうとしない限り困ることはない。


「お待たせいたしました。では男性はこちらの椅子に座ってお待ちください。私はここで待機しておりますので、服を着る際の質問や困りごと等ありましたらお気軽にお呼びください」

「わかりました」


試着室のカーテンが閉められた後、店員に小声で話しかけられる。


「いいですかジン様。似合っていないということは無いと思いますが、どの様なご感想を持とうと『似合ってない』や『微妙』などとは言ってはいけませんよ」

「流石にそこまでど直球にいうつもりは元からないけど、何で俺の名前知ってんだよ」

「この店は都市運営の者共が開いているお店ですので、私達には貴方様の情報が出回っているのですよ」

「へぇ、あの碌でもない都市運営が」

「ご安心ください。奥田とは全く関係のない店ですので、盗撮の魔道具等は設置されていませんよ」

「そりゃあ良かった。されてたら物理的に潰してたよ」


とそうこう話している内に、真衣が出てきた。


「ど、どうかな?」


袖はあるものの肩だけ露出したワンピース。

柄はなく落ち着いた雰囲気があるものの真衣の若さとあった服な為地味という印象は受けない。


「よく似合ってるよ。いつもはそういう服着てないのもあっていつもとは違う新鮮な感じがまたいい」

「つ、次の着てくる」


顔を一層赤らめてシャッターをいき良いよく閉める真衣に、苦笑いになりつつも小声で店員に話しかける。


「ちょっと言葉選びミスったかもとか、くどかったかとか思ったけど、悪くなかったみたいだな」

「ですね。その調子でどんどん褒めてあげてください」

「了解」

「あ、勿論本心から誉めてくださいね?」

「んー」




シンプルな服、カジュアルな服、少し大人びた服。チャイナ服、メイド服、etc。

明らかに店員が手にしていた服を優に超える服を変わる変わる試着していく真衣と、一々感想を言わされる仁。

気づけば腹のすく時間になっておりインベントリに入る服ということもあり全部買う羽目になった。

真衣本人は満足そうにしているのでこれでいいのだと思いつつも…。


(あの店員、確実に趣味で選んでたよな。メイド服ってなんだよ。気ねぇだろ普通。てか何で買う決断したんだよ、真衣ももう適当だろ)


「んあ、もうお昼だ。仁、私行きたいお店あるんだけど、何か食べたいものとかある?」

「ない、そこ行こう」

「いえぇーい」

「どんな店行くん?」

「スイーツの種類が凄く多いカフェみたいなとこ」

「成程」

「ふふふ」


(コイツがスイーツ好きなのは知ってるからおかしくは無いんだが、何か引っかかるんだよなぁ…)


「そう言えば仁ってスイーツ好きなの?啓文さんが作った奴あんまり食べてる様に見えないけど」

「スイーツは普通に好きだぞ。ただ真衣や比代理の方が沢山食べたいだろうと思って積極的に食わないだけで」

「え、そういう気遣いできたんだ」

「お前俺の事デカイ子供だと思ってない?」

「割と?」

「このやろう帰ったら嫌と言う程甘やかしてやるから覚悟しとけよ」

「ふふふ、楽しみにしとく」


辺りは着いた時より一段と賑わっていて、場所によっては人が多すぎて行列の様になっている場所もある。その町並みは日本のものとはかけ離れている様に見え新鮮さもある。

外国へ旅行している様な気分になり、魔道具によって作られた青空の下ただ純粋にデートを楽しむ仁と真衣。


(こんな日がずっと続けば良いのにな……)


そう願い仁に寄り添う。

そんな真衣だが、そろそろ店に着く為あの(・・)説明をしなければならない。



「あ、見えてきた、あそこのお店だよ」

「ん、、あれか。テラス席もあんのな」

「そだよ、どっちが良い?」

「お前さんは?」

「さ、流石にお店の中かなぁ」

「は?流石にって?」

「い、いやぁ…あのお店さ、カップル限定のメニューとかあるんだよね。それで、カップルの証明として食べさせあいっこを店員さんに見せないといけなかったり?」

「成程、テラス席だと通行人に見られて恥ずかしいと」

「まぁね」

「ははは、可愛いかよ」

「笑うなぁ…!て言うか、ヤダって言わないのね」

「まぁ別に嫌じゃないしな。お前さんが行きたいって言うならいくさ」

「そっか」


店へ入ると明るい店員に声をかけられる。


「いらっしゃいませ!カップルの方ですか?」

「は、はい!そうです…」


緊張で声が上ずった真衣に思わず苦笑いの仁ににこやかな顔を崩さない店員。

しかしそんな仁もこの店員の言葉で真顔に戻る事となる。


「カップル限定メニューのオーダーをする為には、まずカップルの証明としてあちらでお二人にキスをしていただく事になりますが宜しいですか?」

「「え?」」

「た、食べさせ合いっこじゃないの?」

「元々はそうだったのですが、ハードルが低いとカップルと偽ってくるお客さんが多い様でして、それに店員が怒り狂ってこの様な事になりました。店長曰く『カップルの癖にキスもできないとか言わないわよねぇ?』との事です。それで、どうします?」


