第310話 予定
話をしながら待っていると、昼食が来たので食べだす。
ただのパスタだが、やはり美味い。
「ジーク君の方はどうだったの? ケンカしてない?」
レオノーラが聞いてくる。
「ケンカなんかしない。ただ話を聞くだけだ。あ、でも、隣町の錬金術師と話をしたぞ。ネピアの町のマリアンネって奴」
「おー、マリアンネか」
「マリアンネさんですか」
レオノーラとエーリカは知っているっぽい。
「私も知ってるわね。3級の人でしょ」
アデーレまで知っているようだ。
もしかして、有名人か?
「アデーレも知ってるのか?」
「電話かかってきたしね。毎回、必ず、マリアンネ・アールクヴィスト3級国家錬金術師って名乗ってくるから覚えた」
あー、受付嬢時代か。
じゃあ、サシャも知ってるのか。
「お前らは隣町だからか?」
エーリカとレオノーラに聞く。
「ええ。やっぱり近いところは情報が入ってきますからね」
「それでいて、3級だもん。しかも、私達よりちょっと上の歳の人だからね。天才だよ」
25歳で3級だからな。
本部でも聞いたことないレベルだ。
あ、俺は除く。
「優秀なのか?」
「優秀は優秀らしいですよ。実際に見たことはないですけど」
「噂は聞くね。見たことないけど」
見たことないのか……
「まあ、隣町とはいえ、別の支部だしな」
ちょっと距離があるし。
歩いていける距離ではない。
「昔は交流会や勉強会があったらしいですよ。先輩方に聞きました」
「さすがにもうないけどね。理由は察して」
新人2人になったからか……
「じゃあ、またそういう話があるかもね。リートは私とジークさんが入って4人になったし」
まあ、4人だけども。
「どうですかねー?」
「まだ4人じゃん」
サシャが来てくれたら5人だ。
いや、どっちみち、少ないか。
「しかし、交流会なんて何をするんだ? 別にいらないだろ」
必要性を感じない。
「大事ですよー。各支部にはその町に特化した技術があるんです。ウチで言えば、船ですね。でしたって言った方が良いかもしれないですけど」
俺がいるから断言していいぞ。
「他にも色々とあるんだよ。何かあった時に助け合ったりね」
まあ、それはわかるな。
知らない奴に頼まれるより、知っている奴からの方が受けてくれる確率は上がるだろう。
でも、別にいらない気がする。
「そんなもんか。まあ、当分、話は来ないだろうな。あ、それとこれは言ってはいけないんだが、俺、サシャの実技を見ることになった」
「言っちゃうんですね……」
「試験は明日だし、別にいいだろ。もうサシャには会わないし、そもそもお前達とは受ける試験が違うからな」
変に気を遣うこともない。
「まあ、そうですけど。でも、サシャさんはどう思うんですかね? さあ、実技試験だって思ったらジークさんがいるわけですし」
「プレッシャーに感じないと良いけど」
「大丈夫じゃない? サシャはジークさんのことを怖いと思ってないし、普通に先輩として慕ってたから。それよりもサシャの担当で良いの? 普通、知り合いは外さない?」
外すな。
「その辺も念入りにしてたっぽいが、担当になったな。多分、関係性まではわからなかったのだろう。マリアンネも言っていたが、本部の受付のサシャってほとんどの奴が知ってるし」
「あー、そうかもね。さすがに親族や一門は外すけど、交流関係までは調べないか」
だと思う。
「あとな、試験中は受験生と一切、話をしてはいけないそうだから声はかけるな。ヘレンもホテルに置いていくことになった」
「あー、まあ、それはそうですね」
「了解。多分、10級を担当するなら会わないでしょ」
「話をするのは終わった後にしましょう」
3人娘が頷いた。
「頼む。それとアデーレ、本部に行った際にサシャと話をしたんだが、相談したいからちょっと付き合ってくれって言われた」
「相談? 私?」
「俺とお前」
魔法学校の先輩。
「なるほど……良いわよ。いつ?」
「まだ決めてない。それをちょっと話し合いたいんだよ。実はこっちに来てから色々と決まった。まず明後日は本部長と一緒に陛下に会いに行くことになった」
「陛下!?」
「おー、ついにジークヴァルト・フォン・アレクサンダーになるわけかー」
「あながち変とも言えないのよね……」
変だよ。
貴族なんかになるか。
「本部長がいつものお茶会に行くからそれについていくだけだよ。それで例の金属探知機のことなんかを話すんだ」
「ほー……」
「あれか……」
「さすがに陛下に説明がいるわよね」
面倒なことだ。
ありすぎる才も困ったもの。
「そういうわけでその日はちょっとダメ。あ、その次の夜もダメな。例のレストランに行く」
「おー、明々後日かー! 楽しみ!」
良かったな。
「次、頑張りましょうね」
「そうね。ちょっとコツがわかってきたし」
エーリカとアデーレが顔を合わせて、頷き合う。
わかっていたことだが、やはりあと2回行かないといけないっぽい。
しかし、エーリカは本当に行きたいんだろうか?
俺達庶民には縁のない超が付くほどの上級の店だぞ。
「あとは具体的な日数を決めていないが、採点も手伝うことになると思う。どうする?」
「うーん……ジークさん、結構、忙しいですね」
「そだね。結局、仕事ばっかりだ」
「その採点は終わるまで付き合う気?」
アデーレが聞いてくる。
「いや、そもそも本部長に採点まではいいって言われている。ただ、運営委員会にできたら手伝ってほしいって頼まれたんだよ。空いている時にはやろうと思っている。お前達と出かけるって話もあったし、マルティナに土産を持っていくのもある。その辺の日程を詰めたいんだ」
ちゃんと冷凍魚介セットを買ってある。
「うーん、どうします?」
「試験翌日はダメだし、次の日に本部でマルティナちゃんと会って、その後に出かけない?」
「良いかもね。その時に受付でサシャに会って、相談の日を伝えましょう。ジークさん、相談はいつにするの? サシャは仕事だから夜になると思うけど」
あ、そうだ。
サシャは普通に仕事だ。
「その翌日でいいだろ。俺は試験の採点に行くが、さすがに夕方には帰る。お前らは俺抜きで出かけろよ」
買い物にでも行ってくれ。
「そうしますか。あとはいつ帰るかね……」
そうなるな。
「ちょっと様子を見よう。試験の採点の進捗もある。最悪は先に帰ってくれ」
「わかったわ。そうしましょう」
今後のとりあえずの予定を決めると、昼食を食べ終えたので午後からは最後の勉強をすることにした。
書籍を購入してくださった方、ありがとうございます。
まだの方は是非ともご購入頂ければと思います。
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本作はこれからも続いていきますし、色々と書いていきますが、これからもよろしくお願いします。




