第269話 パワーが違う
「ジーク、どうだった?」
長電話を待っていた支部長が聞いてくる。
「ゾフィーと本部の受付でアデーレの後輩のサシャを確保しました。マルティナはギーゼラさんと相談してからですね」
「そうか。3人増えたら問題ないか?」
「正直、マルティナは微妙ですし、サシャは知らないので未知数です。ただ、ゾフィーがいれば問題ないでしょう。あいつはいくらでも働けますし、細かい仕事が得意な奴です」
最悪はゾフィーと俺で頑張ればいける。
「よし。では、それでいけ。デスクを用意してやれ」
「わかりました」
頷くと、支部長がコーヒーを飲み干し、支部長室……をスルーして、帰っていった。
まあ、一安心したからだろう。
「アデーレ、サシャが来るから頼むぞ」
「いや、あなたの後輩でもあるのよ?」
「受付仲間だろ。おかげで俺は……いや、いい」
受付嬢コレクターは考えないようにしよう。
「ジークさん、ゾフィーさんも来られるんですよね? 賑やかになります」
エーリカは嬉しそうだ。
「俺はあいつがどこぞにケンカを売らないかが心配だがな」
「ゾフィーさんは優しいから大丈夫ですよー」
出たよ、エーリカの唯一の欠点……自身が輝きすぎて黒い存在が白く見えてしまう目。
「ジーク君、席はどうする?」
レオノーラが聞いてくる。
「サシャがアデーレの隣だな……そうなると、ゾフィーと来るかもしれないマルティナは……」
どこだ?
「ジークさんの隣が妹さんでその隣がマルティナちゃんで良いんじゃないですか?」
「それだね」
「ええ。それね」
そうなんだ……
まあ、サシャの隣よりかはマシか。
何を話したらいいかわからんし。
その点、ゾフィーはどうでもいい。
「じゃあ、ちょっとデスクを用意するか」
「そうしましょう」
「ゾフィーとマルティナちゃんは無理だろうけど、アデーレの後輩ちゃんはこのまま移ってほしいねー」
「どうかしら? あの子も結構な都会主義だからね」
俺達はデスクを用意することにし、家具屋に向かった。
そして、デスクを購入し、並べていく。
もっとも、俺の隣には以前、ゾフィーが来た時に用意したデスクがあるので2つだけだ。
「こんなもんか」
「良い感じですねー」
「これから増えていくと良いんだけどね」
「私が来て以降、全然、人が来ないしね」
俺の評判の悪さかね。
「じゃあ、仕事をしていくか」
3人娘が銀やアルミ、ステンレス鋼の錬成を始めたので俺も物を作っていく。
そして、この日も仕事を終え、夕食を食べると、勉強会をしていった。
翌日、朝出勤すると、エーリカが電話をしていた。
「うん。おいでよー。ジークさんも見てくれるよー」
うーん、俺が何かを見るのが確定している……
「うん、うん。わかった。じゃあ、待ってるから」
タメ口のエーリカだなーっと思っていると、エーリカが受話器を置いた。
「マルティナか?」
一緒にデスクにつきながらエーリカに聞く。
「ええ。2日後にギーゼラさんと来るそうです。実家のこともありますし、良い機会だから一度帰ろうってなったらしいですね」
マルティナが明後日に来るわけか。
「俺が何を見るんだ?」
「勉強です。また一緒に勉強会をしたいって言ってましたんで」
マルティナが勉強をしたいって言いだすなんてな。
「そうか。あいつのために特別なテストを作ってやるか」
「ジークさんは優しいですねー」
はいはい。
俺達はこの日も仕事をしていく。
エーリカはアルミを錬成しているし、レオノーラは銀を錬成していた。
そして、アデーレは眉をひそめながらステンレス鋼だ。
「どう? きついでしょ?」
レオノーラがアデーレを見る。
「ええ。あなたの気持ちがよくわかったわ」
「硬くて錬成しくいのに細かさが求められるよね」
「そうね。これは難易度が高いわ」
頑張ってくれ。
「ジークさんは結局、何を作っているんですか?」
エーリカが聞いてくる。
「今の鉱石不足を何とかできないかと思ってな……俺なりに考えながら作っているところだ。完成したら説明する」
「おー……さすがはジークさんですね」
何がさすがかはわからないが、その期待には応えよう。
「ちーっす!」
声が聞こえたので受付の方を見ると、ディルクがいた。
「どうした?」
錬成を一時中断し、受付に向かいながらディルクに聞く。
「廃品を持ってきたっす。表に置いてありますけど、どこに運べばいいですかね?」
もう持ってきたか。
「中に入れてくれ。エントランスに置いておいてくれればいい」
「了解っす」
ディルクが頷き、外に出ていくと、多くの若い男達が木箱に入った廃品をエントランスに置いていく。
その中には親方のゲオルクもおり、こちらに来た。
「よう。とりあえず、第一陣を持って来たぜ。いけるか?」
「ああ。本部に連絡をし、応援が来ることになった。あそこにあったやつは全部できると思う」
「おー! マジか! 助かるわ! やはり頼るべきは民間ではなく、協会だな!」
そうそう。
「始動は未定だが、2、3日で始めようと思っている。ある程度、できたら連絡するから取りに来てくれ」
「わかった。それで頼むわ」
鍛冶師連中はあっという間に木箱を運ぶと、帰っていく。
エントランスに積まれた木箱を見て、すごい量だなとか、よく簡単に運べるなと思いつつも共同アトリエに戻り、作業を再開した。
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。
よろしくお願いします!




