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COSKILLER (コスキラー)―CKR(シクル)―  作者: 黒薔薇
裏社会組織 黒曜会からの勧誘
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49/54

作戦会議

対象者


翌日――

CKR事務所兼アトリエでは

今日も朝から、

いつも通りミシンの音が響いていた。


Dollは新しい衣装の袖を縫い、

Mirageは鏡の前でウィッグを整えている。


Knightは工具を確認し、

Jokerはソファに寝転びながら

スマートフォンを眺めていた。


その隣では、

YONAGIが衣装のパーツを整理している。


Maskは

テーブルの中央に置かれたタブレットを操作し、

Heroはその横で資料を読んでいた。


「YONAGI」


Dollが声をかける。


「これ、そっちに置いてくれる?」


「はい。」


YONAGIが布を受け取り、作業台へ運ぶ。


「ここでいい?」


「うん!ありがとう♪」


「どういたしまして♪」


すると、ソファからJokerが顔を出す。


「YONAGI、こっちも手伝って〜?」


「何ですか?」


「この衣装のパーツ、

どれがどれだか分からなくなった…」


Knightが呆れたように振り返る。


「お前が勝手に広げたんだろ?!」


「だって似てるんだもん!」


「自分でやれ!!」


「Knightは冷たいなぁ…」


YONAGIが思わず笑う。


「私、見ますよ?」


「助かる!」


Jokerが嬉しそうに立ち上がる様子を

Mirageが鏡越しで見ていた。


「もうすっかり馴染んだわね?」


YONAGIが振り返る。


「そうですか?」


「ええ…」


Mirageは微笑む。


「最初の頃は、少し遠慮してたでしょう?」


「……そうですね」


YONAGIは少し考える。


「皆さんと一緒にいるのは

楽しかったんですけど……」


「自分が本当にここにいていいのか、

分からなかったんです。」


Dollが優しく笑う。


「でも今は?」


YONAGIは周囲を見渡した。


Hero

Doll

Mirage

Joker

Knight

Mask


そして、自分


「……今は、ここが自分の居場所だと思っています。」


Jokerがニヤッと笑う。


「じゃあ問題なし♪」


Knightも頷く。


「それならいい。」


Heroは資料から顔を上げる。


「……そういうことか?」


YONAGIがHeroを見る。


「Hero?」


Heroはテーブルの上に一枚の写真を置いた。


「今日から次の案件に入る。」


その一言で、

アトリエの空気が変わったと当時に

Maskがタブレットを操作する。


「今回の対象者は、男性コスプレイヤーです。」


画面に、一人の青年の写真が表示された。


派手な衣装と

整えられたウィッグ


イベント会場で多くの人に囲まれながら、

笑顔でポーズを決めている。


Jokerが写真を覗き込む。


「結構有名じゃん!」


「はい。」


Maskは画面を切り替える。


「本名は――」


一拍。


「鳴海朔也(なるみさくや)二十六歳」


Dollが写真を見る。


「コスプレネームは?」


Maskが答える。


「『裂夜(れつや)』です。」


Mirageが写真を見つめる。


「裂夜……聞いたことあるわ!」


Jokerも頷く。


「俺も知ってる!」


「男性キャラクターのコスプレが多くて、

衣装の完成度も高いよね?」


Maskが続ける。


「SNSのフォロワーは約十八万人」


Knightが腕を組む。


「かなり人気のレイヤーだな?」


「ですが――」


Maskが別の資料を表示した。


そこには複数の女性から寄せられた相談記録が

並んでいた。


・金銭の貸し借り

・交際を巡るトラブル

・突然の連絡断絶


そして、同じ人物と思われる複数のSNSアカウント


**鳴海朔也。**


Dollの表情が曇る。


「……これ、全部同じ人?」


「はい。」


Maskが頷く。


「別のアカウントを使って

別のコスプレネームを名乗ったり

裂也は自分とは別人だと言ったりして

複数の女性と金銭トラブルを起こしているようです。」


「中には、

恋愛関係を利用して金銭を要求された

という証言もあります。」


YONAGIが資料を読む。


「それでも、活動を続けているんですか?」


「はい」


Maskは画面を切り替える。


「現在も『裂夜』として

複数のコスプレイベントへ参加しています。」


Knightが眉をひそめる。


「つまり、表では普通に活動してるってことか?」


Heroは静かに頷いた。


「だから今回、俺たちが確認する。」


Jokerが腕を組む。


「対象者が本当に資料通りの人間なのか…

そして、今も同じことを続けているのかを…」


Maskが続ける。


「その確認が今回の目的です。」


Dollが写真を見る。


「次のイベントには?」


「参加予定です。」


Maskが答える。


「三日後にあります。」


Jokerが身を乗り出す。


