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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第8章

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302/305

第302話 こらー!


 服を確認すると、元の服に着替えた。

 そして、クリスと共に屋敷を出ると、暗い町中を歩いていく。


「どこに行くんだ?」

「そこそこの店だ」


 そこそこ……

 こいつのそこそこがわからん。


「ドレスコードはないよな?」

「私も普通の格好だろう。それに初めては今度まで取っておけ」


 なんか嫌な言い方。


 俺達が歩いていくと、繁華街にやってきた。

 俺が泊まっているセントラルホテルの近くだ。

 すると、クリスがめちゃくちゃ綺麗で高級感ある建物の前で止まった。


「え? ここか?」

「ここは今度、お前達が行くレストランだ」


 あ、今日の店じゃなかったか。

 いや、それにしても……


「ハードルが高そうだな」

「高級レストランなんだから当たり前だろ」


 こんなところにレオノーラと行くのか。

 いや、エーリカとアデーレも受かったら来ないといけない。

 エーリカの顔が白くなりそうだな。


「もうちょっとレベルを落としても良かった気がするんだが」

「弟子が成功したのなら惜しむな。どうせロクに金も使わないんだろ」


 まあ、そうだけども。


「マナーとかが怖いんだが……」

「安心しろ。お前は食べ方も綺麗だし、マナー違反と言われるようなことはない。それに個室を取ってあるから周りの目は気にしなくていい。今後も使うなら電話して、私の名前を出せ」


 へー……


「気を付ける点は?」

「エスコートを忘れるな。常に相手を気遣え。それで十分だ」


 エスコートは知ってる。


「わかった。ヘレンも連れていっても良いのか?」

「使い魔も大丈夫だが……ヘレン、行くのか?」


 クリスがヘレンに聞く。


「行かないです。エーリカさんとアデーレさんとホテルにいます」

「2人っきりに決まってるでしょ」


 ドロテーも同意した。


「じゃあ、まあ、そんな感じで行く」

「そうしろ。二次会とかは考えているか? バーも知っているが……」


 バーなら俺も知っている。

 前にクヌートと行った。


「二次会はいい。多分、ホテルに戻って他の2人と合流する」


 前もそうだった。


「ふっ。そうか。では、行くぞ」


 クリスが歩いていったのでついていく。

 すると、今度は先程の店ほどではないが、それでも高そうなレストランにやってきた。


「やっぱりこういうところか」

「慣れておけ」


 クリスが中に入っていったのでついていく。

 すると、ウェイターが出迎えてくれ、一礼した。


「いらっしゃいませ」

「個室は空いているか?」

「はい。こちらにどうぞ」


 ウェイターに案内され、個室に入ると、席につく。

 すると、ウェイターが一礼し、退室していった。


「あれ? メニューは?」

「ない。コースだ。追加が欲しいなら持ってこさせるが……」


 コースか。

 まあいいか。


「いや、いい。酒は?」

「ワインだ」

「ふーん……」


 そのまま待っていると、ウェイターがやってきて、ワインを持ってきた。

 それでクリスと乾杯すると、一口飲む。

 味はわからないが、高いんだろうなって思った。


「そういえば、お前と2人で食事をするのは久しぶりだな」


 そうかもな。

 皆で食べたことはあるが、クリスと2人というのは随分と昔になる。


「俺は基本的に1人か、本部長と食べていたからな。お前とマリーはほとんどない」


 マリーはよく図書館で一緒だったけど。


「大きくなったな」


 お父さんですか?


「当たり前だ。もう22歳だ」

「時が経つのは早い」


 お爺ちゃんか?


「ゾフィーに言えよ」

「うるさくなるから言わない」


 言うのがマリー。


「お前、いつもこんなところで飯を食べているのか?」

「そんなわけないだろ。人と会う時だけだ」

「女か?」

「いや、貴族の付き合いなんかが多い。ただ、ここにはマリーとテレーゼと来たことがある」


 ほう?

 実は意外な組み合わせの同世代の兄、姉弟子達だ。


「デートではないんだろうな」


 あの二人は絶対にない。

 俺でも言い切れるレベル。


「魔法学校を卒業した時に来たんだ。一門での打ち上げだな」


 同期3人はそんなことをやっていたんだな。


「どうだった?」

「いつもと同じさ。マリーが悪口を言い、テレーゼがおどおどしながら止める。皆、大きくなったが、中身がまったく変わっていない」


 クリスがふっと笑った。


「お前も変わってないな」

「そうかもな」


 ワインを飲みながら待っていると、次々と料理が来たので食べていく。

 美味いし、盛り付けも綺麗なんだが、どうして大きな皿に小さい料理なのかは美的センス皆無の俺にはわからない。


「どうしても一気に持ってこいって思うな」

「会話を楽しめってことだ」

「お前と?」

「私とだ。ジーク、例の金属探知機はどうなった?」


 それが楽しい会話か?


「リートでは上手く活用されている。ただ、ちょっとオーバーテクノロジー過ぎたようで本部長が調整してくれる」

「お前は平気でそういうのを作るからな。リートで平和に暮らしたいなら少しは自重しろ」


 したかったけど、あんなことが起きたら仕方がないだろ。


「試験が終わった後、陛下と会うことになった」

「呼び出しか?」

「お茶会だと。その際に金属探知機を献上する。今、作っているところだ」

「自分は錬金術師であること、リートで良い出会いがあったことを伝えろ」


 ん?


「なんでだ?」

「あんなものを作れるような人間なら王都に呼びたいのが普通だ。しかし、幸い、陛下は視野が広く、考えも深い。そう言っておけば陛下も強引に王都に呼ぶということはないだろう」


 陛下について、本部長と同じようなことを言っているが、どうしてクリスと本部長では感じる印象が違うんだろうな?


「わかった。ドロテー、なんか楽しい話をしろ」


 こいつの話は固い。


「嫌なフリをしてきますね。では、この前、空を飛んでいる時に尻尾が白い犬を見つけた時の話でもしますか」


 絶対につまらなそうだなと思った。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

7/10に発売される本作ですが、表紙が公開されました。(↓にリンク)


ぜひともよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
4巻表紙のエーリカ可愛い!!
ちゃんと「尾」以外も白いんやろうな?
ドロテー、その話の持って行き方じゃ「尾が白い」犬の話になっちゃう…
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