23.ウィダスに向けて
俺達よりも先行しているのは、冒険者が8人ほど集まった集団だ。
当初は、見える範囲だったのだが、俺との合流や俺の足が遅かったので、
ゆっくり進んでいたので、大分差がついてしまったようだ。
この道を、冒険者だけで歩いていくという事は、南西の森への狩りに行くのだろう。
他には、ウィダスへの移動くらいだが、それほどある要件ではない。
特に複数人で移動は少ないだろう。
東の森につながっている南の森で獣を狩りすぎてしまい、東の森の獲物が少なくなっている。
その為、獲物を求めて南西の森に向かう冒険者が大分増えた。
でも、そのおかげで、南の森では戦力の無いような物達が安全に採取が出来るようになったので、
俺が狩りすぎたのが悪い結果だけではない。
俺達よりも、大分後に出発したのか、冒険者4人だけの集団が後ろ側を付いて来ている。
これも、今は見えないくらい遠いが、その内追い付かれるんじゃないかな。
商隊では、荷車も引いているし、体力がそれほどない商人や俺のようなのがいるので、
休憩しながらゆっくり進んでいくからだ。
護衛の数はこちらの方が多いので、基本的には接触しないように、
相手が休憩をしている時なんかに追い抜いていく感じになるだろう。
盗賊が出るような街道では、極力接触を避けるというのが基本なようだ。
1つ目の宿場が見えて来た。
通常宿場は、朝7時に歩いて出発して、休憩しながら夕方16時くらいに到着するくらいの距離だ。
だが、ウィダスへの宿場は、全体の距離がそれほどでもないので、短めに宿場が設置されている。
通常の宿場を日本の距離換算だと30kmくらいかな。
時速4kmで計算すると7.5時間くらいだな。
ウィダス方面では、大体20km程度だ。
時速4kmで計算すると5時間くらいで行けるので、朝7時出発だと休憩なしでお昼過ぎにつく計算だ。
今回は、休憩しながらお昼も街道で食べるので、もう少し遅れるが。
この世界での乗り物の速度は、馬車だと時速が10kmくらい出る。
なので、ウィダスの1つ目の宿場まで2時間でたどり着ける計算だ。
なので、そのまま2番目の宿場まで行き1泊して次の日にはウィダスに入れるそうだ。
俺の追い風は、ずいぶん熟練して時速60km以上のバイク並みに出せるので、
1つ目の宿場まで12分でかからないくらいだ。
林道でも60kmで走れるようになっている・・・まあ足は地面についてないので、
ほぼ飛んでるんだけどね。
たまに失敗して、木にぶつかるけど、反射の魔法のおかげでケガはしない・・・が、
自分の反動でパチンコの玉のように、あっちこっちの木にはじかれてかなりビビるけど。
ついでに、空を飛ぶのは怖いのでやってない。
高所恐怖症とかって訳ではないが、怖いから。
試そうと思ったけど、森の木を超えたあたりで下見ちゃって無理って判断した。
何かに追い詰められでもしない限りは、地面を飛ぶ事に決めている。
1つ目の宿場に到着した。
宿場は、本当に街道沿いに宿屋と、野宿出来るようなスペースがあるだけの場所である。
ただ、農村とくっついているので、それなりの人が住んでいる。
西の街道は、比較的大きな町であるウィダスが先にあるので、商人の往来も頻繁な為、
宿屋は繁盛しているし部屋数も多くなっている。
農村と合わせると、人口も1000人程度はいるようだ。
見渡す限りの畑で、今の時期は麦が収穫時期である為黄金に色づいている。
他にも、様々な野菜も収穫時期のようで実を付けている。
ケニーさんに、宿屋に部屋を取って貰い一緒の部屋に泊まる事にする。
「どうですか?」
「う~ん。後ろに一つ冒険者4人の集団が付いて来てますね。
冒険者4人なのに、俺達を抜かずに後ろに付いたままって言うのが怪しいですね。
監視なのか、挟み撃ちを狙っているのか。」
「どうでしょうね。このあたりは畑地帯なので、人通りもそれなりにありますしね。
明日には、畑地帯を抜けますのでその後なのでしょうか?」
「いろいろ考えられるけど、最速だとこの宿屋自体を襲撃するパターンもありますけど、
さすがに4人では襲わないとは思うんですけどね。」
「もうちょっと様子見ですね。あ・・・そうだケニーさん。これ持ってて貰っていいですか?」
俺は、革袋を取り出して、ケニーさんに渡す。
「これはなんですか?」
「まあ、お守りみたいなものです。
重さも無いので、この旅の間は身に着けておいてもらえれば・・。」
「お守りですか。分かりました。身に着けておくようにしましょう。」
実は、これ・・袋の中に亜空間の入り口を作った物だ。
亜空間がつながっているので遠くにいても、
俺の魔法が袋の近所で展開する事が出来るようになる。
ケニーさんの周囲の声を聴く事も出来るし、遠隔で反射の魔法が掛けれるので、
ケニーさんの安全を担保出来る。
「私は、商品をこの宿場で販売しますので外に出てきますね。」
「了解です。俺はここに残ってますね。
状況によっては出るかもなので、いなくても気にしないでください。」
「判りました。じゃあ、行ってきますね。」
商人は、途中に立ち寄った農村などに商品を売りながら行商を行っていく。
本来なら、目的地に行ってから売る方が高値で売れるのだが、
途中の村でも販売を行うようにしている。
これは、ある意味税金みたいな物で、それぞれの宿場の維持の為にも
安めの金額で販売してあげるようにしているとの事だ。
安めと言っても、利益は出るので損している訳ではないそうだが。
ケニーさんを送り出し、俺はサーチで護衛の動向を確認する・・が動きはなさそうだ。
後続の冒険者についても、隣の宿屋に泊まっている。
宿場の周りにも、変な集団はなさそうだな。
聞き耳の魔法で、宿場の会話を聞いておこう。
後ろの4人の話で新しい話が聞けた。
この西の街道近辺に、冒険者の村があるらしい。
この冒険者達は、そこに報告をしに行くそうだ。
何の報告かは具体的に言ってないが、俺達の動向の報告な気がするな。
冒険者村の場所については、具体的に言ってないので、明日こいつらが付いたら確認しよう。