「どこのイベント?」


Maskがタブレットを操作すると、

イベントの概要が画面に表示された。


そこには大きく――

『東京コスプレフェスティバル』

と書かれている。


開催場所は――

**東京ビッグサイト**


開催日は三日後


国内でも有数の大型コスプレイベントで、

人気レイヤーやカメラマン、

動画配信者などが全国から集まるイベントだった。


Dollが画面を覗き込む。


「東京ビッグサイトかぁ……

かなり大きなイベントね?」


Mirageも頷く。


「参加者も多そうだね?」


「はい。」


Maskが続ける。


「事前登録や参加表明をされている

コスプレイヤーだけでもかなりの人数です。」


「一般参加者やカメラマンも多く集まるため、

裂夜が誰と接触しているのかを

確認するには適した場所です。」


Knightが腕を組む。


「人が多いなら、

尾行もしやすい反面、

見失う可能性もあるな…」


Heroが頷く。


「だから今回は行動する班を分けるぞ!」


全員がHeroを見る。


「一人を追い続けるんじゃない。」


Heroは会場の資料を指差した。


「裂夜が誰と接触するのかを、

それぞれの位置から確認する。」


Jokerが笑う。


「なるほどねぇ?」


Dollがイベントの写真を見る。


「それに、

私たちが参加していても全然怪しまれない。」


Mirageが頷く。


「むしろCKRとして参加している方が自然よね?」


YONAGIも画面を見る。


「東京ビッグサイト……」


少し考えてから、静かに笑う。


「大きなイベントなら、

裂夜さんと交流のあるレイヤーも

沢山来そうですね?」


Maskが頷く。


「その可能性が高いです。」


Heroが立ち上がる。


「なら決まりだ。」


全員がHeroを見る。


「三日後――」


Heroはイベント名を確認する。


「**東京コスプレフェスティバル**

で裂夜を探す。」


Jokerが拳を軽く握る。


「了解♪」


Dollも頷く。


「衣装、イベントに合わせて準備しておくね♪」


Mirageが笑う。


「今回は少し気合いを入れないとね♪」


Knightは工具ケースを閉じる。


「人混みなら装備も軽くしておいた方がいいな?」


Maskは端末へ情報を入力する。


「会場マップ、入手しておきます。」


そしてHeroは最後にYONAGIを見る。


「YONAGI」


「はい。」


「当日は裂夜と交流のある女性レイヤーを

中心に探してくれ…

自然に話を聞いて、情報を集めてほしい。」


YONAGIは頷く。


「分かりました。

必ず情報を集めます。」


Mirageが声をかける。


「私も一緒に動くわ!」


「ありがとうございます♪」


Jokerがスマートフォンをポケットにしまう。


「じゃあ俺はカメラマン側を見てみるよ!」


Knightが続ける。


「俺は会場の出入りとスタッフ側を確認する。」


Dollが手を上げる。


「私はレイヤーの交流スペースを見るね?」


Maskが頷く。


「僕は会場内の情報をリアルタイムで確認します。」


Heroは全員を見渡した。


「決まりだな。」


七人の視線が交わる。


YONAGIもその中におり

もう誰も、

彼女をただの協力者とは扱っていなかった。


CKRの一員として、

同じ場所に立っている。


Dollが再びミシンへ向かう。


「じゃあ、衣装の準備を始めましょうか♪」


「三日しかないから、急がないとね♪」


Mirageもウィッグを手に取る。


「今回は東京ビッグサイトよ?

人目も多いし、衣装の完成度も重要よ…」


Jokerが笑う。


「よし、俺も本気出すか!」


Knightが呆れる。


「今まで本気じゃなかったのかよ?」


「もちろん本気だったよ♪」


「信用できないな……」


アトリエに小さな笑い声が広がる。


その一方で――

Heroは一人、

テーブルの上に残った裂夜の写真を見つめていた。


写真の中で、

何も問題などないように

人気コスプレイヤーとして

鳴海朔也は笑っている。


Heroは静かに写真を裏返した。


「……本当の顔は、どっちだ?」


答える者はいない中

ミシンの音だけが響いている。



三日後


CKRの七人は、

表向きは一組のコスプレイヤーとして――

東京ビッグサイトで開催される大型イベント、

東京コスプレフェスティバルへ向かう。


そこには多くのレイヤーが集まり、

カメラマンが集まり、そして――

鳴海朔也、コスプレネーム『裂夜』

も参加する。


CKRはそこで、

裂夜の周囲にいる人間たちを調べる。


誰と交流しているのか

誰から連絡を受けているのか


そして――

今も誰かを利用しているのか


次の舞台は決まった。


**東京ビッグサイト**


華やかなコスプレイベントの裏側で、

CKRは一人の人気男性レイヤーの本当の顔を

探ることになる。


そして彼を追うことが――

やがて、

黒曜会と黒鉄迅へ繋がる

新たな事件の入口になるとは、

まだ誰も知らなかった。


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