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COSKILLER (コスキラー)―CKR(シクル)―  作者: 黒薔薇
裏社会組織 黒曜会からの勧誘
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46/54

黒曜会からの招待

三日後――


夕方

CKR事務所兼アトリエには、

いつもとは違う緊張感が漂っていた。


アトリエの中央には大きなテーブル


その上には、

黒曜会から届いた資料と、

七人分の衣装が並べられている。


Dollは最後の糸を切り、

衣装を丁寧に畳んだ。


「これで準備は全部終わりよ?」


Mirageは鏡の前で自分のウィッグを確認する。


「問題ないわ。」


Knightは工具をケースへ戻した。


「必要なものは揃えた。」


Jokerはソファから立ち上がる。


「で、結局今日は何を着ていくの?」


Maskが資料から顔を上げた。


「指定はありませんね…」


「じゃあ、普通の私服で――」


「ダメよ!」


Mirageが即座に遮った。


「相手は黒曜会よ?

少なくとも、

向こうがどういう服装で来るか分からない以上、

こちらも準備しておいた方がいいわ!」


Jokerが苦笑する。


「はいはい。」


その隣で、

YONAGIは静かに自分の衣装を見つめていた。


黒を基調にした衣装は装飾は控えめだが、

動きやすく作られている。


それは表向きのコスプレ衣装でありながら、

裏の仕事にも対応できるように仕上げられていた。


Dollが声をかける。


「YONAGI、どうしたの?」


「……少し緊張しています。」


「黒曜会の人たちと会うから?」


「はい…」


YONAGIは苦笑する。


「昔から知っている人たちだからこそ……

少し怖いんです。」


Heroがその言葉を聞いて振り返った。


「無理に強がる必要はない。」


YONAGIが顔を上げる。


「Hero……」


「今日は黒曜会に戻るために行くんじゃない。」


Heroはテーブルの資料を閉じた。


「俺たちが、相手を見に行くつもりでいろ。」


YONAGIは静かに頷いた。


「……はい。」


その時――

事務所の照明が一度だけ点滅した。


全員が動きを止めると

Maskがすぐに端末を確認した。


「……外部から通信が入っています。」


Knightが身構える。


「黒曜会か?」


「違います。」


Maskは画面を見つめる。


「発信元が偽装されています。」


そして、画面に一行の文字が表示された。


**『迎えに来た』**


Jokerが眉をひそめる。


「迎え?」


その直後

外から車のエンジン音が聞こえてきた。


窓の外を見ると、

黒い車が一台、事務所の前に停まっている。


YONAGIの表情が変わった。


「……黒曜会です。」


Heroが頷く。


「行こう。」


七人はそれぞれの荷物を持った。


そして――

アトリエの扉を閉める。




黒曜会・本部


車で移動すること約四十分


七人が連れてこられたのは、

街の中心部にある巨大なビルだった。


外から見る限り、

普通の企業ビルにしか見えない。


入口には会社名があり

受付にはスタッフがおり行き交う人々もいる。


しかし――

YONAGIだけは、その建物を見た瞬間に分かった。


「……ここです。」


Dollが小さく尋ねる。


「本当に?」


「はい。」


YONAGIは頷いた。


「表向きは複数の会社が入っているビルですが……

地下には黒曜会の施設があります。」


Jokerが周囲を見る。


「なるほどねぇ…」


Heroが小さく笑った。


「表と裏が同じ建物にある所が

黒曜会の本拠地らしい。」


一行は地下へ続く道へ案内されると

エレベーターが地下深くまで下降していく。


表示されている階数が、

B1

B2

B3


そして――

B6になると扉が開いた。


そこには、広々とした空間が広がっていた。


壁には黒曜会の紋章に

黒い大理石の床が散りばめられている。


そして――

数人の男女が立っている。


その中には、

見覚えのある顔もあるようで

YONAGIの表情がわずかに揺れる。


「……みんな」


一人の女性がYONAGIに近づく。


「久しぶりね♪」


「……うん。」


女性は微笑んだ。


「元気そうでよかった♪」


「あなたもね?」


