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COSKILLER (コスキラー)―CKR(シクル)―  作者: 黒薔薇
裏社会組織 黒曜会からの勧誘
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51/54

撮影屋・零

東京ビッグサイト――外周通路


七人は、それぞれの持ち場から集まっていた。


Jokerは赤と黒の道化師衣装のまま、

肩にカメラバッグを掛けている。


Dollは水色と白の人形師衣装

Mirageは紫と黒の魔術師衣装

Knightは探偵風の衣装

Maskは情報屋風の衣装

Heroは白と紺の軍服風衣装


そしてYONAGIは、

青と銀の騎士衣装


華やかな衣装を着た七人だった。


だが――今の状況で、

イベントを楽しむ余裕はなかった。


Heroが小さく口を開く。


「状況を整理する。」


Maskが端末を操作する。


「裂夜は会場の外へ移動しました。

現在地は、東側の駐車場付近です。」


「それと――」


Maskが画面を見せる。


「裂夜の隣にいる男」


画面には、一人の男性が映っていた。


黒い服を着ていて

肩からカメラバッグを下げている。


首には大きなカメラがあり

その顔を見た瞬間、

Jokerが目を細めた。


「……こいつ」


Heroが見る。


「知ってるのか?」


「さっき会場で見た。」


Jokerはカメラバッグを指差す。


「撮影屋・零」


YONAGIが画像を見る。


「裂夜と一緒にいる……」


「そう」


Jokerの表情から笑みが消える。


「しかも、あいつさ…

普通のカメラマンじゃないよ…」


Knightが尋ねる。


「何か気づいたのか?」


「俺がカメラマンの集団に混ざってた時、

妙なことをしてたんだ…

撮影した写真を確認するふりをして、

ずっと周囲のレイヤーを見てた。」


Mirageが眉をひそめる。


「つまり、撮影対象を探していた?」


「たぶんね…」


Dollが不安そうに呟く。


「じゃあ、

裂夜と撮影屋・零は一緒に何かをしているの?」


Maskが答える。


「現時点では断定できません。」


Heroは駐車場の方向を見る。


「なら、確認する。」


YONAGIが頷く。


「私も行きます。」


Heroは彼女を見る。


「無理はするなよ?」


「分かっています。」


YONAGIは少しだけ笑った。


「でも、私も黒曜会のことを知っています。

もし相手が黒曜会と繋がっているなら――」


一拍


「私がいた方が分かることもあると思います。」


Heroは少し考えた。


「……分かった。」


Jokerが手を挙げる。


「じゃあ、俺もカメラあるから

レイヤー兼カメラマンとして近づけるからもね?」


Knightが呆れたように笑う。


「こういう時だけ便利だな、その格好」


「こういう時のための衣装だから♪」


Heroが周囲を見る。


「残りはここで待機」


Dollが頷く。


「分かった。」


Mirageも続く。


「何かあったらすぐ通信するわ」


Maskは端末を確認する。


「全員の位置を把握しておきます。」


Hero、Joker、YONAGIの三人が歩き出した。


駐車場へ続く通路に近づくと

人の数が徐々に減っていき

イベント会場の喧騒も遠ざかっていく。


YONAGIが小声で言った。


「……この先です。」


Heroが足を止める。


「見えた。」


駐車場の奥


黒い車の近くに――裂夜が立っている。


そして、その隣には撮影屋・零


零はカメラを手にしたまま、

裂夜と何か話していた。


Jokerが小さく呟く。


「何話してるんだろうね?」


Heroは通信機に触れる。


「Mask、音声は?」


『距離があるので完全には拾えません。

ですが、映像は確認できます。』


Heroが視線を戻す。


その時――

裂夜が一枚の封筒を零へ渡した。


零は封筒を受け取り、

中身を確認する。


そして――小さく頷いた。


Jokerの表情が変わった。


「……今の、見た?」


「見た。」


YONAGIも頷く。


「何かの受け渡しですね…」


Heroはすぐに動かなかった。


「まだだ…

もう少し様子を見よう」


