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COSKILLER (コスキラー)―CKR(シクル)―  作者: 黒薔薇
裏社会組織 黒曜会からの勧誘
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52/54

次の対象者

東京ビッグサイトを離れて――

夕方。


イベント終了後の街には、

帰宅する参加者たちの姿が増えていた。


色とりどりの衣装を脱がず、

そのまま駅へ向かうレイヤーも多い。


その中を――七人も歩いていた。


Dollは水色と白の人形師衣装

Mirageは紫と黒の魔術師衣装

Jokerは赤と黒の道化師衣装

Knightは探偵風の衣装

Maskは情報屋風の衣装

Heroは白と紺の軍服風衣装


そして――

YONAGIは青と銀の騎士衣装


イベントの余韻が残る街の中では、

七人もただのコスプレイヤーにしか見えない。


しかし――全員の表情は重かった。


Jokerが口を開く。


「……結局、何も分からなかったね?」


Knightが答える。


「いや…

少なくとも、分かったことはある。」

アリアが

複数の人物から金銭を要求されていたことがな…」


Maskが続ける。


「そして――同じような被害者が複数存在する。」


Dollがスマートフォンを見る。


「それに……

黒曜会も、その人たちを調べていた。」


Mirageが腕を組む。


「偶然とは思えないわね…」


Heroは黙ったまま歩いていた。


やがて――


「Mask」


「はい。」


「被害対象者リストを、もう一度見せてくれ」


Maskが端末を操作すると

画面に、

アリアを含む複数の名前が表示される。


そして、その下


『次のレイヤー対象候補』


その文字の下に――

一人の名前が表示されていた。

『REN』


Jokerが覗き込む。


「男のレイヤーか?」


「はい」


Maskが頷く。


「男性コスプレイヤーです。」


Knightが画面を見る。


「どんな人物なんだ?」


「フォロワーは約三万人で」


Maskが情報を読み上げる。


「主に女性向け作品のキャラクターを中心に

活動しています。」


Mirageが尋ねる。


「人気は?」


「かなりあります。

イベント参加も多いですね。」


Dollが首を傾げる。


「でも……

どうして、この人が『対象者』なの?」


Maskは答えなかった。


代わりに、

別のページを開くと

そこには――

RENのSNS上での投稿や

イベント写真に

撮影会


そして――

複数の女性レイヤーと写った写真が

出てきて

Jokerが眉をひそめる。


「……女の子との写真が多いなこいつ!」


「はい。」


Maskが続ける。


「ただし、問題はそこじゃありません。」


画面が切り替わると

そこには、

過去の投稿が並んでいた。


『俺と付き合えば、活動を支えてあげる』


『コスプレ続けたいなら、俺を頼って』


『二人で活動した方が絶対に売れるよ』


Dollの表情が曇る。


「……これって?」


Mirageも画面を見る。


「随分、距離が近いわね…」


YONAGIは黙って画面を見つめていた。


そして――


「この人」


Heroが振り返る。


「知っているのか?」


「……名前だけは」


YONAGIは小さく答える。


「黒曜会にいた頃、

一度だけ話題になったことがあります。」


「どんな話だった?」


YONAGIは少し考える。


「女性レイヤーとの交際を繰り返している人でした。」


「それだけ?」


「いいえ」


YONAGIは首を横に振る。


「別れるたびに、

相手からお金を借りていたという話もありました。」


Jokerの顔から笑みが消える。


「また金か……」


Knightが低い声で言う。


「アリアの件と繋がっているな…」


Heroは画面を見つめた。


「……ただの恋愛トラブルじゃない」


Maskが頷く。


「僕もそう思います。」


「被害者が多すぎるし…

しかも、黒曜会が以前から調べていた。」


Mirageが呟く。


「だったら、黒曜会は何をしようとしているの?」


誰も答えなかった。


YONAGIだけが、

静かに口を開く。


「……黒曜会は、昔から」


一瞬、言葉を選ぶ。


「表では普通の人間として活動している

人間の情報を集めています。」


Heroが見る。


「どうして?」


「分かりません。」


「私も全部を知っているわけじゃありません。」


YONAGIは苦笑する。


「ただ――

人の弱みを見つけることには、

昔から長けていました。」


Jokerがため息を吐く。


「嫌な予感しかしないね…」


Heroが立ち止まる。


「なら、確かめる。」


全員がHeroを見る。


「次はRENを探すぞ!」


Dollが頷く。


「次のイベントは?」


Maskが検索する。


「近いものなら――」


画面にイベント情報が表示される。


『池袋コスプレ交流フェス』


開催は――2週間後


Jokerが笑う。


「またイベントかぁ」


Mirageが肩をすくめる。


「私たちには相性のいい場所ね?」


Knightが苦笑する。


「事件が起きる場所としては、最悪だけどな!」


Dollが衣装の入ったバッグを見る。


「衣装……また作り直した方がいいかな?」


Mirageが笑う。


「もちろん♪」


Jokerが手を挙げる。


「じゃあ俺は、今回もレイヤー兼カメラマン役?」


Heroが頷く。


「そうしてくれ」


Jokerが笑う。


「了解♪」


YONAGIも頷く。


「私も参加します。」


Heroが見る。


「今回は?」


YONAGIは自分の青と銀の衣装を見下ろす。


「少し衣装の雰囲気を変えてみたいです。」


Dollが嬉しそうに笑う。


「じゃあ、次は私が作るね♪」


「お願いします。」


七人の間に、

少しだけいつもの空気が戻った。


しかし――

Maskだけは端末を見つめていた。


「Hero」


「どうした?」


「RENのアカウントに――」


一拍。


「今日、新しい投稿があります。」


Heroが近づくと

画面には、

イベント告知の写真。


その隅に――

見覚えのない人物が写っていた。


黒い服に

カメラを持っていて

そして――首元に小さな黒い紋章がある。


それを見て

YONAGIの顔が変わる。


「……それ」


Heroが見る。


「知っているのか?」


YONAGIは静かに頷いた。


「黒曜会の紋章です。」


七人の空気が変わった。


Jokerが呟く。


「……もう始まってるってことか」


Heroは画面を見つめる。


そして――


「14日後…

池袋で、RENに会う。」


Maskが頷く。


「了解」


Heroは六人を見る。


「それまでに準備するぞ」


「今回の目的は一つ」


一拍。


「RENが何をしているのか」


そして――


「黒曜会が、なぜ彼を調べているのかを突き止める。」


七人は歩き出した。


その後ろ姿を――

遠くの建物の屋上から、

一つのカメラが捉えていた。


カシャッ――


撮影屋・零がファインダーから目を離す。


隣には――裂夜


「次は池袋か…」


零が尋ねる。


「彼らを行かせるんですか?」


裂夜は小さく笑った。


「もちろん!」

CKRには、まだ知らないといけないことがある。」


そして――スマートフォンを見ると

そこには黒曜会からの新しい指示が


『REN――接触開始』


裂夜はその文字を見つめる。


「……さて

次は、どこまで気付くかな?」


夕暮れの街に、

二人の姿が消えていった。


――2週間後


池袋コスプレ交流フェス


そこから始まる次の事件は、

アリアの事件よりもさらに深く――


黒曜会とCKRを繋ぐものへと近づいていく


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