第284話 鉱山へ
そのまま待っていると、支部長が戻ってきた。
ただ、なんか見たことがあるおっさんがおり、受付で待っている。
「ジーク、待たせたな」
「いえ……町長自らが来られたんですか?」
どう見てもいつぞやに会った町長だ。
「ああ。そのようだ。かなり食いついていたし、自分の目で見てみたいそうだ」
へー……暇なのかな?
「もう行かれますか?」
一応の確認。
なんか支部長の腰に剣があるし、行くんだろうというのはわかる。
「ああ。お前らはどうするんだ?」
「俺とエーリカとサシャが行きます。他は残って仕事ですね」
「応援を呼ぶくらいに仕事が多いわけだしな。わかった」
支部長が頷いたので町長のところに向かう。
「町長。ご無沙汰しております」
「お久しぶりですー」
「あ、私は本部で受付をしているサシャです。今は応援で出張に来ています」
それぞれが町長に挨拶をする。
「ああ。ジーク君とエーリカ君は久しぶり。サシャ君、この町の町長を務めるオスカー・フォン・ライゼンハイマーだ。よろしく」
「よろしくお願いします」
町長が手を差し出すと、サシャも手を出し、握手をした。
「支部長、このメンツで行くのですか?」
町長が支部長に聞く。
「ええ。そうなってます。町長、町の外に出たら私の指示に従ってください。魔物が出ても冷静にお願いします」
「もちろんです。あなた以上に心強い人はいませんよ」
ホント、ホント。
ものすごく強そうだし。
「必ず、守ります。お前達もいいな?」
頷いた支部長が俺達を見てくる。
「ええ」
「お願いします」
「気を付けます」
俺達も頷くと、支部を出た。
そして、山がある方に歩いていく。
「エーリカ、鉱山は職人通りの奥だったよな?」
「ええ。あの大通りを進んでいけば門があり、そこから鉱山に行けます」
そっち側の外に出るのは初めてだ。
もっとも、森の方も最初に魔力草を採取しに行って以来だが。
「支部長、一応伝えておきますが、私は5級国家魔術師なので魔法も使えますよ」
「知ってる。実戦経験は?」
「以前、森に行った際にオークを1匹……」
エーリカの笑顔に影が……
「それはないようなものだ。素人の魔法ほど恐ろしいものはないし、大人しくしていろ」
結構な大惨事だったしな……
「わかりました」
「まあ、安心しろ。鉱山の方は軍が巡回しているし、そんなに魔物は出ない。出ても俺の相手ではない」
支部長、かっこいい……
俺達はそのまま歩いていき、職人通りにやってきた。
「ジーク君」
職人通りを歩いていると、町長が声をかけてきた。
「何でしょう?」
「廃品から鉄を抽出する仕事を受けているそうだな?」
「ええ。かなりの量でしたので本部から応援を呼び、現在、作業中です」
「感謝する。国家総動員法を持ち出され、断れなかったのだ。それで今回のような事態になってしまった。私は町長として、制限を設けないといけなかった」
それはそうだと思う。
まあいいかと考えもせずに頷いたのだろう。
「いえ、どこもそんな感じのようですし、この町だけ断るわけにはいきませんよ。ただでさえ、戦争と関係ない地なのですから断る理由が難しいです」
「ああ。そう言ってもらえると助かるよ」
住民はそんなこと思わないけどな。
それが問題。
俺達が大通りを歩いていくと、門が見えてきた。
もちろん、門のそばには門番の兵士がいる。
そのまま門に向かうと、1人の兵士が近づいてきた。
「町長、いかがなされましたか?」
「鉱山の視察だ。協会のヴェルナー殿が護衛に就いてくれている」
「わかりました。お気を付けて」
兵士が頷いたので門を抜ける。
すると、すぐ近くに山々が見え、そこに向かって道が繋がっていた。
「ジーク、坑道に行けばいいのか?」
支部長が聞いてくる。
「坑道はすでに見つかった後で採掘中でしょう? そこから新たな鉱脈を探してもいいですが、上から場所を探してもいいです」
「ふむ……町長、どうしますか?」
支部長が町長に確認する。
「まずは坑道の方に行ってみましょう」
「わかりました。では、こちらです」
支部長が道をまっすぐ進んでいったので俺達もついていく。
すると、所々に兵士の姿が見え、巡回をしているようだった。
これなら確かに安心だなと思いながら進んでいき、山のふもとまでやってくると、いくつもの坑道が見え、さらには鉱夫や兵士の姿が見えた。
「へー……いっぱいあるんですね」
サシャが感心する。
「間歩と呼ばれる洞窟だな。中で採掘をしているんだ」
「ほー……」
「大変ですねー。アデーレさんは来なそうです」
アデーレなー……苦手なものが多いし、暗いところとか狭いところが嫌かもしれない。
俺達が見学をしていると、1人の兵士がこちらに気付き、町長のところにやってきた。
「町長、いかがなされましたか?」
兵士が町長に聞く。
「視察だ。ここの責任者を呼んでほしい」
「承知しました」
兵士は走っていたのだが、すぐに髭を生やしたおっさんを連れて戻ってきた。
「こちらの者が現場監督をしているデニス殿です」
「ご苦労。引き続き、頼む」
町長が頷くと、兵士が敬礼をし、仕事に戻った。
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