三人は物陰から様子を窺う。


すると――

零がカメラバッグから一枚の写真を取り出した。


そこには――女性レイヤーが写っていた。


YONAGIが目を見開く。


「……この人」


「知ってるのか?」


「黒曜会にいた頃、一度だけ見たことがあります。」


YONAGIは写真を見つめる。


「イベントで人気だったレイヤーです。」


「でも……」


言葉を止める。


Heroが尋ねる。


「どうした?」


「この人、今は活動していません。」


Jokerが低く呟く。


「……やっぱりな」


その瞬間

零が写真をしまった。


そして――こちらを向いた。


Jokerが反応する。


「……気づかれた?」


Heroはすぐに判断した。


「隠れるな」


「え?」


「普通に歩くぞ…」


Heroは物陰から出て

それを見たJokerとYONAGIも続く。


裂夜がこちらを見る。


そして――笑った。


「やっぱり来たね。」


Heroは歩みを止める。


「待たせたな。」


裂夜は肩をすくめる。


「追ってくると思ってたよ。」


Jokerがカメラバッグを見る。


「随分と楽しそうなことしてるじゃん。」


零がJokerを見る。


「あなたもカメラマン?」


Jokerは笑顔を作る。


「今日はね…

撮影屋・零さん?」


零の表情がわずかに変わった。


「……僕のことを知ってるんだ。」


「有名だからね♪」


その横でYONAGIが裂夜を睨む。


「あなた、何をしているんですか?」


裂夜はYONAGIを見る。


「久しぶりだね?」


「質問に答えて!」


「相変わらず真面目だなぁ…」


「誤魔化さないでくれる?」


YONAGIの声が強くなる。


裂夜は少し黙った。


そして――

「君たちに関係することだよ?」


Heroの目が細くなる。


「どういう意味だ?」


裂夜は笑った。


「CKRがどこまで踏み込めるのか、見てるんだ。」


Jokerが眉をひそめる。


「また試験かよ…」


「試験?」


裂夜は笑う。


「違う」


「これは――」


一拍。


「選別だよ」


その瞬間。


Heroの通信機が鳴った。


『Hero!』


Maskの声だった。


「どうした?」


『会場内で異常です。

さっきの写真に写っていた女性レイヤー――』


一拍。


『現在、会場にいます。』


YONAGIが振り返る。


「……え?」


Maskが続ける。


『ですが、誰かに追われています。』


Heroの表情が変わった。


「場所は?」


『西側の搬入口です。』


Jokerが裂夜を見る。


「……なるほど」


裂夜は何も言わないで

ただ、笑っている。


Heroが尋ねる。


「これはお前の仕掛けか?」


「さあ?」


裂夜は答えを濁す。


「でも――」


彼は一歩下がった。


「助けたいなら、急いだ方がいいんじゃない?」


Heroの目が鋭くなる。


「全員、移動する!」


『了解!』


イヤホンから

Doll、Mirage、Knight、Maskの声が重なる。


Heroたちは一斉に走り出した。


その後ろで――

撮影屋・零がカメラを構えた。


シャッター音が一つ

カシャッ*


それを見て裂夜が小さく笑う。


「……いいねぇ♪

七人揃って動くと、やっぱり綺麗だ!」


零がカメラを下ろす。


「撮れました。」


裂夜は写真を確認する。


そこには――

走り去っていく七人の姿


裂夜はその写真を見つめながら呟いた。


「これで、次の段階に進める。」


そして彼のスマートフォンに、

一通のメッセージが届く。


送信者――黒曜会


短い文章だけが表示されていた。


『対象者、確認』


裂夜は画面を見て、静かに笑った。


「……まだ気づかなくていい。」


スマートフォンをポケットへしまう。


「君たちには、もう少し――」


一拍


「この世界の汚い部分を見てもらわないとな?」


その頃、七人は搬入口へ向かっていた。


今はまだ誰も知らない。


今回の事件が、

黒鉄迅と黒曜会の勧誘だけでは終わらないことを


そして――

裂夜と撮影屋・零が追っている「対象者」が、

CKRの次の事件へ繋がる人物になることを


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