(どうするだと!?未成年だぞよこの奴!流石に事案だろ…)


「わ、私は良いよ。店員さんにしか見えないところでやるっぽいし…」


(良くはないだろ。でもどうせこんな世界だしなぁ、もう既に一夫多妻を実現している奴もいるんだろうしな…。何より真衣も勇気振り絞ってるみたいだし。やるかぁ)


「まぁ、真衣がいいってんなら俺も良いけど」

「そうですか!それは良かった。この方式になってから辞退するお客様が爆増しまして、店員のあたりが怖くなってきた頃なんですよねぇ」

「大変だな」

「ええ、待遇は良いんですけどねぇ………では、どうぞ」


店内からも勿論外からも見えない位置に移動して二人で向き合う。

身長差が結構あるため真衣には少し上を向いてもらい、顔を近づける。


(そんなに真っ赤になるなよ、俺まで恥ずかしくなってくるだろ)


時間をかけると無駄に恥ずかしくなりそうな為そのまま唇を重ねる。

しかし数秒たってもOKの声がかからない為、触れる程度ではダメなのかと思い、真衣の唇をなぞり開いた口の中に勝手に舌を入る。

真衣とは流石に初めてやるキスでどんなものが好きかは知らないので、適当に舌や歯茎をなぞったり、真衣の舌に自分のものを絡ませたりしてみる。


「あ、あのぉ……も、もう大丈夫ですよ…?」


少し唇を重ねて直ぐ離して終わりと考えていた店員も見るからのディープキスに少々顔を赤らめて声をかける。


「ああ良かった。中々声かけられないから、ダメなのかと思ったよ」

「い、いえ、普通のお客様はご自分達でやめますからその、ごめんなさい」

「いや別に謝んなくてもいいけど…」


ふと真衣の方を見てみると、赤らめた顔でボケェっと中を眺めている。

酒を飲んで酔っている者にしか見えないが大丈夫だろうかと声をかけるが、「んー…」とそんな返事しか帰ってこない。


(とりあえず色々やり過ぎたか。不快だったかもしれんし後で謝んないとな)


案内されて席に着く時には流石に自我が帰ってきたのか、焦点が定まっているので少し安心して何を食べるのか聞いてみる。


「カップル限定メニューって一種類だけじゃ無いのな。真衣は何食べんの?」

「わ、私はぁ…と、とりあえずこれ」

「ん、じゃあ俺はこれにするか。飲み物は?」

「……メロンソーダかな?」

「おけ、店員呼んでいい?」

「お願い」



キスにプラスで食べさせ合いっこをしろと言われることもなく調子を取り戻してきた真衣と談笑しながらスイーツを楽しむ。

正直後半から(カレー食べてぇ…)と考えていたが悟られない様に努める仁。




店を出てから広場の噴水で少しゆっくりして、また町を練り歩く。


真衣も行ったことがない場所をゆっくり歩いてみたり、どこから入ってきたのか野良猫を見つけ追いかけてみたり、道に迷って仕方がないから外壁に向かいつつ目についた店にお邪魔したり…。

気づけば日も落ちてきて、魔道具によって作り出された黄昏が淡く輝いていた。


「ねぇ見て仁!ここから十三階層を一望できるよ!!」

「ほんとだ、夕日と相まって綺麗だな。人もいないし、ここなら通ってみたいかも」

「ね!またこここよ?」

「そうだな」


少しの間、二人で幻想的な景色に浸る。

このまま家に帰れば楽しい記憶のまま今日を終われる。そう理解している真衣ではあるが…我慢できず胸につっかえていた言葉を出してしまう。


「今日のお昼、初めてのキスなのに舌入れられて凄く驚いたなぁ…」

「え、ああ、ごめん。店員が良いって中々言わないからあれじゃダメなのかと思って」

「しかも無駄に上手かったよね?…さぞご経験がお有りのようで」

「………。」


少し棘の感じられる真衣の言葉に何も言えず口を閉じてしまう。


「…ごめん、八つ当たりした。なんか、仁に過去の恋人がいるって思うと、悔しくてさ…別に恋人でもないのに、私…」


楽しい雰囲気から一変、寂しそうな顔をする真衣に何も声をかけられない。かけて良いのかも分からない。

町の喧騒も周りの家の生活音も聞こえない、静かな時間が少しの間場を支配する。


「私じゃ…ダメかな?」


ポツリと出た言葉。

「何が?」なんて野暮なことは聞かない。聞かないが、それ以外の言葉も出てこない。

真衣と自分の歳の差がもの凄くあるわけではないが、未成年の少女と言うだけで何故か気のひける仁。


「そりゃぁ…私は背も低いし、胸もおっきくないし、色気もないだろうし、もしかしたら恋に恋してるだけかもって弱気になる時もあるけど、それでも仁とずっと一緒にいたいって…そう思うんだ」