二人は短い会話を交わす。


その様子を見たJokerが小声で呟いた。


「本当に同胞なんだな?」


Maskも周囲を観察している。


「全員、

表向きは一般人として活動しているようです。」


Knightが目を細める。


「コスプレイヤーもいるな…」


その言葉通り

黒曜会の構成員の中には、

イベントで見たことのある人気コスプレイヤーたちが何人もいた。


男性女性混合で


衣装制作を専門にしている者

撮影を専門にしている者

動画配信をしている者


一見すれば、

ただのクリエイター集団だが

彼らは全員、黒曜会の人間だった。


Mirageが静かに呟く。


「表の世界に、こんなに入り込んでいたなんて……」


YONAGIが答えた。


「だから、誰も気付かないんです。」


「コスプレイヤーとして活動していれば、

どこへ行っても不自然じゃないし

イベントにも入れて

人と沢山交流して話せて撮影場所にも行ける。」


「そして――」


YONAGIは周囲を見る。


「誰も、その人が裏社会の人間だなんて思わない。」


Heroが頷く。


「仮面を武器にする……か」


その時

奥の扉が開くと

全員の視線が集まる。


黒いスーツを着た男が入ってくる。


その後ろには――黒鉄迅


「ようこそ」


迅が微笑む。


「CKR」


Heroは一歩前へ出た。


「待たせたな」


「いや…」


迅は首を横に振る。


「来てくれると思っていた。」


迅の後ろにいた男が口を開く。


「初めまして」


男はゆっくり歩いてくる。


「私が黒曜会の代表だ。」


名前は告げずに

ただ、その視線だけで空気が変わる。


Jokerが小さく息を吐いた。


「……なるほど」


代表は七人を見渡した。


「我々が君たちを呼んだ理由は、一つだ。」


「CKRを――」


一拍


「黒曜会の一員として迎えたい。」


Heroは即答しないのを見て

代表は続ける。


「ただし、条件がある。」


テーブルに七枚の封筒が置かれた。


一人につき一枚


Doll

Mirage

Joker

Knight

Mask

Hero

そして――YONAGI


「それぞれに、違う仕事を用意した。」


Heroが封筒を見る。


「つまり……俺たちを個別に引き抜くつもりか?」


「そうだ」


代表は微笑む。


「君たちには、それぞれ違った才能がある。」


Maskが封筒を見つめる。


「……俺たちの能力を、かなり調べていますね。」


代表は答えなかったが

代わりに、迅が口を開く。


「当然だ。」


Heroが迅を見る。


「お前が調べたのか?」


迅は微笑んだ。


「そうだ…

でも――」


その笑みが、ほんの少しだけ変わった。


「全部は話してない。」


YONAGIが迅を見る。


「……どういう意味?」


迅は答えない。


その時、Maskの端末が小さく鳴った。


「Hero」


「どうした?」


Maskが画面を見せる。


そこには――

CKRが結成される前の資料と

六人がそれぞれ

コスプレをメインとして活動していた頃の写真


さらに――

YONAGIが

黒曜会に所属するより前の記録まで並んでいる。


そして最上部には、

**『CKR結成予測』**

という文字を見て

Heroの目が鋭くなる。


「……これ」


迅を見る。


「お前は、

CKRができる前から俺たちを見ていたのか?」


迅はしばらく黙っていた。


そして――

静かに笑った。


「やっと気付いたか…」


部屋の空気が変わった。


「俺が君たちを知ったのは、

レイの事件よりずっと前だ。」


YONAGIが息を呑む。


「じゃあ……全部?」


迅は答える。


「CKRができたことも

君たちが事件を解決してきたことも

そして――」


迅は七人を見つめた。


「今日、ここに来ることもだ…」


Heroは迅から目を逸らさない。


「……お前は何を企んでいる?」


迅は笑った。


「それは――」


一拍。


「君たちが黒曜会に入ってから教えるよ…」


その言葉に、Heroは静かに目を細めた。


**勧誘**


そう思っていた。


だが――

これはもう、ただの勧誘ではない。


CKRそのものが、

ずっと前から誰かの計画の中に組み込まれていた。


そして、

その中心にいるのは――

黒鉄迅だった。


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