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一日に約1分ズレる腕時計  作者: A.O.C.DESIGN
第二章 Primi piatti ー 絡み合う個性
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21/29

第二十一話 名 前

生成AI利活用プロジェクトチーム。


略してAIPT。

メンバー決定。


初めのお題。

『名前』。


どんな名前になるのか。

お楽しみに。



カタカタカタ•••。


キーボードを打つ。

ハリーは社内報を作っている。


事務所で一人。


「さてと、あとは明日のランチだな。

メグさんからのメッセージは、と。

まだ来てないな。」


ハリーはポケットから取り出す。

小型の内線電話機。


「あ、メグさん。

明日のランチメニューは予定通りですか?

あ、はい。

了解です。

えぇ、えぇ、なるほど、はい。

わかりました。」


カタカタカタ•••。


メグから従業員への伝言。

提供時間が遅れてしまった事への謝罪。

助けてくれたアランへの感謝。


「明日は、豚バラ肉のロースト。

ローズマリー風味か、これまた美味そうだなー。」


ハリーは目をつむる。

目に浮かぶ。

美味しそうに食べる従業員の顔。

それを眺めるメグの顔。


カタカタカタ•••。


仕上げの1分。

早くて美味しいランチ。

仕事への想い。


ハリーはメグの伝言に添える。

感謝の言葉。


「よし、社内報が出來た。

さて帰るか。」


帰り支度をするハリー。

スマートフォンを手にする。

エナに帰り時間のメッセージを送る。


「あぁ、そうだ。

ヨーコさんに連絡を、と。」


ハリーは電話を掛ける。


「•••そう、良かった。

じゃ、予定通り明日から。

よろしく頼むね。」


電話を切る。


カチ。


事務所が暗くなる。


パタン。

カチャ。


ドアが閉まる。



次の日。


ドアの前。


いつもより早めに到着したハリー。

しかし、先に女性が待っている。


「ヨーコさん!

おはよう、良かった。

元気そうだね。」


「はい、すみません。

しばらくお休みしてしまいまして•••。

ご迷惑をお掛けして、申し訳ございません。」


「気にしないで大丈夫だよ。

感染症にかかったら、最善を尽くすのみ。

だよ。」


事務所に入る二人。

掃除を始める。


「おはようございます!」

ルカが出社。


ヨーコと目が合う。

「•••。」


「おはよう、ルカさん。

その人がヨーコさん。

予定通り、今日から復帰だよ。」


透き通るような肌の女性。

優しく穏やかな表情。


「ルカさん?」


「あ、すみません。

み、見とれてしまいました。」


「ヨーコです。

ルカさん、初めまして。

あなたのことはハリーさんから聞いてます。

社内報でも紹介されてましたよね。」


「初めまして。

ルカと申します。

•••ほんに、よろしくお願いします。」


「ほんに?」


「あ、すみません。

出身、京都なもので。」


「そうなのね。

雅な印象がありますね。

素敵です。」


「い、いえいえ!

そんな!

ヨーコさんの方がずっとお綺麗で、優雅ですよ。」


ハリーが口を開く。

「ルカさん、なんだかいつもより丁寧だね。

品があるっていうか。」


「それは•••。

こんなに素敵な方を前にしたら、そうなってしまいます。

きちんとしなきゃって。」


「あー、そっか。

オレはまぁ、それほどでは無いって事だねー。」


「ちょっと、ハリーさん!

そう言うこと言わないでくださいよー。」


ルカの両手がグーになる。


「ははは。

冗談だよ。」


ヨーコは微笑んでいる。

「お二人、打ち解けているんですね。

私とも気軽に接してくださいね、ルカさん。」


「あ、はい!

よろしくお願いします。

ヨーコさん!」



社員が集まる。

ミーティング前。


「おざーっす、ハリーさん。

AI見ました。

壊れた時計、大事にしてるんすね?」


マサルがハリーに問い掛ける。

高身長で体格の良い男。

間近で見るとさらに大きく感じる。


「あ、あぁ。

そうそう。」


「おはよーざいます、ハリーさん。

なんで壊れた時計なんて使ってるんすか?」


今度はショータ。

ストレートに聞いて来る。


「あー、いや。

まぁ、壊れていても役には立つからな。

ははは。」


ハリーは腕時計を見る。

1分前。


「さて、そろそろみんな、輪になって。」


サブローとジョーが現れる。

朝のミーティングが始まる。


挨拶の後、サブローが正式に発表する。

AIPTメンバー。


チーム1: ハリー、アラン、マサル。


チーム2: ミーナ、ルカ、ショータ。


チーム3: カイト、リク、ヨーコ。


役 員: サブロー、ジョー、カナエ。


それぞれが顔を見合わせる。

期待と不安が入り混じる。


「まず、チーム名を話し合って決めるように。

名前の由来も添えること。」


ジョーがサブローに続く。

チャットルームの構造を説明する。


一人とAIの個人ルーム。

三人とAIのチーム・ルーム。

全員とAIの大ホール。

役員三名は全てを見ることが可能。


ミーティング終了後。


「ねぇ、ミーナ、ショータさん、名前どうしよっか。」

「うーんと、ミーナルカショータ。」

「あっそれ、良いっすね。」

「えぇ!?

もう決まり?

AIにも聞こうよー。」


「ヨ、ヨーコ、さん。

げ、元気そうで、良かった、っす。」

「カイトさん、心配してくれていたんですね。

ありがとう。」

「何、キンチョーしてんのカイト。

とりあえずお二人、ヨロ!」

「リクさん、よろしくね。」


「•••。」

「•••。」

「あ、アランくん、マサルくん。

よろしく頼むね。」


高身長の二人がハリーを挟む。

「よろしく。」

「どうも。」


解散。

それぞれの部署へ向かう。


「あ、そうだ!」

ルカ。


「生成AIにも、名前を付けてあげませんか?」



社長室に二人。


「ヨーコくんが戻って、全員集まったね。」


ジョーがサブローに話し掛ける。


「あぁ。

やっと手が空くな、ジョー。

彼女がいなくて大変だったろ。」


「そうだね。

経理業務に付きっきりだったな。」


コポコポ•••。


急須に電気ポットのお湯。


ジョーが注ぐ。


「やっと落ち着いて、朝の煎茶が飲めるよ。」


蓋をして蒸らす。


約1分。


湯呑みに注ぐ。


湯気がふわり。


サブローは外を眺める。


明るいうす曇り。


樹木の枝葉が風に揺れる。


鮮やかな緑の葉。


カサカサ。


カサカサ。

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