勇気を振り絞って告げられた言葉に後ろめたさを感じる仁。

何せ仁はまだ、人を好きになる感情が分からないのだから、真衣の気持ちに頷いて仕舞えば彼女を騙すことになる。


「気持ちはすごく嬉しいけど、やめといた方がいいよ。魔剣は力技になるけど何とかできるし、歳五才も違うし、人殺ししか脳がない奴だし、別に俺カッコよくねぇだ_」

「かっこいいから好きなんじゃない!!だらし無い所も!ちょっと意地悪で口が悪い所も!何だかんだ言って何時も優しい所も好きだから愛おしく思えるの!!仁だから…!こんなにドキドキするの…!」


今にも泣きそうになりながら必死に伝えられる真衣の本心。

ここまで真っ直ぐ感情をぶつけられたのは初めてであり、仁もその気持ちに戸惑っている。


(………あぁ、こういう時、どうすりゃあ良いんだろ。普通なら適当にOKするか断るかするんだけどなぁ…真衣には笑って暮らして欲しいし、ちゃんと答えてやりたいな)


「ありがとう。でもやっぱりやめた方がいいと思う」

「どうしてそんな_」

「聞いてくれ真衣…!俺じゃあ君の気持ちに応えられないんだ…」


それから、柊にした身の上話を真衣にも、あの時した話より少し細かく、気持ちを込めて伝える。

真衣もそれを黙って聞き、どうにもならないのかと俯く。


「きっと、気持ちのずれに真衣が苦しむことになると思う。だからこそ、お前にはそんな思いして欲しくないからこそ、俺とはやめた方がいいと思う」

「つまり、私が大切だから私に不幸になって欲しくないから諦めろってこと?」

「あぁ。そういう事、だと思う」

「それって、立派な恋愛感情じゃないのかな?」

「それは……」


その言葉を否定したいからか、はたまた肯定したいからか、必死に否定できる理由を探す。

真衣からすれば、これが最後に残った一条の光であり、これを否定されれば我慢していた涙もきっと溢れてしまうだろう。


(ここで否定すれば真衣の事を恋愛対象として見てないって言っているものだが……正直に言わんと以前の俺と変わらんクズのままか………)


「違うと思う。啓文や比代理にも少なからず思ってる事だから。でも、何となく真衣に向けるものと二人に向けるものは違うものにも思える」

「そっか………残念。ねぇ、仁はさ、私と一緒にいて楽しい?」

「ああ」

「私と離れて一人で伸び伸びしたいって思わない?」

「思わない」

「もっと一緒にいたいって事?」

「ああ」

「よかった」


(OK貰えなかったのはすっごく辛いけど、でも、でもそう思ってもらえるなら……振られたとも思わない…!)


「愛なんてのはさ、きっとみんな深くは理解してないよ。哲学的な問題じゃん。だからさ、仁が自分なりの答えを見つけられるまでずっと待ってるから…!私だけはずっと人の事を想ってるから!だから…」


目にウルウルと溜まっていた涙を流しながら、どこか吹っ切れた様に笑う。

仁へ向けるその表情に、一生そんな未来が来ることはないかもしれないと悲観する気持ちは一切ない。


「いつか聞かせて欲しいな。仁の本当の気持ちを」


また少しの間、静かな空間に風の吹く音だけが耳に聞こえる。


「きっと長い間待たせることになるぞ」

「うん、それでも良いよ」

「そっか…ありがとう。それじゃあ俺も、真衣が俺に愛想尽かすまでずっと一緒に居るよ。いつか自分の気持ちがわかったらすぐに伝えられるようにな」

「うん…!」


辛くはある、でも叶わない恋だとは思わない。だから今はこれで良い。

諦めの悪い少女の恋路は、未だ始まったばかりなのだから。


「ねぇね、ちょっと目瞑って?」

「え?なん_」

「いいから」


真衣に押し切られ目を瞑った仁の首に、首に腕を絡ませて唇を重ねる。

昼にした時とは対照的に今度は真衣が舌を入れる。

仁の口の中を好き勝手になぞる真衣の舌を仁も時折吸い返し、しばしの間それが続く。


満足したのかゆっくりと顔を遠ざけて満足そうに微笑む真衣。


「……気持ちよかった」

「そりゃよかった」

「私以外を好きになったら許さないからね?」

「善処します」

「それはあり得無いって断言してくれたら嬉しかったのになぁ…まぁいっか。何だか仁は私のものになるって予感がするし」

「えらくポジティブだな」

「女の感は当たるって言うからね」

「女って歳でも無いだろ」

「子供扱いするなー!」

「はははっ、冗談だよ」


そう言って笑う仁に釣られて真衣。


「じゃ、帰ろっか」

「ん、そうだな」


さて、遂にやってしまいました。

皆様如何だったでしょうか?

何にせよ楽しんで頂けたら幸いです。

個人的には最後の場面、少しくどくなってしまったのでは無いかと不安な気持ちになっております。


ではまた。次の話もまた読んで頂けると幸いです!!!!!

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