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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第7章

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283/285

第283話 にゃんこスタッフ?


「お前はどう動く?」

「私はリート支部の人間なのでその辺の争いは知りません。クリスの奴が動いているようです」

「プレヒト家な。賢い男だ」


 貴族のくせに脱貴族の本部長の右腕というね。


「まあ、そっちはそっちに任せればいいです。我々はリートのことを考えなければなりません」

「その通りだ。それでどうする?」

「このままでは鉱石不足は冬まで続きます。正直に言えば、損害は出るでしょうが、傾くほどのことではないです」


 数ヶ月の問題だからだ。

 これで傾くようならそれはそもそもの経営状態が悪い。

 今回のことがなくても時間の問題だろう。


「鍛冶師連中は廃品で補い、錬金術師は別の仕事をすればいいわけだしな。エーリカの実家も同じだ。別で補えるだろう」


 設計もやっていると言っていたし、そっちで稼げる。

 その後、鉄の供給が戻れば再開すればいいだけだ。


「私達も同じです。人が足りず、仕事を選べる状況ですので十分に凌げます」

「俺はそれでいいと思っていた」


 俺も最初はそう思った。


「しかし、困っているのは確かでしょう。特に今回のことで町長や役所は責任問題にまでなりそうです」


 そして、本部長とバルシュミーデ家の争いが長引けば、鉱石不足が長引く可能性も否定できない。


「なるかもな……正直、町長も頭を抱えておられた。どうにかならないかと相談も受けている」


 なんで皆、協会に相談するかね?


「他のところもそうです。安定した鉱石の復旧はどこも望んでいます」

「その通りだ」


 支部長が深く頷く。


「そこで私はこの状況を打破するべく、動きました」

「どうするんだ?」

「それがこれです」


 そう言って、空間魔法から小さな箱型の機械を取り出した。


「あ、前にジークさんが作ってたやつですね」


 エーリカが反応した。


「ああ。それをゾフィーにも手伝ってもらい、完成したんだ」


 昨晩は頑張った。


「へー……何ですか、これ?」

「これは鉄鉱石なんかの鉱脈を見つける機械だ」

「ハァ? どうやって?」


 エーリカはよくわかっていない様子だ。


「鉱物っていうのは山の中……というか、土の中にある」

「ええ。それが鉱山です。掘って鉱物を採ってきます」

「その通りだ。しかし、どうやってその鉱脈を見つけると思う? 山なんかそこら中にあるだろ」

「確かにそうですね……えーっと?」


 優秀なエーリカでもわからない。

 まあ、専門家じゃないんだから当然だ。


「鉱脈を見つける方法はいくつもある。代表的なのは地形や生えている植物の変化、さらには露出している岩や層を見て、当たりをつけるんだ。そこから試掘や探鉱するわけだな」

「へー……ジークさんって何でも詳しいんですね」

「まあな」


 ほら、謙虚さゼロ。

 そんな顔をレオノーラとアデーレがしている。

 でも、事実だから仕方がない。


「ジーク、その機械を使えばそういうことをせずに鉱脈を見つけられるのか?」


 支部長が聞いてくる。


「理論上は。まだ作ったばかりで試してないんです」

「ふむ……町長に言って、試してみるか」

「ええ。それをお願いしたいです」


 調整がいるならしたいし、渡して終わりということにはならない。


「わかった。善は急げだ。早速、町長に話してこよう。お前はいつでも出られるようにしておけ」

「わかりました」


 頷くと、支部長が出ていった。


「ジークくーん、またとんでもない機械を作ったね。本当にばっちり鉱脈を見つけられるなら時代が変わるよ」

「たいしたことじゃない。ただの金属探知機だ」

「いや、それがすごいんだよね……」


 まあな。

 多分、町長か本部長を通して、国王陛下に寄贈することになると思う。


「ジークさん、試すって言ってたけど、山の方に行くの?」


 アデーレが聞いてくる。


「そうなるな。お前らはどうする?」

「うーん……気にはなるけど、山かぁ……それに仕事もあるのよね」


 ちょっと行って帰ってくるって距離じゃないしな。


「山に行きたい奴、手を上げてみろ」


 そう言うと、エーリカとサシャが手を上げただけだった。

 レオノーラに至ってはフル無視で銀の錬成を始めている。


「エーリカ、サシャ、行きたいのか?」

「気になりますし、私もどんなものか見てみたいです」

「私も。あと山を見たいです」


 エーリカは地元のことだから。

 サシャは観光気分だな。

 まあ、王都は平地で山もちょっと距離があるからな。


「ゾフィー、お前は? 一応、お前も製作者だろ」

「眠いから嫌」


 あー……遅かったしな。


「わかった。マルティナを頼むぞ」

「ええ」

「エーリカ、サシャ、いつでも出られるように準備をしろ」

「はーい。杖取ってきまーす」


 エーリカが立ち上がり、支部から出ていく。


「杖はいらないだろ……サシャ、お前は?」

「私は最低限のものしか持ってないですし、特に準備はないです。杖もそもそも持ってないですしね」


 杖を持ってないのか。

 まあ、いらんしな。


「山登りなら杖がいるんじゃない? サシャ、私の杖を貸してあげるわ」


 ゾフィーがサシャを見て、頷きながら言う。


「お前、杖を持ってきているのか?」

「本部長からもらったものだし、いつも持ち歩いているわよ。使ったことないけど」


 じゃあ、無駄では?


「ふーん……お前の杖ってどんなのだ?」


 そう聞くと、ゾフィーが魔法のカバンから杖を取り出した。

 俺のと同じ金色の装飾がなされ、先端には竜の彫刻が施されている。


「お揃いか」

「そりゃ本部長からもらったものだからね」

「しかし、なんで竜なんだろうな。猫が良くないか?」


 可愛い黒猫。


「絶対に竜が良いわ。あんたが猫の杖を作って、弟子にあげれば良いんじゃない?」


 ゾフィーがそう言うと、レオノーラとアデーレが顔を見合わせた。


「猫かー……」

「魔法使いの杖っぽくないわね」


 そりゃそうだ。


「アクセントで肉球マークがあるとか?」

「あ、それ良いわね。可愛い」


 あれ?

 あげる流れになってないよな?

 お前らすでに持ってるだろ。


「好きにしなさいよ……じゃあ、これね」


 ゾフィーがサシャに杖を渡した。


「あの……話的に大事な杖では?」

「いいの、いいの。使ってないもん」

「ハ、ハァ……では、お借りします」

「どうぞ、どうぞ」


 サシャが杖を構える。


「どうですかね?」

「人のこと言えないけど、似合わないわね」

「ですかー……」


 安心しろ。

 皆、似合わないから。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

皆様の応援のおかげで書籍1巻、2巻に引き続き、第3巻も重版することになりました。

大変嬉しく思いますし、これからも頑張っていこうと思います。

ありがとうございます。

重版を記念いたしまして、明日も投稿させていただきます。


また、第4巻も今夏に発売予定です。

どうぞよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
最近ドラゴン裁縫箱のはなしがTLで出るようになてって 私的にタイムリーだった
新鉱脈が見つかったとして設備と人手の問題が…
杖の石突に肉球にゃんこスタンプかいいね でも鉱脈探す機械が知れたらバルシュミーデ家が介入してきそう
感想一覧
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